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» 2006年10月16日 00時00分 公開

Symbian OSは、なぜ端末メーカーに選ばれるのか──シンビアンの久社長に聞く (1/3)

番号ポータビリティの開始に向け、日本では各キャリアが次々と多彩な新端末を市場に投入している。端末の高機能化が進み、開発コストが高騰する中、なぜ端末メーカーはこれだけの端末をリリースできるのか。その鍵を握るのがSymbian OSだ。

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インフォメーション

開発者向けトレーニングセミナー

 シンビアンは、「Symbian Cooking School 2006」と題したSymbian OS開発者向けのトレーニングセミナーを2006年12月11日(月)に開催します。同セミナーでは、最新技術情報に加え、パートナー企業による先進の技術情報や詳細な解説を用意。開発者の皆様に実践的な技術知識・開発ノウハウを習得していただけます。
・日時:2006年12月11日(月)10:30 - 19:00
・会場:グランド ハイアット 東京(会場:3Fタラゴン)
・参加費:20,000円(事前登録制)
・来場者特典:書籍「Symbian OS プラットフォームセキュリティ」(翔泳社刊、定価4,800円)をプレゼント

 なお、11月28日までの早期割引期間内にご登録いただくと、下記の早期登録特典が付きます。
・参加費5,000円オフ
・抽選で50名様に書籍「Symbian OS Internals−リアルタイムカーネルプログラミング」(翔泳社刊、定価12,000円)およびSymbianオリジナルショルダーバックをプレゼント

セミナーの詳細・申し込みはこちら


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 英シンビアンのSymbian OSは高機能な携帯電話オープンOSの代表格だ。成長著しいビジネス市場向けの「スマートフォン」で圧倒的なシェアを誇るのはもちろん、ミドルクラスのコンシューマー市場にも広がりを見せている。日本でも、富士通、三菱電機シャープソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズの4社が採用。さらに日本市場に積極的に参入するノキアモトローラの製品もSymbian OSを採用している。これらの端末メーカーから日本市場に出荷された携帯電話はすでに39機種に上り(2006年9月末時点)、累計出荷台数は2006年6月に1000万台を超えている(7月12日の記事参照)。日本のメーカー、そしてユーザーにとっても、“Symbian OS”はとても身近な存在だ。

 なぜSymbian OSは多くの端末メーカーから選ばれているのか。また今後の日本市場にどのようなインパクトを与えるのか。シンビアンの日本法人で代表取締役社長を務める久晴彦氏に話を聞いた。

Symbian OSは「もうすぐ1億」の大台へ

シンビアン(株)代表取締役社長 久 晴彦氏

 英シンビアンは1998年に誕生し、日本法人はその1年後の翌1999年に設立された。同社は「携帯電話向けOS」を開発する専業のソフトウェア企業であり、多くの携帯電話メーカーが出資している。ここがデスクトップPC向けOSの流れを汲む他の携帯電話向け汎用OSと、Symbian OSが決定的に異なる背景である。

 「英シンビアンの社員は約1400人と企業規模としてはそれほど大きくありませんが、全員が携帯電話ビジネスに従事しており、約900人が研究開発に携わっています。我々の直接のお客様は携帯電話メーカーであり、その数は全世界でも限られますから、営業部隊はそれほど大きくする必要がない。(企業の)大半のリソースを開発に集中しているのが特徴です」(久氏)

 英シンビアンの本社はイギリスにあるが、世界各地に拠点を持ち、各国の携帯電話メーカーにライセンス提供を行っている。Symbian OS搭載端末の累計出荷台数は2006年上半期時点で8280万台に上り、「もうすぐ1億台の大台に乗るところ」(久氏)だ。Symbian OS搭載機の数は、開発中のものも含めれば140機種を超える。

Symbian OSが支持される理由

 Symbian OSというと、欧米の「スマートフォン」向けOSのイメージを持つ読者もいるかもしれない。しかし実際はNTTドコモ向けのFOMA端末など、日本メーカーにも多く採用されている。スマートフォン分野で圧倒的なシェアを持つのは事実であるが、それがすべてではない。ハイエンドからミドルレンジ、ローエンドまで、さまざまな携帯電話で幅広く採用されているのが実際の姿だ。

 ではなぜ、Symbian OSはメーカーに支持されるのか。その理由は多々あるが、日本においてメーカーがSymbian OSを採用する最大の理由は、開発期間短縮に大きく貢献する点にある。周知のとおり、日本は携帯電話市場の成熟化が進んでおり、MNP(モバイル番号ポータビリティ)を前にキャリア間の競争も激化している。多品種少量の製品投入が求められる中、汎用的で基本機能ソフトウェアの使い回しが容易なSymbian OSが支持されたのだ。

 「日本市場では、(2003年の)富士通が初のSymbian OS採用メーカーでした(2002年12月の記事参照)。最初の端末開発には1年半くらいかかりましたが、その後は毎年5機種から6機種、非常に短期間に新端末が発売できるようになりました。Symbian OSが開発サイクルの短縮化に貢献した好例になっています。

 もうひとつの例は三菱電機で、最初の「D901i」が2005年初頭に発売されていますけれど、その年だけで7機種の新端末を発売しています(2005年12月の記事参照)。これは三菱にとって初めてのSymbian OS搭載であり、FOMAの開発も初めてだったにも関わらず、です」(久氏)

 ほかにも、FOMAの人気機種であるシャープとソニー・エリクソンがSymbian OSを採用し、今年に入ってから矢継ぎ早に902iシリーズの新モデルや派生モデル、ミッドレンジモデルを投入している。

 また開発期間の短縮以外でメーカーに貢献するのが開発コストの圧縮だ。Symbian OSが携帯電話ソフトウェアのプラットフォーム部分を担い、基本的な機能ソフトウェアの部品化を実現することで、ソフトウェアの開発や検証にかかるコストを大幅に圧縮する。むろん、開発期間短縮もコスト削減に働く。

 「携帯電話の開発は1機種100億円程度がかかると言われていますが、その内訳ではソフトウェアの開発コストが80%を占める。ここにSymbian OSを導入すると、(ソフトウェアの)プラットフォーム化が実現できますから、品質を高めながら80%を占めるソフトウェア開発コストのうちの約40%を削減することが可能になります」(久氏)

多様性のサポートと低消費電力の実現

 開発期間の短縮とコスト削減。これは現在の携帯電話産業における重要なテーマであり、他の携帯電話向けOSも目指しているところだ。その上で、Symbian OSならではの特徴になっているのが、「多様性のサポート」と「低消費電力の実現」である。

 「まず多様性でいいますと、携帯電話はユーザーが日常的に使うものですから、PC向けOSのように(UIの変化が乏しい)金太郎飴では受け入れられません。多様なデバイス、UIをサポートし、メーカーが端末ごとの個性を打ち出せるようにする必要があります。我々はメーカーやキャリア向けにUIの多様性を提供しています」(久氏)

 Symbian OSは、日本のコンシューマー端末向けの「MOAP」(Mobile Oriented Applications Platform)、ノキアが採用する「S60」、ビジネス向けスマートフォンが採用する「UIQ」など、複数のUI/アプリケーションプラットフォームを持っている。これらの上に携帯電話メーカーは、独自のデバイスやUIデザインを組み合わせることで、低コストかつ高品質に各モデルの多様性を実現できる。

 「またSymbian OSは携帯電話向けに特化して作られていますので、低消費電力が設計の中に入っています。また、これは日本市場で特に要望があり、我々も改善したのですが、応答速度の速さにも気を遣っています。高機能だけでなく、こうした携帯電話として求められる基本的な部分もしっかりと作り込んでいます」(久氏)

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