スマホで完結「J:COM プレミアムローン」提供、J:COM加入者なら1.3%~14.0%の優遇金利 銀行やクレカの参入は?
JCOMフィナンシャルが、個人向けローンサービス「J:COM プレミアムローン」を11月25日から提供する。J:COMサービスを利用していると一律3.0%の金利引き下げが適用される。「MY J:COM」アプリまたはWebサイトから申し込みができ、申し込み完了から最短10分で借り入れが可能だという。
JCOMのグループ会社であるJCOMフィナンシャルが、個人向けローンサービス「J:COM プレミアムローン」を11月25日から提供する。
J:COM プレミアムローンは、J:COMの契約者限定のローンサービス。J:COMサービスを利用していると一律3.0%の金利引き下げが適用され、1.3%~14.0%の優遇金利となる。J:COMはこの金利を「業界トップクラス」だと訴求する。なお、J:COMサービスを解約すると優遇金利の対象外となり、4.3%~17%に上がる。
対象サービスは、TV、NET、PHONE、MOBILE、でんき、ガス、HOME、緊急地震速報など。なお、J:COM MOBILE AプランSU(eSIM向けプラン)と、動画配信サービス「J:COM STREAM(S)」は対象外となる。
この他、J:COMのパーソナルIDを取得していること、満20歳~75歳未満の個人であること、安定した収入があることなども条件となる。融資額は10万円~800万円以内で、1万円単位で借り入れができる。また、初めて利用する場合、借入日の翌日から30日間、無利息が適用される。
ローンは「MY J:COM」アプリまたはWebサイトから申し込みができ、申し込み完了から最短10分で借り入れが可能だという。カードは用意しておらず、ローンを利用するにはスマホアプリが必要となる。
J:COMユーザーの半数以上がローンの利用経験あり
JCOMは11月6日に説明会を開催し、JCOMフィナンシャルの神野雅夫社長がサービスの狙いを説明した。なお、JCOMフィナンシャルは2024年11月に設立され、このJ:COM プレミアムローンが同社として最初のサービス提供となる。JCOMは2024年に掲げた中期経営計画にて、放送や通信の枠を超えた事業領域の拡大によって経営基盤の強化を目指す。その一環として金融事業にも進出する。
JCOMが金融事業に参入することの強みとして、577万世帯(2025年9月時点)のJ:COM加入者にアプローチできること、地域に根ざしたユーザーとの接点があることを挙げる。
一方、ローンサービスのニーズがどこまであるのかは気になるところだが、J:COMユーザーに対してアンケートを取ったところ、18%が「現在ローンサービスを利用している」、37%が「過去にローンサービスを利用したことがある」と回答。ローン利用経験のある人が半数以上いることが分かった。この数字は市場水準よりも高いことから「顧客ニーズが高い」(神野氏)とみて、「ぜひ優遇金利を使っていただきたい。利用予定のない人にもローンを紹介したい」と意気込む。
低収入でなくてもローンの利用は多い、安心感の訴求も
想定する利用シーンは、結婚記念日や旅行などの家族イベント、急な転勤や引っ越し、趣味を広げるための資金、大切な人の節目を祝うプレゼントなど。ローンというと、若年層や低収入のユーザーが利用するイメージが強いかもしれないが、神野氏によると、「銀行のカードローンや異業種が提供しているローンを見ると、40代以上が多く使っている」「低年収でなくても、その場その場で資金が足りなくなったときに借りるケースも多い」という。
J:COMサービスを利用するボリュームゾーンは40~60代なので、ローンのターゲットともマッチする。
サービスの特徴について神野氏は「大切な家族との思い出作りや、転勤などの引っ越し、趣味の充実などさまざまなライフイベントで、生活にゆとりと潤いを提供するカードレスローン」と述べる。サービス名に「プレミアム」を付けたのも、「J:COMのユーザー層に合うよう高級感を出すため」(神野氏)だという。ローンというと「借金」というネガティブなイメージを持たれがちだが、安心して利用してもらえるよう訴求していく。
与信については外部の審査モデルを導入する。J:COMサービスの利用歴は考慮しておらず、このローンのためにJ:COMサービスに申し込んだ人も、長年のJ:COMユーザーもフラットに審査する形となる。今後、申し込みが増えたら、ユーザーのJ:COM利用歴も分析していきたいとのこと。
住宅ローンはauじぶん銀行を紹介も、ローン以外の金融領域への拡大を目指す
J:COMのCATVや固定回線などは家族での加入者も多いため、そういった層には住宅ローンの相性もよさそうだ。ただ、住宅ローンについては、同じKDDIグループであるauじぶん銀行の住宅ローンを紹介しているという。実際、auじぶん銀行とJCOMは、両者のサービスをセットで利用すると住宅ローン金利を引き下げる優遇施策を実施している。
「住宅ローンは資金調達の難易度が上がるため、比較的ライトに展開できるフリーローンから始めた」(JCOM ビジネスイノベーション部門 ビジネスデザイン本部長 関谷慎一氏)
J:COM プレミアムローンでは、2030年までに累計ユーザー数10万人を目標に掲げる。今後は、J:COMがエネルギー事業として展開している太陽光パネルや蓄電池などの目的別ローンなど、既存事業と連携した融資事業を拡大しつつ、新たな金融事業領域の展開も目指す。
昨今、通信キャリアは経済圏に囲い込む手段として金融サービスを強化しており、決済、銀行、クレジットカード、ポイント運用などのサービスを提供している。関屋氏は「まずはプレミアムローンをしっかり立ち上げた上で、そこに付随するサービスの拡張ならびに、ローン以外の金融領域のチャレンジも考えていきたい」と述べる。
こうした金融サービスの接点となるのがMY J:COMアプリだ。JCOMはこのアプリを「スーパーアプリ」と位置付け、テレビの録画予約や番組視聴、料金や契約内容の確認、トラブル診断やAIチャット、地域情報の確認などが行える。11月25日以降は、ここにローンのサービスも加わる。このアプリにメリットについて、関屋氏は「ワンストップでサービスを提供できること」を挙げる。共通IDをベースにするため、ローンに申し込む際も名前や住所などを登録する必要はない。
なお、J:COMではポイントサービスを提供していない。サービスの継続利用や経済圏の強化を重視するなら、ポイントも有効な手段になる。KDDIグループ観点でいうと、Pontaポイントと連携させることもあり得る。MY J:COMアプリを軸に、どのようなサービスや仕組みが登場するのか、注目したい。
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