AIの“タダ乗り”を防ぐKDDI「Buffmee」を試す 150コンテンツの連携に価値あるが、回答には物足りなさも:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
KDDIは7月28日に出版社やWebメディアなどの150コンテンツと連携した対話型AI「Buffmee」を開始した。AIの無断利用を防ぎ収益を還元する仕組みだが、複数メディアを横断した検索がしづらいなど課題も多い。月額980円に見合う価値を提供し、コンテンツが集まる好循環を作れるかが今後の焦点といえる。
KDDIは、7月28日にGoogleが手掛ける「Gemini Notebook」の技術を活用し、メディアやコンテンツと連携した新サービスの「Buffmee(バフミー)」を提供開始した。Buffmeeは、松田浩路氏が代表取締役社長CEOに就任した際に予告していたAIマーケットプレースを方向転換して生まれたサービス。既存の新聞、Webメディア、雑誌、書籍などをソースにしながら、正確な情報を提供することを売りにする。
Buffmeeのアプリは、App StoreやGoogle Playで配信されており、Apple IDやGoogleアカウントを利用可能。決済はそれぞれのストアの定期購読機能を利用するなど、キャリアフリーのサービスを志向している。AIに“ただ乗り”されないよう、収益を循環させるビジネスモデルになっているため、メディア業界からの期待も高まる。そんなBuffmeeの特徴や今後の展開、現状の課題を解説していきたい。
AIの無断利用を防ぐ、フィルターバブルも乗り越えるユーザー主体のサービス
日進月歩以上の速さで進化しているAIだが、利便性の向上と同時に負の側面も顕在化している。メディアの成果にただ乗りして、収益を奪ってしまうのはその1つだ。結果として、ユーザーがAIに依存しすぎてしまうことも問題視されている。KDDIの事業創造本部長を務める長谷川渡氏も、「新たな社会課題が顕在化しつつある」としながら、「正しい情報もフェイクも判断がつかず、品質の良しあしも分からないままAIに丸投げしてしまう」状態になることを危惧する。
一方で、AIはスマホにも搭載され、急速に普及しつつある。一度使うと、その利便性は手放せないはずだ。長谷川氏も、「AIに頼る流れそのものは自然で、問われるのは向き合い方」(同)と話す。Buffmeeは、そんな状況に一石を投じるサービスだ。
ユーザーが能動的に使えるよう、ソースを選択して、AIにさまざまな質問をすることが可能。選択したのが資格試験の参考書であれば、そこから問題を作成するといったこともできる。長谷川氏が「AIに任せながら、自分の成長につなげるために作ったサービス」というのは、そのためだ。
技術的には、Googleが提供しているGeminiを活用しており、サービス設計はGemini Notebookの仕組みを参考に実装したものになる。Gemini Notebookは、ユーザー自身がソースとなる音声データやテキストデータ、Webサイトなどをアップロードすると、そのソースの範囲内に限定したやりとりができるサービス。ソースとなるデータを元に、プレゼンテーションファイルやラジオ番組風の音声を作れることでも注目を集めている。
KDDIがメディアと協力して集めたコンテンツを元に、AIが回答を返したり、問題集を作ってくれたりするサービスという意味では、Buffmeeのサービス設計もGemini Notebookに近い。Gemini Notebookとの違いは、ユーザーが自らソースをアップロードするのではなく、KDDIに協力した各社のコンテンツをユーザーが選択するところにある。Gemini Notebookの特徴を生かしながら、メディアやコンテンツサービスとユーザーを結び付けているといえそうだ。
こうした背景を踏まえていないと、どんな使い方をすればいいのかが分かりづらいのはネックだが、端的にいえば、メディアの情報を元に、知りたいことを聞けるサービスだ。例えば、ソースの1つとして挙がっている雑誌の「オレンジページ」(オレンジページ)を読み込むと、料理のレシピについての質問ができる。
その際に出力される情報は、身元が明らかではない人が作った情報をAIがつなげたものではなく、過去にオレンジページが責任を持って掲載してきたレシピに基づいている。同じことをWeb検索や一般的なAIにやらせようとすると、かなりハードルが高い。また、調べたレシピに合う、もう一品を提案してもらうこともできる。こうした使い方はAIならではで、原典である雑誌になかった利便性といえる。
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