インタビュー

「Galaxy Z Fold8」の極薄ボディーを実現した新技術「Flex Titanium」開発秘話 一方でトレードオフの機能も(2/2 ページ)

サムスン電子は最新の折りたたみスマホ「Galaxy Z8」シリーズを発表し、開発背景に関するインタビューを実施した。ディスプレイに導入した「Flex Titanium」や新バッテリー技術により、圧倒的な薄型軽量化と耐久性の両立を実現している。一方で携帯性を最優先した結果、Sペン非対応やパンチホール型カメラの採用など機能のトレードオフも生じた。

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Sペンは「ユーザーニーズを考慮して検討していく」

 筆者も実際にGalaxy Z Fold8を借りて使っているが、その薄さと軽さには驚くばかりだ。スマートフォンをポケットに入れて持ち運ぶ筆者にとって、本体の厚さ(奥行き)と重量は気になるポイント。Galaxy Z Fold8の201gという重量は、一般的なハイエンドスマホと大差ない。閉じた状態の8.9mmという厚さも同様だが、折りたたんでいるためか、むしろ他のスマホよりも薄く感じるほどだ。


ストレート型スマホと大差ない201gの重量で、ミニタブレット並みの大画面を利用できるのは、Galaxy Z Fold8ならではの体験だ

 そして何といっても、この軽くて薄いボディーで7.6型の大きなディスプレイを利用できるのは、他のスマホでは得られない格別の体験だ。閉じれば小型スマホ、開くとタブレットのような大画面を使えるのはGalaxy Z Fold8ならではの利点だが、薄型化を追求する中でトレードオフになった機能もある。その1つがSペンだ。

 Galaxy Z Fold8はGalaxy Z Fold7から引き続き、Sペンを利用できない。ヤン氏は「SペンはGalaxyのエコシステムで引き続き重要な要素」とする一方で、「今回のZシリーズでは携帯性、耐久性、全体的な使いやすさの最適なバランスを優先した。ユーザー調査からも、折りたたみユーザーにとって携帯性と利便性が非常に重要な要素であることを確認している」と述べ、携帯性を重視したことを示す。「今後も製品の方向性とユーザーニーズを総合的に考慮し、Sペンを検討していきます」(同氏)

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 また、メインディスプレイに搭載するインカメラは、ディスプレイの下に埋め込むUDC(アンダーディスプレイカメラ)ではなく、パンチホール型となっている。そのため、画面上にカメラの穴が露出することになり、コンテンツの表示が阻害されてしまう。「Galaxy Z Fold6」までの一部機種ではUDCを採用していただけに残念だが、これも薄型化を優先した結果だという。

 「UDCは社内でも意見があった。ユーザー体験やコンテンツの消費、折りたたみで最重視する携帯性の調和を考えたときに、ホールインディスプレイがベストだという結論になった。ユーザーからのフィードバックを考慮し、UDC(の復活)は引き続き検討していきたい」(ヤン氏)


インカメラがパンチホール型のため、コンテンツを阻害してしまう。設定からカメラ領域(パンチホールを含む領域)をアプリごとに隠すことはできるが、端に黒帯が表示され、ディスプレイの表示領域がわずかに狭くなってしまう

日本企業との密接な協業 プロジェクト名は「プライベート・ライアン」

 ヤン氏は、Galaxy Z8シリーズの開発における、日本企業との深い知見と協力関係についても明かした。

 フレックスチタニウム技術の開発段階において、要求される柔軟性と耐久性を満たすチタン素材や、それを極限まで薄く均一に加工する高度な技術を提供できたのは、世界中で日本企業のみだったという。

 「開発過程は決して平たんではなく、幾度となく頓挫しかけるほどの困難に直面した。そのため、このプロジェクトは映画にちなんで社内で『プライベート・ライアン』と呼んでいた」(ヤン氏)

 無事にプロジェクトが完了した打ち上げの際、メンバーが映画のワンシーンに開発風景を重ね合わせたAI生成動画を作成し、過酷な開発ロードを振り返りながら酒をくみ交わしたという。

 「日本の優れたパートナー企業と緊密に協力したからこそ、私たちが思い描いた技術革新を遂げることができた。この場をお借りして、心からの感謝を伝えたい」

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