キャリアともMVNOとも違う独自路線 povoが目指す「パートナー連携2乗」と世界展開の勝算:石野純也のMobile Eye(1/2 ページ)
KDDI SUMMIT 2026でpovoのB2B2C戦略が解説された。プリペイドの強みを生かし特典やSDK提供などでパートナー連携を広げている。通信を機能として組み込む独自モデルはMVNOとも一線を画し海外展開も進む。
KDDIは10月27日~28日の2日間にわたり、「KDDI SUMMIT 2026」を開催した。同イベントはauのネットワークや法人向けサービス、ソリューションなどを中心にしていたが、オンライン専用ブランドとしてコンシューマー向けにサービスを展開しているpovo2.0を運営するKDDI Digital Lifeもワークショップを開催。B2B2Cという切り口で、パートナーとの実際の取り組みを解説した。
povoは、トッピングやSDKを通じてパートナー経由で回線を届けるB2B2Cのビジネスモデルを広げてきたが、PCにpovoの回線を内蔵する「ConnectIN」やインバウンド向けの「Japan SIM」などでその成果が出てきているという。「コラボレーションを2倍ではなく、2乗に変えていく」戦略を、KDDI Digital Life 代表取締役社長の濱田達弥氏らが語った。
トッピングを企業の特典に プリペイド型の強みを生かす
楽天モバイルのローミングエリア縮小や、ドコモのパケ詰まりなどに合わせ、副回線利用を積極的に提案しているpovoだが、小回りの利いた発想は、対法人でも生かされている。とはいえ、ここでの法人は「povoの通信回線を法人の方に使ってくださいという意味ではない」(同)。どちらかといえば、同社はB2B2Cの形で、パートナーとタッグを組み、最終的にはコンシューマーにサービスを提供する形を志向している。
濱田氏によると、そのビジネスモデルの形態は主に4つに分かれるという。1つ目が、特典としての活用だ。これは、ポイントプログラムなどで、povoのデータ容量を配るというもの。具体的には、日本マクドナルドが提供している「Myマクドナルドリワード」だ。モバイルオーダーやマックデリバリーのオーダーができる同社公式アプリでは、購入時に付与されるポイントを、povoのデータ容量に交換できる。
マクドナルドの店舗内で使うデータ容量を提供するというのが、そのコンセプトだという。KDDI Digital Lifeのビジネス開発部 部長 北田渉氏は、「マクドナルドの店内では、動画を見たり、ゲームをしたり、学生の方は勉強をしたりしていると思うが、そういった方々に使っていただくための特典」だと語る。店舗内での休憩時に、Wi-Fi代わりに使えるデータ通信という位置付けだ。
こうしたユースケースを想定していることもあり、マクドナルド公式アプリ内で交換できるpovoのプロモコードは、「データ使い放題(1時間)」が中心になっている。パートナー自身がpovoの回線を活用するのではなく、パートナーがpovoそのものを活用し、ユーザーに回線を提供するというB2B2Cのビジネスモデルだ。
同様の取り組みはオフラインの店舗だけでなく、オンラインサービスでも実施されている。北田氏が事例として挙げたのが、テレビの見逃し配信を提供しているTVerとの取り組み。2025年には、視聴回数を満たすと、抽選で12回分の「データ使い放題(7日間)」が当たるキャンペーンが実施された。これらは、povoのプロモコードをパートナーが活用し、ポイント交換先のアイテムや、抽選で当たる特典としてユーザーに提供できる仕組みだ。
毎月データ容量や料金がかっちり決まっているメインブランドだと、データ容量そのものを特典にしづらい。まさに「トッピングと呼んでいるプリペイド型で、好きなときにいつでも用途に応じてサービスをご購入でき、使っていただけるサービス」(濱田氏)というpovoの特徴を生かした応用事例といえる。
ホワイトレーベルとして黒子に徹する組み方やリアル連携も
2つ目が、ホワイトレーベルとしてpovoが裏方に回り、回線を提供する方法だ。これは、povoが提供する「povo SDK」を使って実現しているサービスで、「自分たちのブランド風にして提供できる」(北田氏)のが特徴。「これでビジネスをするというより、既存の商品の付加価値として通信をつける取り組み」(同)にあたる。
その事例として北田氏が挙げたのが、JCBが台湾の訪日外国人向けに提供する「Japan SIM for MyJapan+」だ。同サービスは、JCBが台湾で展開する「MyJapan+ by JCB」というアプリ上でサービスを行っており、「約款や提供はKDDIからだが、JCBが提供しているように見える」(同)。
また、大阪・関西万博に合わせて大阪観光局が用意した「Osaka eSIM」も、povo SDKを利用しているものだ。濱田氏は、「大阪市は通信事業者ではないが、Osaka eSIMを提供している。(中略)サービスのイネイブラーとしてpovoが裏で動いている」と話す。同氏によると、この2サービスだけで「毎月数万のeSIMをご利用いただいている状況」だという。
デバイスなどに組み込んだ提供も、このホワイトレーベル型に近い。PCにあらかじめpovoを入れた状態で販売するConnectINがこれに該当する。今はPCやWi-Fiルーターが中心だが、「見守りカメラやポータブルのゲーム機にも使えるんじゃないかということで、さまざまなところにアプローチを広げている」(北田氏)。
3つ目として挙げられたのが、リアルな場所にひも付いた提供形態だ。これは、「物理的にユーザーがお立ち寄りになる場所や店舗、駅、観光スポット、コンサート会場などで、povoの回線を使うソリューション」(濱田氏)を指す。その1つが、ローソンに来店すると、毎月最大1GBがもらえる「povo Data Oasis」だ。povoでは、この取り組みを拡大しており、現在では関東の私鉄、1300駅にもData Oasisを拡大している。
濱田氏によると、これは「イメージとして、Wi-Fiスポットに近い」という。現在は、ローソンや関東の私鉄の駅が中心だが、「今後は日本全国津々浦々にチャージスポットを増やそうと思っている」(同)という。一例として、「大阪のツーリストスポットを使えるようにするなど、外国からお越しの方も使えるようにする」といったアイデアも練っているようだ。
リアルな接点としては、ローソンで販売する「ギガチャージカード」も展開している。「クレジットカードを持っていない方が、これを使ってご自身の通信を入れる形になる」(北田氏)という。ターゲットは若年層で、特に「千葉県の某テーマパークのローソンは販売枚数がすごい」(同)と成果を出している。他にも、バスターミナルや大学生協の近くなどでは、若いユーザーが購入しているようだ。
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