NTT東西、30年ぶりに加入電話の基本料金を値上げ 保守コスト増のためだが例外もあり
NTT東西が加入電話の月額料金を2026年4月利用分から値上げする。2035年度まで加入電話サービスを安定して提供するために、老朽化したメタル設備や電柱、管路などを保守・修理していく必要がある。1995年から30年ぶりの値上げとなる。
NTT東日本とNTT西日本が9月29日、「加入電話」「加入電話・ライトプラン」の基本料金を値上げすることを発表した。改訂後の料金は2026年4月1日分から適用される。
NTT東西は2035年度までに、現在のメタル回線を用いた加入電話から、光回線やモバイル回線を用いた電話サービスへの移行を進めていく。これは、メタル設備の老朽化や加入者の減少により、2035年頃までにサービスの維持が困難になるため。
一方で、加入電話1回線あたりの保守費用は、直近5年間で2割近く上昇しているという。加入電話サービスを安定して提供するために、老朽化したメタル設備や電柱、管路などを保守・修理していく必要がある。また、災害対策として、設備の冗長化や水防対策、電力設備を増強しており、こうした対策にもコストが発生する。例えば津波が発生した際に通信ビルに浸水しないよう、1階の開口部を閉じる対策を施している。人件費や物価の上昇もコスト増につながっている。
2026年4月以降の料金は、3級取扱所(加入者40万人以上のエリア)の住宅用が、月額1870円(税込み、以下同)から2090円(+220円)に、3級取扱所の事務用が2750円から3080円(+330円)に値上げする。
ただし、光回線やモバイル回線を用いた代替サービスを利用できない環境にいる場合、加入電話サービスの基本料金は据え置きとなる。また、移行先の光回線電話とワイヤレス固定電話の基本料金は変更ない。
NTT東日本 取締役執行役員 経営企画部部長の城所征可氏によると、前回の値上げは1995年だったため、30年ぶりの値上げとなる。なお、値下げについては2005年に実施している。
仮に約1000万の加入電話サービスの契約者が残った場合、年間で200億円ほどの収支改善効果があるとみる。現在、加入電話サービスは年間で600億円の赤字のため、値上げによって赤字が400億円まで軽減される見込みだ。
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