Androidスマホが“短命”なのは過去の話? OSアップデートが長期化されたワケ(3/3 ページ)
AndroidスマートフォンはOSアップデートが早期に打ち切られ、短命という認識は過去のものになりつつある。サムスンやGoogleは最大7年のOSアップデートを公表している。他社との差別化を図る以上に、各国の法規制に対応するための措置という側面があるようだ。
Androidスマホも寿命が伸びた OSアップデートの長さで選べるように
AndroidスマートフォンでもPixelやGalaxyのように7年間のソフトウェアアップデートを提供する例も現れ、多くのメーカーがアップデート期間を明確な数字として示してきた。
つまり、長くスマートフォンを安心して使いたいユーザーは、長期のアップデートを提供してくれる機種を選んで利用できる状況にある。従来のようにメーカーや通信キャリアによって端末のアップデート期間が異なり、機種によっては期間が短いといった「くじ引き」のような状況ではなくなりつつある。
現状、長期のアップデート提供するスマートフォンは、主に10万円を超えるハイエンド端末が中心だ。一方で、メーカーによっては比較的廉価なミッドレンジスマートフォンにも長期のアップデートを保証している。2万円台で購入できるシャープのAQUOS wish4などが良い例だ。
欧州や欧米の法律などを鑑みると、今後は比較的廉価なスマートフォンにも長期のソフトウェアアップデートが提供されると考える。この場合はOSのバージョンアップよりも、セキュリティアップデートの形で提供される可能性が高いと考えられるが、長く安心して利用できる点に変わりはない。
さまざまな制約からアップデート期間を一律にすることが難しかった日本市場でも、この2年でアップデート期間を明確に示すメーカーが増えてきた。これはメーカーが独自に取り扱うオープンマーケット版(直販版)の機種が増加したことも大きな理由だ。
2024年に発売された機種を見ても、キャリア専売の機種はXiaomiの「Redmi Note 13 Pro」くらいで、それ以外の機種はおおむねオープンマーケット版が存在する。価格設定やサポート期間にキャリアの意向が絡まない端末のため、OSのアップデート期間を明確に示すことができると考える。
一部海外メーカーのスマートフォンでは、FeliCaや通信バンドをはじめグローバル向けと異なる仕様を理由に、長期のアップデートが難しい側面がある。アップデート期間がグローバル版と同等にできない、提供時期が遅れるなどの理由から、日本向けモデルではアップデート期間を非公表にしているのではないかと考えられる。
それでも日本メーカーも「ソフトウェアアップデート期間」を明確にしてきた以上、海外勢もこの流れに追従しなければ「長く使えるか?」という点で消費者に不透明でマイナスな印象を与えてしまう。
これはメーカーにとっても選択機会の損失になりかねない。そう遠くないうちに多くのメーカーが「アップデート期間の明確化」を図り、日本メーカーなどに追従してくることになるはずだ。
OSアップデートに関する記事を書いた2年前から、「AndroidスマートフォンはiPhoneと比較して寿命が短い」という状況は大きく変わった。この変化は消費者に「スマートフォンの期待寿命」で選ぶという新しい選び方を与え、消費者にもプラスとなると考える。
近年の長期アップデートを保証するAndroidスマートフォンを見ていると、「Androidスマートフォンの寿命はiPhoneよりも劣る」という認識は過去のものとなりそうだ。
著者プロフィール
佐藤颯
生まれはギリギリ平成ひと桁のスマホ世代。3度のメシよりスマホが好き。
スマートフォンやイヤフォンを中心としたコラムや記事を執筆。 個人サイト「はやぽんログ!」では、スマホやイヤフォンのレビュー、取材の現地レポート、各種コラムなどを発信中。
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