auが通信品質10部門で単独首位、追うソフトバンクは「小差」 5G SA利用率3.8%の課題も Opensignal調査
Opensignalの最新レポートでauが品質やアプリ体感を中心に10部門を制して最多受賞を果たした。ドコモはエリア、ソフトバンクは下り速度や5G利用率、楽天は上り速度でそれぞれ強みを発揮した。5G SAの普及や衛星直接通信の商用化など次世代インフラを巡る競争も活発化している。
英Opensignalが、国内通信事業者を比較した最新の「モバイルネットワーク・ユーザー体感レポート」を発表し、10月28日に記者説明会を開催した。今回の調査期間は2026年7月1日〜9月28日となる。
auが10部門でトップ、各社もエリアやスピードで存在感
全国を対象とした受賞結果において、auは全18指標中10部門でトップとなった。auは国内キャリアの最多受賞で5回連続トップを達成した。
Opensignal プリンシパル・アナリストのロバート・ヴィルジコウスキー氏は、auの勝因について「特に通信品質とアプリエクスペリエンスのカテゴリーで圧倒的な強さを見せた」と説明する。auは「一貫した品質」と「信頼性」の2部門を単独受賞し、信頼性に関しては今回で5回連続の受賞となった。さらに、ビデオやゲーム、音声アプリなどアプリ関連の8部門全てで単独受賞を達成した。
ドコモはカバレッジ関連の4部門中3部門で受賞し、生活空間や移動ルートにおけるエリアの広さを示した他、5G下り速度でも約160Mbpsで首位を維持した。
楽天モバイルは、上り速度と5G上り速度の2部門で全国8地域全てを制覇した。自社回線網を拡大し、KDDIローミングへの依存度引き下げを並行して進めながら、安定した品質を維持している点が評価された。
ソフトバンクは下り速度(71.5Mbps)と5G利用率の2部門で単独受賞を果たした。下り速度は前回レポート比で約10%向上している。5G SAの導入を広げたことで、5G利用率は36%まで伸ばしている。
5G SAの性能優位性を実証も、接続率はわずか3.8%にとどまる
レポートでは5G SA方式の性能分析も取り上げられた。国内データによると、5G SAは従来のNSA(ノンスタンドアロン)方式と比較して下り速度が15%高速化し、一貫した品質が8%向上したという。さらに、遅延も低減できる他、屋内での通信も一貫した品質や低遅延でNSAより優れていることが確認された。
ヴィルジコウスキー氏は「ネットワークから4Gの基盤部分を切り離すことで応答時間が短くなり、ストリーミングやゲームでユーザー体感が大きく向上する」とSAのメリットを指摘する。
一方で、普及面には依然として課題が残る。国内のOpensignalユーザーが5G SAに接続している時間の割合はわずか3.8%にとどまる。5G SA対応エリアが広がっているにもかかわらず、利用が進まない要因についてヴィルジコウスキー氏は「5G SA対応端末がまだ広く普及しておらず、従来端末を利用し続けているユーザーが多いことが一因だ」と回答した。
同社APAC地域セールス担当バイスプレジデントのロブ・ラーナー氏も「通信事業者の周波数の使い分けが影響している。Cバンド(3.4〜4.2GHzなどの周波数帯)を優先することで、SAの接続エリアが局所的になっている側面がある」と補足した。
ソフトバンクは小差で2位も、品質はグローバル水準
auが最多受賞をした一方で、通信品質では近年、auと並んで高評価だったソフトバンクが多くの部門で2位となって差がついてしまった。ただしラーナー氏によると、その差は小差だという。
2社の違いについて同氏は「ソフトバンクは低周波数帯の転用も含めて5Gのエリア展開を積極的に進めた結果、5G利用率で明確な首位に立っている。一方のauはCバンドをより多く活用しており、全体の品質バランスでauが首位を獲得した」と分析した。
続けてラーナー氏は「Opensignalが発表したグローバルアワードでは、auとソフトバンクの双方が多くの部門で世界のリーダーに選出されている。国内での競争はし烈だが、世界水準で見れば両社ともに極めてハイレベルなパフォーマンスを発揮している」と総括した。
日本は衛星直接通信で世界のフロントランナー
説明会では、スマートフォンと衛星が直接通信を行う「D2D(Direct-to-Device)」の世界的な動向を可視化した「D2Dマップ」も公開された。日本は世界の中でもD2D導入が進んでいるフロントランナーに位置付けられている。海外では米国、チリ、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、フィリピンなどで衛星直接通信サービスの導入が進んでいる。
ドコモは2026年5月にStarlinkと提携して衛星との直接通信サービスを開始し、2カ月で契約者数500万人に到達した。同社はさらに「Starlink Mobile V2」の利用契約を結び、2028年には音声通話や高速データ通信を提供する。auも同様にStarlink Mobile V2の契約を進めて2027年末までの本格展開を目指す。楽天モバイルはAST SpaceMobileと組んで2026年末までの商用化を計画している。
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