「iPhone Duo」登場の裏で「iPhone 18」が発表されなかった理由 変わりゆくラインアップ戦略を読み解く:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
Appleは、初のフォルダブルスマホ「iPhone Duo」やカメラ機能を強化した「iPhone 18 Pro」などを発表した。例年と異なり、ノーマルモデルやiPhone Airの後継機は不在で、旧モデルが継続販売される異例の展開となった。背景にはメモリ等の調達難があり、時期の分散や値上げという形でラインアップに大きな影響を与えている。
Appleは、9月10日未明(日本時間)に新製品発表会を米カリフォルニア州クパチーノで開催。初のフォルダブルスマホとなる「iPhone Duo」や、カメラに絞りを搭載した「iPhone 18 Pro」「iPhone 18 Pro Max」などの新モデルを発表した。Apple WatchやAirPodsの新製品もそろえた。
同社初のフォルダブルスマホということもあり、iPhone Duoに高い注目が集まっているが、スマホのラインアップ全体を見渡しても、今回は大きな変化がある。ノーマルモデルのiPhoneや、2025年に登場した「iPhone Air」の後継機が不在な上、継続販売する過去モデルも通常なら値下げされるところが、値上げになっていることだ。背景には、メモリの調達が厳しくなっている市場環境がありそうだ。
スマホは3機種、例年より少ないiPhoneのバリエーション
例年、Appleは9月にiPhoneのラインアップを一新してきた。2017年の「iPhone X」登場時に、1機種だけ投入が遅くなるといった例外はあったものの、ここ数年はノーマルモデルとプロモデルで画面サイズ違いが2機種ずつというのが定番になっていた。2025年はこの図式がやや崩れ、ノーマルモデルの大画面版に変わって、超薄型モデルのiPhone Airがラインアップに加わっていた格好だ。
一方で、2026年9月に発表されたスマホは、iPhone DuoとiPhone 18 Pro、Pro Maxの計3機種。カテゴリーとしてフォルダブルスマホのDuoが新設されたものの、ノーマルモデルの「iPhone 18」やiPhone Airの後継機は発表されていない。
恒例となっている締めのラインアップ紹介では、iPhone DuoとiPhone 18 Proに加え、iPhone Airと「iPhone 17」「iPhone 17e」がまとめて並べられていた。2026年3月に登場し、発売から半年しかたっていないiPhone 17eはもちろん、販売開始から間もなく1年が経過するiPhone 17やiPhone Airもいまだ“現役”というわけだ。
とはいえ、ノーマルモデルのiPhoneは販売実績も高く、Appleにとって文字通りのドル箱だ。香港に拠点を構える調査会社のCounterpoint Researchは、10日、iPhone 17シリーズが発売初年度の売上高で過去最高を記録したと発表した。その記録をけん引したのはノーマルモデルのiPhone 17で、同調査によると前年度比で1.3倍にも拡大しているという。同モデルは、上期に世界で最も台数が売れたスマホにもなった。後継機を出さない選択肢は考えづらい。
2025年2月に投入された「iPhone 16e」の登場以降、AppleはiPhoneの投入時期を徐々に分散させようとしていた節がある。Appleの決算を見れば分かるように、iPhoneは同社の主力製品で、売り上げの約半分を占める。その半分を9月に一斉発売していることから、同社の決算は四半期ごとの波が大きく、例年、9月を含む同社の第4四半期や年末商戦を含む翌第1四半期に売り上げが大きく伸びていた。
サービス部門や他の製品で売り上げは分散させようとしているものの、サプライチェーンや社内リソースにかかる負荷にも波が出てしまう。予測の難しさは、株価に悪影響を与えることもある。また、今回は、フォルダブルスマホのiPhone Duoが加わったため、もしiPhone 18やiPhone Airの後継機があったとすると、スマホだけで一気に5製品も展開することになる。Duo投入のタイミングは、ラインアップ戦略を見直すには最適な時期だ。
関連記事
Apple、「iPhone 18(無印)」を発表せず 2027年春投入の予測と背景
Appleが製品発表イベントでiPhone DuoやiPhone 18 Proを披露した一方、標準モデルiPhone 18の発表を見送った。同社は全機種を一斉発表する従来方針を変更し、秋と春の二段階で商品を投入する販売戦略へシフトしたとみられている。2025年発売のiPhone 17が高い完成度を誇る点やストア価格の値上げ推移も影響しており、買い替え時には注意が必要だ。新iPhone発表で「iPhone 17/17e/Air」など旧モデルを値上げ 17は15万9800円スタートに
Appleの新モデル発表に伴い、継続販売される旧iPhoneの価格改定が行われた。iPhone 16やiPhone 17など全4モデルが一斉に1万円以上値上げされた。最も値上げ幅が大きいiPhone Airの1TBは4万7000円増となり、最安モデルはiPhone 17eの12万4800円となった。「iPhone 18 Pro」は何が進化した? 「iPhone 17/17 Pro」とスペックを比較 全て20万円超えの価格が悩ましい
AppleがiPhoneの最新モデル「iPhone 18 Pro」と「iPhone 18 Pro Max」を発表し、9月18日に発売する。iPhone 17 Proからはカメラやバッテリー、パフォーマンスが向上している。ただし価格が上がっているため、iPhone 17も有力な選択肢になる。折りたたみ「iPhone Duo」を触って実感した“Appleらしさ” 現地からファーストインプレッション
iPhone DuoとiPhone 18 Proの現地レポートをお届けする。iPhone Duoは画面の折り目が目立たずスムーズなUI連携を実現している。iPhone 18 Proは可変絞りカメラを搭載しクリエイター向けに進化を遂げた。「iPhone Duo」と「Galaxy Z Fold8」のスペックを比較 薄さと機能性、約9万5000円の価格差をどう評価する?
Appleが発表した「iPhone Duo」と「Galaxy Z Fold8」の公表スペックを比較検討する。iPhone Duoはアスペクト比の一貫性とIP68の防塵・防水が特徴だが、価格の高さが課題となる。一方のGalaxy Z Fold8は軽量性とミリ波対応、約9万5000円安い価格面で優位性を持つ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.