コラム

中国スマホの“iPhone化”が進む理由 模倣を超えた「最適解」、乗り換え促進の「エコシステム戦略」に迫る(2/3 ページ)

中国メーカーのスマホがUIや製品構成においてiPhoneを模倣する現象が加速している。これは単なるコピーではなく優れた要素を取り込みつつ独自機能で差別化する戦略である。共通の操作性や周辺機器の相互運用性を高めることで乗り換えの壁を崩す狙いがある。

いいものを賢く模倣した結果が「iOSに寄せる」だった

 中国のスマートフォンメーカー各社がiOSに似たUI/UXを採用する背景には、「見賢思斉(優れたものから学ぶ)」という中国で古くから伝わる考え方がある。これは単なる模倣ではなく、さまざまな分野の優れた要素を取り込みながら、独自の強みで差別化を図る「賢い模倣」と解釈できる。

 スマホのハードウェア面では、他社製品のコンセプトを踏襲しつつも、カメラやバッテリーといった得意分野を進化させる手法が目立つ。例えば「iPhone 15」を意識した「Xiaomi 15」では、より高性能なディスプレイ、ライカ共同開発カメラ、大容量バッテリー、急速充電対応といった要素で差別化を図った。製品としては、お手本にしたAppleやSamsungと比較しても互角以上の性能を備える。


Xiaomi 15は競合商品に対して高性能なカメラ、大容量バッテリーで差別化を図り、中国では大きくヒットした

 これはOSの操作系も同様だ。世界中で支持を集めるiOSを手本としながらも、テーマストアによるカスタマイズ性の高さ、ゲーム最適化、省電力性、滑らかなアニメーション動作などで優位性をアピール。OPPOのColorOSのように性能で劣る「廉価端末でも快適に動く」という、iOSデバイスにはないアピールポイントを備える例もある。

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 操作性という点では、Wi-FiやBluetooth、画面の自動回転といった端末操作を格納するコントロールセンターのデザインや操作性が分かりやすい。中国メーカーのAndroidスマホは、Android OSの標準操作ではなく、通知とコントロールセンターを分けたiPhoneに近い操作性となっており、この部分では瓜二つというレベルに仕上げている。デザインもOPPOのColorOSやXiaomiのHyperOSはかなり近いデザインになっており、さまざまなスマホを使った身としても「よく似ている」と評価したい。

共通の操作性ゆえに「iPhoneから乗り換えても違和感ない」評価も

 興味深いのは、各社がiOSに寄せた結果、意図せず「iPhoneから乗り換えても違和感が少ない」という評価を獲得したことだ。世界中で親しまれているiOSの操作感を踏襲することで、膨大なiPhoneユーザー層を潜在的な顧客として取り込むことが可能になった。このように乗り換えのハードルを下げることは、単なる模倣の副産物を超えて、市場戦略上の重要な価値を持つようになっている。


OPPOのColorOS(左)とiOS(右)を見比べると、機能アイコンの並び方などが似通っている。近年ではXiaomiなどもかなり近い構成となっている

 こうした操作感の共通性を土台として、近年Android端末とApple端末の高度な連携が進んでいる。中国メーカー各社がここ数年力を入れているのが、Apple製品との相互運用性の強化だ。Apple端末側に専用アプリを入れる必要はあるものの、AirDropといったiPhoneの機能を部分的に取り込む動きが加速している。

 これは単なる乗り換え促進にとどまらず、Appleエコシステムの一部を置き換える戦略でもある。例えばXiaomiのスマホとiPadやMacBookの組み合わせでもスムーズなファイル転送が可能で、既存の資産を無駄なく使えることをアピールしている。

 より踏み込んだ例として、vivoの一部端末ではApple WatchやAirPodsと接続できる機能を搭載。従来、iPhoneからAndroidスマホに乗り換えるとApple製周辺機器の使い勝手が大幅に悪化していたが、これらもAndroidスマホで快適に使えるとなれば、乗り換えの大きな後押しとなるポイントだ。


Appleデバイスとの連携は中国メーカーを中心に力を入れている

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