「実質24円」は今後も続く? スマホ残価設定は「現状維持」、残価率の一律化は「適当ではない」と総務省が評価
総務省の専門委員会はスマホ端末購入プログラムの残価率一律化案を「適当ではない」とした。Appleは一律化に猛反対しており機種ごとの市場価値を反映すべきだという同社の主張が認められた形だ。外的環境変化や価格高騰で適正残価の予測は難しく、各キャリアの攻めた割引プログラムは当面続くとみられる。
総務省が6月24日に開催した「利用者視点を踏まえたモバイル市場の検証に関する専門委員会(第8回)」では、短期解約問題の対策に加え、スマートフォンの端末購入プログラムにおける残価率算出ルールについても、意見が取りまとめられた。
携帯キャリアが提供している端末購入プログラムでは、2年など一定期間経過後に端末を返却すると、残価の支払いが免除される。中古端末の業界団体、RMJ(リユースモバイル・ジャパン)が算出した残価や、先行同型機種の買い取り実績データを参照しながら、各社は残価を決定しているが、統一されたルールがあるわけではない。
そこで、同委員会では、「機種ごとに残価率を算出する」または「全機種、全キャリアで一律の残価率を採用する」という2つの案が示された。
機種ごとの残価率を設定するメリットは、本来よりも残価が高く、また低く設定されるリスクを防ぎ、正しい評価による残価を設定できることが挙げられる。
一方、中古市場で流通が少ない端末は、残価率を正しく算出できない場合がある。また、残価率の設定を一律化すれば、キャリアの裁量を排除して恣意(しい)的に残価を高く/低くすることを防げる他、残価設定にかかる業務負担を軽減できるというメリットもある。この他、「一定の基準で分けたグループごとに共通の残価率を設定する」「残価率を一定にしながら、RMJの公表データも参照する」という案も示された。
これら2つの方向性は、キャリアや端末メーカー、MVNO、RMJなどで意見が割れている状況が続いている。特にAppleは残価率の一律化に対し、「価値が低い機種に不相当な補助を与えることで市場をゆがめる」と猛反対する。
委員会は双方の意見を検討した結果、残価率の一律化については、「機種ごとの市場価値の違いが反映されず、本来価値の低い機種の残価率を引き上げることは規制の潜脱である」との指摘があったことから、「適当ではない」と結論づけた。結果的にAppleの主張が認められた形となった。
委員会は、キャリアの裁量を排除しつつ、本来の市場価値からの乖離(かいり)を抑制することが最重要であり、この方向性に沿って見直し案を検討する必要があると総括した。結局のところ、残価設定は大きなルール変更はなく、現状維持となった。
適正な残価を見極めることの難しさ ルール変更は当面なしか
RMJの算出した残価から市場価値から懸け離れた残価になっているかを見極めるのかは困難であるし、明確にルール化されていない以上、キャリアに対し適正な残価に調整するよう総務省側から促すことも難しい。
例えばソフトバンクが2026年4月に発売した「Galaxy A57」は、「新トクするサポート+」を適用して2年後に返却すると、MNPの場合、9万3576円の支払いが免除され、24円になる。ここから割引上限の4万4000円を引くと、4万9576円。つまり、2年後の買い取り価格は4万9576円だと想定されているが、この金額が適正かは議論の余地がある。
というのも、2年前の2024年に発売された2世代前の「Galaxy A55」は、2026年現在、中古市場の買い取り価格を3万円前後としている中古業者が多い。仮にGalaxy A57が同様のリセールバリューになるとしたら、4万円台後半の残価は高いといえる。
ただしGalaxy A55の発売時の価格は7万円台で、Galaxy A57はそこから約2万円値上げされているので、残価率40%だとすると、ソフトバンクのA57の2年後の買い取り予想価格は3万8000円前後になる。それでもソフトバンクが設定した4万9576円よりは1万円強高いが、これを不当に高いとみるか、許容範囲とするかは判断が分かれる。
加えて、2024年当時からは円安が進み、メモリ価格も高騰するなど、外的環境も変わっている。同型機種でも発売時の端末価格が異なることや、外的環境の変化を勘案すると、適正な残価を2年前に予測することは非常に難しい。
こうした状況から、残価設定についての明確な基準を設けることは現実的ではない。キャリアの端末購入プログラムにメスが入ることは、当分は「ない」と考えていいだろう。
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