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FCNT「らくらくホン」が6年ぶりに復活――NTTドコモの35%シェア死守に一役買うか石川温のスマホ業界新聞

NTTドコモが、FCNT製「らくらくホン」の新モデルを約6年ぶりに投入する。FCNTは「絶対必要」という認識だったそうだが、ドコモとしては「背に腹は代えられない」思いで投入するのだろう。

 2025年6月17日に開催されたFCNTの新製品発表会。個人的に驚きだったのが、arrows Alphaではなく、らくらくホンが6年ぶりに復活したことだった。現行モデルとなるのが「F-01M」で2019年の発売となっている。らくらくホンの累計販売台数は3000万台以上であり、スマホが全盛になったいまでも、かなりのユーザーがいることだろう。

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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2025年6月21日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。

 NTTドコモでは2026年3月に3Gが停波する。3Gのらくらくホンユーザーをいかにらくらくスマホや他のスマホに乗り換えさせるかがNTTドコモにとって喫緊の課題だったはずだ。

ケータイの基本料金は1000円強程度であり、このタイミングでスマホに乗り換えてもらえば、ARPUは一気に上昇する。

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 しかし、どんなにスマホへの乗り換えを訴求しても、頑なにケータイがいいという人がいるのは当然のことだろう。

 「スマホになると月々の支払いが上がる」と嫌がる人から「スマホは使いこなせない」、さらには「物理的なボタンがあった方がいい」という視覚障害の方も含め、やはり根強いニーズがあるのだ。

 感心するのはFCNTも企業として復活する上で、らくらくホンの新モデルは欠かせないという強い意志があったことだ。

 実際、この時代にケータイを作ろうと思ったら、ディスプレイなど部材はすでに流通しておらず、調達が困難だと言われている。FCNT担当者は「らくらくホンのために、新たにメーカーを探して発注した」という。今回のらくらくホン、昔のままかと思いきや、設計から部材まで、完全に新しいものなのだという。担当者は「arrows Alphaよりも、らくらくホンのほうが開発する上で苦労したかもしれない」と振り返った。

 一方で、NTTドコモも、3G停波目前のこのタイミングで新たにケータイを調達するとは思わなかった。ただ、らくらくホンユーザーがそれなりにいて、ここで3Gを停波するにもかかわらず、新製品を出さないとなると、他社に逃げられる可能性は十分に考えられる。

 NTTドコモはNTTの島田明社長から「絶対にシェアを落とすな。35%を維持しろ」という檄が飛んでいる。

 NTTドコモとしては3G停波というタイミングで回線数を減らす恐れがあるだけに、背に腹は代えられない状況だったのだろう。

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