ソニーに聞く「Xperia 1 VIII」の裏側 デザイン刷新や20万円超えの理由、物議を醸したAIカメラ新機能の真相(1/2 ページ)
ソニーはフラグシップスマートフォン「Xperia 1 VIII」の開発背景や特徴について説明した。デザイン刷新や望遠カメラの進化に加えミリ波対応や新機能の意図を明かした。高価格化にもかかわらずファンに支持される独自の価値提案を強調した。
「Xperia 1 VIII」は、Xperia 1シリーズで8世代目となるソニーのフラグシップスマートフォンだ。商品全般に焦点を当て、発売後の反響から、デザイン変更の意図、カメラ性能の進化、20万円を超える価格設定の背景、そしてSIMフリーモデルでのミリ波対応まで、多岐にわたるトピックについてソニーのキーマンに話を聞いた。
取材に応じたのは、Global Sales & Marketing イメージングコミュニケーションマーケティング部門 マーケティング部 MC1課 統括課長の池荘八氏と、共創戦略推進部門 イメージングコミュニケーション商品企画部 2課の北澤英里氏だ。
カメラ構造により見た目はガラッと変わる
―― まず、発売後の反響はいかがでしょうか。
池氏 価格が上がりながらも堅調に推移しており、お客さまの満足度も非常に高いです。国内・海外ともに好調で、特に1TBといった大容量メモリの追加や、SIMフリー限定の特別色(ネイティブゴールド)を展開し、選択肢を広げたことが奏功しています。欧州では直販(D2C)チャネルを強化し、販売が大きく伸びています。機能面では、デザインの刷新や望遠カメラの進化がコアファンに支持されている他、新機能の「AIカメラアシスタント」も、使ってみてから撮影頻度が増え、写真が楽しくなったとご好評いただいています。
―― 今回、デザインが従来の「板」から「塊」へと大きく変わりました。その意図を教えてください。
北澤氏 一番の理由は、望遠センサーを大型化したことに合わせてカメラの配置を見直したためです。従来の縦配置では収まりきらなくなったため、デザインをガラッと変更しました。その際、超広角撮影時に指が写り込みにくくしたり、レンズ間の距離を近づけて切り替え時の画角ズレを低減したりと、使い勝手も向上させています。コンセプトは「原石(ORE)」とし、背面ガラスやアルミフレームなどの異素材を組み合わせながら、一体感のある塊感を表現しました。カメラらしい質感を取り入れつつ、スマートフォンとして研ぎ澄ませた形に落とし込んでいます。
新機能のAIカメラアシスタントとは 本来意図した見せ方ではなかったSNS発信
―― AIカメラアシスタントの実装意図についても教えてください。
北澤氏 ソニーでは、写真を上手に撮りたい気持ちがある人を全て「クリエイター」と捉えています。これまでも一眼カメラ「α」譲りのプロ向け機能を提供してきましたが、日常のさっと撮りたいシーンで使いこなすのが難しいという声もありました。そこでAIを活用し、誰もが素早く一括で最適な設定の提案を受けられ、表現力のある写真を撮る楽しさを知っていただきたいという思いで開発しました。
―― このAIカメラアシスタントについては、発売前に海外のSNS公式アカウントでの発信が物議を醸す一幕がありました。どのような理由からでしょうか。
池氏 海外での投稿がAIカメラアシスタントで本来意図した見せ方ではなかったことに加え、オリジナルの写真も選べることを言葉で示さず、ビジュアルで“ビフォー/アフター”のような見せ方をしたことによって誤解を生んでしまったと分析しています。ソニーとしては、提案も1つではなく複数見せるなど、より丁寧な見せ方をすべきだったと反省しています。
―― ということは素のデータへの味付けではなく、選択肢の提案と捉えてよろしいでしょうか。
北澤氏 Xperiaのデフォルトの画作りは、ありのままを忠実に再現することにこだわっています。AIカメラアシスタントも、生成AIで写真を派手に加工するのではなく、あくまでユーザーが撮影時に行う設定をAIが代行し、複数の表現を提案して選べるようにする設定補助の機能です。リアルなフォトグラフィーを提供する会社として、忠実な画作りを大切にする姿勢は変わりません。
「より高画質な望遠が欲しい」という要望に応えた望遠カメラのズームレンズ
―― 望遠カメラのズームレンズについて、先代の「Xperia 1 VII」では3.5倍~7.1倍の光学ズームでしたが、今回見直された意図を教えてください。
北澤氏 前モデルの光学ズームレンズもご好評いただきましたが、「より高画質な望遠が欲しい」というお客さまの声が非常に多く寄せられました。光学ズームレンズは本体の厚みとの兼ね合いが難しいため、今回はセンサーサイズを大型化し、4800万画素のセンサーから切り出すことで、画質劣化なく140mm相当(約5.8倍)を実現する判断をしました。
Xperia 1 VIII(写真=左)とXperia 1 VII(写真=右)のアウトカメラ。デザイン変更の理由は望遠カメラのセンサーが前モデルの1/3.5型から約4倍の1/1.56型へと大幅に大型化したことにある。この巨大なセンサーが従来のスペースに収まらず、配置を刷新する必要があったためだ
―― 実際に夜景を撮影してみると、最大ズームでもノイズが少なくきれいに撮れました。
北澤氏 センサーサイズの大型化に加えて、「RAWマルチフレームプロセッシング」というソフトウェア技術の進化も効いています。画像処理の前段であるRAWの段階で画像を重ね合わせてノイズリダクションやHDR処理を行うことで、夜景はもちろん、逆光のシーンやナイトポートレートなどでも効果を発揮します。また、今回は3つのレンズ全てで同じ画素数のセンサーを採用しているため、どの画角でも高い質の画質を提供できるようになっています。
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