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モトローラ初の横開き「razr fold」はなぜ生まれた? FeliCa搭載やIIJmio「10万円引き」の狙いを直撃(1/2 ページ)

モトローラが初の横開きスマホ「motorola razr fold」を日本市場へ投入した。フリップ型の技術を応用し薄型化とフラグシップ級のカメラ性能を実現している。FeliCa対応やIIJでの大幅割引により、国内のメイン端末需要を狙う。

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 フィーチャーフォンの名機にその名を由来するモトローラのrazrシリーズは、縦開きのフリップ型フォルダブルスマホとして知名度を高めてきた。折り曲げられるディスプレイを備え、折りたたみケータイを再現した格好だ。そんなモトローラが、ついに横開きのフォルダブルスマホを開発、日本市場に投入した。その1台が、「motorola razr fold」だ。

 横開きでも、ヒンジやディスプレイにはフリップ型で培ってきたノウハウが注ぎ込まれており、初物ながら薄いボディーを採用。他社のフォルダブルスマホの“弱点”ともいわれていたカメラやバッテリーなどを強化しており、活性化しつつある市場に打って出る。日本版は、おサイフケータイにも対応。キャリアでの取り扱いはないが、IIJとタッグを組むことでMNPでの10万円割引も実現した。

 とはいえ、razrはやはりフリップ型のイメージが強い。なぜ、モトローラはこのタイミングで横開きのフォルダブルスマホを開発したのか。しかも、FeliCaを搭載するなど、日本向けのカスタマイズもしっかり施している。そんなrazr foldの開発経緯や日本に投入を決めた理由を、モトローラ・モビリティ・ジャパンの開発事業部長の伊藤正史氏に聞いた。

motorola razr fold
モトローラのフォルダブルスマートフォン「motorola razr fold」。開くと約8.1型ディスプレイを利用できる
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閉じると通常のスマートフォンのように、21:9比率の約6.1型ディスプレイを利用できる

フォールド型だと新しいユースケースを訴求できる

―― 意外なことに、razr foldはこれだけフォルダブルスマホを作ってきたモトローラとして初めての横開きです。なぜ、いま、横開きなのでしょうか。

伊藤氏 フィーチャーフォンのrazrからの系譜もあり、モトローラはこれまでスマホのrazrもフリップ型で展開してきました。閉じるとコンパクトで、開くと大画面ということをアピールしています。日本では、お求めやすいフリップ型としてプレゼンスを築いてきました。一方で、最近では横開きのフォールド型へのニーズも含め、折りたたみへの要望が多様化しています。

 フォールド型は閉じた状態だと普通のスマホで、開くとさらに大画面になります。もちろん、ガラケーを経験していない若い人にはフリップ型が小さくてかわいいという意見もありますが、フォールド型だと新しいユースケースを訴求でき、受け入れられやすい。持ち歩くものを減らしたいというニーズにも応えられます。

 ノートPCやタブレットとスマホを2台持ちする必要なく、1台でタブレットのようなプロダクティブな作業にも、エンタメコンテンツを楽しむのにも使えますからね。こうした総合的なメリットを考え、モトローラとしてフォールド型も選択肢に入れる必要があるという判断に至りました。

motorola razr fold
モトローラ・モビリティ・ジャパンの開発事業部長の伊藤正史氏

―― iPhoneのフォルダブルがフォールド型で登場するといわれていますが、日本市場投入にあたっては、そういったこともきっかけになったのでしょうか。

伊藤氏 もちろんそうです。今年(2026年)は大きくフォールド型の市場が動くとみています。モトローラはフリップ型を中心にプレゼンスを築いてきましたが、フォールドという選択肢があることもお示ししておかなければ、今後はなかなかキツくなってくるだろうと思っています。

ストレート型スマホの「最高峰」をフォルダブルにも搭載

―― 機能面やサイズ感のバランスなどを見ると、他社のフォールド型を研究し尽くしている印象があります。弱点を埋めにきたというような。

伊藤氏 初めてフォールド型を出すにあたり、キャッチコピーは「最高峰」にしています。最高峰を目指したのが、出発点だったからです。他社のものを見ていると、値段と大画面のバランスを取るためか、少しカメラのスペックが抑え気味です。バッテリー容量もそこまで大きくない。それに対し、われわれは今持っている最高のカメラを入れています。

 このカメラは、評価機関「DXOMARK」でゴールドカメラのラベルをもらった性能のもので、海外で販売している「signature」にもまったく同じものが入っています。つまり、バータイプのスマホの最高峰を、フォルダブルにも入れたということです。バッテリーは、シリコンアノードのテクノロジーを適用して、大容量化を図っています。

motorola razr fold
カメラは広角+望遠+超広角の3眼で構成され、画質のチューニングも妥協していない

 フォルダブルスマホの場合、バッテリーを2つに分割しなければならず、その中で厚みを抑えているのでどうしても容量が少なくなりがちですが、この技術で大容量化を達成できました。

 また、フォルダブルには興味はあるが、耐久性が問題であるというお声はよく聞きます。こうした声は、特に持っていない方から聞くことが多い。そこにもこだわりました。具体的には、ヒンジの部分に、今までフリップでも採用してきたしずく型ヒンジを採用しています。折りたたんだときに、ティアドロップのようにたわむ構造で、それを突き詰めて折り目を目立たなくしています。

motorola razr fold
折り目の目立たないディスプレイを実現している

 素材には、剛性が高く、車にも使う2000MPa級の金属を使い、メインディスプレイの後ろにはチタンのプレートも入れています。それで折りたたんだときの応力のかかり具合を分散し、耐久性や剛性を高めています。もう1つはアウトディスプレイで、こちらにはコーニングの「Gorilla Glass Ceramic 3」を採用しています。こちらは、コンクリートに2mの高さから落としても割れません。1mの高さから20回連続で落としても割れないという試験も実施しています。

フリップ型で培ったノウハウで薄いボディーを実現

―― 開いたときの厚みが4.55mmです。最薄ではありませんが、最初のフォールド型でここまで薄くできたのには驚きました。

伊藤氏 端末が太る要素にはバッテリーやディスプレイ、後はヒンジの構造がありますが、ディスプレイのチタンプレートは薄いもので、その上には極薄のガラスを載せています。全体的に、薄さを損なわない設定になっています。

motorola razr fold
開いた状態では約4.55mmの厚さを実現した

―― ヒンジを小型化できたのは、これまでのrazrのノウハウが生きているからなのでしょうか。

伊藤氏 はい。フリップで培ってきたノウハウを入れています。折り目が目立たないしずく型ヒンジを搭載しながら、厚みは抑えています。本来、しずく型は空間が必要になるのである程度厚くなりがちですが、そこはバランスを取って薄さをキープしました。

―― しかも、今回、ペン入力にも対応しています。

伊藤氏 対応するにあたり、ディスプレイの剛性を高めています。また、ペン入力はアウトディスプレイ、メインディスプレイの両方に対応しています。アクティブスタイラスで4096段階の筆圧検知も可能なものです。

―― さすがに、本体内蔵は難しいですよね。

伊藤氏 そうすると、どうしても厚くなってしまいます。それも検討はしていましたが、最終的にこの形に落ち着きました。

メイン端末として使ってほしいのでFeliCaを搭載

―― もう少し仕様について伺いたいのですが、チップセットが「Snapdragon 8 Gen 5」で「Elite」なしのSnapdragonなのはなぜなのでしょうか。

伊藤氏 Eliteだと高くなってしまいますから(苦笑)。Qualcommさんの中ではEliteが本当のフラグシップ、Eliteなしはやや落ちる形になっていますが、横開きのフォルダブルで「Snapdragon 8 Elite Gen 5」まで載せると、価格はさらに上がってしまいます。日本のキャリアさんとのIOT(インターオペラビリティテスト)の関係もあり、このタイミングではSnapdragon 8 Gen 5になりました。

―― とはいえ、パフォーマンスがそこまで違うわけではないですよね。

伊藤氏 クロックスピードやGPUはやや落ちますが、ヘビーなゲーマーの方がガンガン使うのでなければ、違いは分からないと思います。

―― 日本版は、FeliCaが搭載されおサイフケータイに対応しています。オープンマーケットモデルだけで、この価格だと台数も少ないと思いますが、なぜここまでカスタマイズしたのでしょうか。

伊藤氏 SIMフリーのみという形で「razr 40 ultra」を出したときにはおサイフケータイを搭載していませんでした。ただ、「これにおサイフケータイがあれば買ったのに」という声がものすごく多かった。日本でメインのスマートフォンとして使うには、もはや必須の機能だからです。razr foldは、1台でPC、タブレットと普段使いのスマホを兼ねる端末で、メインになるべきものだと考えています。そう判断して、入れることにしました。

―― グローバル版は3月のMWCで正式に発表されましたが、その際には日本導入が決まっていたのでしょうか。

伊藤氏 実は完全に決まっていたわけではなく、パートナーとコミュニケーションをしていた時期になります。その後ぐらいに、出すことが決まりました。キャリアモデルはさすがに無理ですが、まずはオープンマーケットでなら出せます。ただ、あまりに遅くなると他社が来てしまうということもあるので、このタイミングになりました。

―― そのタイミングでの決定で、FeliCa搭載できたのが驚きです。対応に時間はかかりませんでしたか。

伊藤氏 世に出すまでには、FeliCaのハードウェア試験とソフトウェア試験があり、どうしても最後の試験のところに時間がかかってしまいます。ただ、今回はどうしてもこのタイミングで出したかった。「そこを何とか」と頼みこんで、かなり早くやっていただけることになりました。

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