大阪・関西万博、NTTパビリオンは「IOWN」で離れた場所と空間をつなぐ――個人的なオススメは『アオと夜の虹のパレード』:石川温のスマホ業界新聞
大阪・関西万博を前に、NTTグループが共同出展する「NTTパビリオン」を取材する機会を得た。体験テーマは「PARALLEL TRAVEL(並行旅行)」で、NTT(日本電信電話)が推進する次世代情報通信基盤「IOWN」を生かした展示がなされている。だからこそ、ライブ感にこだわってもいいのではないかと思うこともある。
いよいよ4月13日より「大阪・関西万博」が開幕する。9日のメディアデーに取材に行ってきた。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2025年4月12日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
お目当てはNTTパビリオン。体験テーマは「PARALLEL TRAVEL」。次世代情報通信基盤「IOWN」による空間伝送技術で離れた場所と空間をつなぐというものだ。
メインとなるのはZone2のPerfumeのパフォーマンスだ。3D点群スキャン、3Dカメラ、振動伝送、空間同期などの技術を駆使して、時空の隔たりを超えたIOWNによる「未来コミュニケーション体験」が売りとなっている。
確かに3D眼鏡をかけて見られるPerfumeのパフォーマンスは圧巻だ。彼女らがステップを踏むと、Zone2内の床も振動するので、まるでPerfumeがその場で踊っている感覚を体験できる。
過去にもIOWN経由で遠隔地でパフォーマンスするPerfumeの映像を見る機会があったが、振動も加わると臨場感が一気に増して、とても新しい感覚であった。
ただ、このPerfumeのパフォーマンスは事前に収録されたものだ。4月2日に夢洲と万博記念公園をつないで行われたものを「完全再現」したのだという。つまり、IONWNらしさはどこにもない。
IOWNを売りにするのであれば、やはりライブにこだわってほしかった。会期中の184日間、毎日、朝から晩までPerfumeが生で踊れとは言わない。ダンスの上手いパフォーマー集団が、どこかでライブをやっているのを中継するだけでもいいような気がする。
さらにIOWNの可能性を示したいのなら、遠隔地で踊るパフォーマーと会場のパフォーマーが一緒に踊るというのが望ましいだろう。
かつて、渋谷でIOWNのデモをしたときは、芸人のヨネダ2000が、遠隔地と現場にわかれ、IOWNでつないでぴったり間を合わせて漫才を披露するといったことをしていた。代表ネタである「ぺったんこ」が寸分違わず同期している様子に感動すら覚えたのであった。
確かに184日間、朝から晩まで遠隔地をつないでパフォーマンスするにはコスト的にも厳しいかもしれないが、1日に何ステージかはそうした「IOWNの本気」を見せる時間があっても良かったように感じる。
ちなみに、メディアデーを取材して、最も良かったのは「水と空気のスペクタクルショー『アオと夜の虹のパレード』」と1000基のドローンショー『One World, One Planet』だ。これは必見なので、会場には夜までいることをおすすめする。
今回、万博を取材して感じたのは大きなディスプレイで未来っぽい映像を見せて、床を振動させて臨場感を出すという演出をするパビリオンが多いということだ。
1970年の大阪万博や1985年のつくば万博のころは「未来にはこんなテクノロジーが実現する」という具体的なモノが展示されていたが、2025年の現代には、未来のワクワクするようなアイデアはすでに出尽くした感がある。そうなると大きなディスプレイで未来っぽい映像を見せて、床を振動させて臨場感を出すぐらいのパビリオンしか制作できないのではないか。
そんななか、おすすめした2つのショーはまさに「ライブ感」があって、本当にワクワクさせられる。
個人的に「これだけインターネットが普及して、Googleマップなどで世界中の情報が得られる時代に万博なんて意味があるのか」と正直、疑問視していた。
しかし、会場を歩き、いろんな国や地域のパビリオンを見てみると、モニター上では体験できない「異国情緒」を味わうことができる。
まだ世界を知らない子供と万博会場を歩き「世界にはこんな国があるんだ」と発見するだけでも、会場に行く価値はあるような気がしてきたのだった。
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