楽天モバイル、1100万回線突破の背景に「通信品質向上」とOpensignalが分析 下り速度とカバレッジの課題は残る
Opensignalの最新レポートによると、楽天モバイルは大手3社からの転入超過が続き解約率も大幅に改善した。独自インフラの高度化で上り速度や5G遅延は優位性を示す一方、下り速度やエリア展開には依然として課題が残る。カバレッジ改善に向け衛星通信を計画するが、10月からのKDDIローミング縮小が今後の品質に与える影響が注視される。
英国の調査会社Opensignalは、楽天モバイルの契約回線数が2026年9月に1100万回線を突破したことを受け、加入者動向と通信品質に関する最新レポートを発表した。
日本の携帯市場で同社の契約シェアは約6〜7%にとどまるものの、他社からの乗り換え獲得シェアは約13%に達する。特にNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3社に対しては、転出1件あたり1.83件の契約を獲得しており、流出を大きく上回る転入超過が続く。
一貫した品質は約80%を維持 上り速度が強み
大手3社が無制限プランを月額7800円超で提供する中、楽天モバイルの「Rakuten最強プラン」はデータ無制限で月額3278円と、月額で約4500〜5000円の差がある。これが乗り換え動機の1つであることは明白だが、Opensignalは「同価格帯で競合するブランドに対しても転出1件あたり1.31件を獲得している」と指摘する。つまり、安さだけでは楽天モバイルが支持されている理由の説明がつかないというわけだ。
一方、契約増に伴う通信品質の低下が懸念されるが、日常利用に必要な通信水準を満たす割合を示す「一貫した品質」は、2024年第3四半期の80.9%から2026年第2四半期には81.1%とほぼ横ばいを保つ。平均アップロード速度は15.6Mbpsと、主要3キャリア平均(8.73Mbps)を78%上回る。こうした品質維持が功を奏してか、楽天モバイルの単純解約率は2024年第4四半期の2.52%から1.49%へと大幅に低下した。
Open RAN高度化で5G遅延が22%改善
5G通信における平均ICMP遅延時間は、2025年8月の30.12ミリ秒から2026年8月には23.41ミリ秒へと約22%短縮された。これは4キャリア中2番目に短い。さらに、ゲーム利用時の5Gジッタ(通信遅延の変動)も約26%改善し、リアルタイム性が求められる用途での体感が向上した。
この遅延改善は、2026年2月に完了したRANインテリジェントコントローラー(RIC)を全国展開した時期とも重なる。AIによるネットワーク制御の自動化を推進し、業界団体TM Forumの「自律型ネットワーク レベル4」認定を取得した。ユーザー体験を損なわずにRANの消費電力を約20%削減するなど、ソフトウェア主導の高度なインフラ運用が品質向上に直結しているとOpensignalは分析する。
残る課題「カバレッジ」は衛星直接通信で埋まるか
着実な進化を遂げる一方、課題も残る。ダウンロード速度は依然として国内4位にとどまっており、割り当てられたLTE周波数帯の制約が足かせとなっている。また、圏外率は0.70%から0.57%へと改善傾向にあるものの、山間部や地方でのエリア展開は大手3社に対する最大の弱点だ。
このカバレッジ格差の解消に向け、楽天モバイルは米AST SpaceMobileと連携し、2026年第4四半期に衛星直接通信(Direct-to-Device:D2D)サービスの開始を計画する。通常の基地局が届かないエリアを含む日本全土を網羅し、音声だけでなくデータ通信や動画視聴への対応も視野に入れる。
10月にKDDIローミング利用率の減少を確認
今回の調査期間は2026年7月1日〜9月28日だが、次回以降の調査で懸念されるのが、2026年10月1日から大幅に縮小されたKDDIのローミングだ。
APAC地域セールス担当バイスプレジデントのロブ・ラーナー氏は楽天モバイルの品質調査について「Opensignalの調査は端末側でのエンドツーエンドの体感を測定しており、国内(KDDI)ローミングも対象に含まれている」と話す。つまり、KDDIのローミングが縮小された10月以降、楽天モバイルの通信品質の評価が一変する可能性がある。
この点についてラーナー氏は「今回のレポートは9月末までのデータを反映したもので、ローミング大幅縮小の影響自体はまだ含まれていない。ただし、10月の分析ではローミング利用率の微減が確認されている。今後の品質変化については臆測を避け、実際の測定データを継続的に分析して公表していきたい」と答えた。
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