モトローラ初の横開き「razr fold」はなぜ生まれた? FeliCa搭載やIIJmio「10万円引き」の狙いを直撃(2/2 ページ)
モトローラが初の横開きスマホ「motorola razr fold」を日本市場へ投入した。フリップ型の技術を応用し薄型化とフラグシップ級のカメラ性能を実現している。FeliCa対応やIIJでの大幅割引により、国内のメイン端末需要を狙う。
インパクトを出すためにIIJで10万円割引を実施
―― しかし、IIJではまさかの10万円引きでインパクトが大きかったです。あれは、モトローラの割引も含めているのでしょうか。
伊藤氏 IIJさんとは、以前からパートナーシップを組んでお互いの強みを生かし、ニーズを補完し合える製品戦略を展開してきました。おかげさまで、IIJさんの中でのシェアも年々増加しています。今回は、横開きのrazr foldをできるだけお求めやすい価格で展開したいという両社の思いがあり、ブレークスルーポイントを議論してきました。20万円を切ったら売れるということで、お互いに投資をして10万円引きを何とか実現できました。やはりインパクトを出すには、10万円引きという数字を入れた方がいいですからね。
―― キャリアからも時間があれば導入したかったという声はありませんでしたか。
伊藤氏 キャリアさんも横折りのフォルダブルに市場があるとは分かりつつも、様子を見て少し慎重になっているところはあります。まずはうちが出し、他社も出して市場が立ち上がってくれば、もっとバリエーションを出す方向になっていくのではないかと期待しています。バリエーションを広げることは模索していきたいですね。
―― ユーザーからの反響はいかがですか。
伊藤氏 海外ではすごく評判がよく、日本で今回発表した際には、過去にない反響の大きさでした。フリップ型も引き続きやっていきますが、正直、話題性という意味だとこちらの方が大きかったと思います。
―― 目黒蓮さんよりrazr fold、と。
伊藤氏 ある意味では(笑)。響いている層はまったく違いますが、X(旧Twitter)での反響は今までより大きいですね。
「moto g37/g37j」で面を取る 価格とスペックのバランスに苦心
―― サポートや保証はどうなっていますか。フォルダブルだと特に重要だと思います。
伊藤氏 キャリアモデルではないので、モトローラとして直接、群馬の修理拠点で修理を受け付ける体制にしています。また、ディスプレイについては、傷がついたり割れてしまったりしたお客さまには、1回無料で交換するサービスもやっています。横開きだと値段が高いので、どうしようかとなりましたが、やりましょうということで1回は無料にしました。
―― 他のモデルはiCrackedで即日修理を受け付けていますが、razr foldも対象でしょうか。
伊藤氏 はい。対象です。ただ、iCrackedの修理にはmoto careが適用されません。現在、有償修理だけでなく、メーカー保証修理も受けられるようにすることを検討しています。
―― 一方で、フォルダブルは価格的に、何十万台も売るような端末ではないと思います。会社としての成長や売り上げを担保するのは、同時期に発表した「moto g37/g37j」ということでしょうか。
伊藤氏 はい。売り上げを達成するためのメインドライバーで、出荷台数も含めて面を取っていきます。モトローラは、徐々に日本市場での認知度が上がってきましたが、若い人を中心に、まだまだ「何のメーカー?」という人が多い。手に取りやすく、ぱっと見で目を引く色で2万円をちょっと超えているという価格でありながら“高見え”するものなので、ぜひ手に取っていただきたいですね。
―― ドコモ版が、本体価格2万2000円でインパクトがありました。
伊藤氏 総額2万2000円を達成できる値付けにはこだわりました。今回はg37ですが、前の世代はY!mobileにも出した「moto g66j/g66y」という型番の製品です。そこからメモリがグワーッと上がってしまい、どうしてもバランスを取る必要がありました。
そのため、例えばg66でやっていたIP68の防水はやめてIP64にした他、カメラもg66はソニーさんのLYTIAでしたが、こちらはより部品価格を抑えたものになっています。
―― とはいえ、メモリがここまで上がってしまうと、それだけのスペックダウンで何とかなるものなのでしょうか。
伊藤氏 メモリ自体も、レノボグループの調達力を駆使して、さらに工夫をすることであの値段になっています。社内では、各国でメモリの争奪戦みたいになっていますね……。
―― 争奪戦ですか。g37は売り先が多く、確保に成功したということでしょうか。
伊藤氏 日本としてこれだけの台数をやる、どこのキャリアとこれだけやるのをコミットするので、とにかくよこせと言いました(笑)。おかげ様で、相当な数量を調達していただけました。
―― メモリやストレージのバリエーションが豊富ですね。
伊藤氏 キャリア側との会話で、ああいうスペックになっています。ただ、メモリはすしネタのように時価になっていて、会話している間にもどんどん値段が上がってしまいます。2万円台だとこの容量じゃなければ難しいというようなお話があり、それでもということであのような形になりました。
取材を終えて:サポート体制と販路の強化が課題に
スペイン・バルセロナのMWCでrazr foldが発表されたのは、3月の初め。その時点では、まだ日本での正式展開は確定していなかったことが分かった。一般的なスマホの開発スケジュールとしてはかなり急ピッチだが、それだけ同社がフォルダブルスマホの市場の変化に敏感だったことがうかがえる。反響の大きさからも、おサイフケータイの試験を巻き上げてまで投入したのは正解だったといえそうだ。
もっとも、現状ではサポート体制がまだ手薄だ。特に、iCrackedでの修理にメーカー保証が適用できるようにする点は、早急に検討を終えて対応を進めてほしい。メインスマホとして使ってもらいたいのであれば、この点は特に重要だ。この反響を生かし、次機種以降で販路を拡大できるかも、モトローラにとっての宿題になりそうだ。
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