待ち受けメインでたまに通話──そんな母にぴったりなケータイは・端末編:敬老の日特別企画
敬老の日を前に、親や祖父母に携帯をプレゼントしようと思っている人もいるだろう。本企画では、初めてケータイを使う60半ばの母親が、キャリアや料金プラン、端末を決めるまでのプロセスを追う。前編で、料金プランの比較をした結果auが最有力との結論を出した母が選んだ端末とは。
携帯電話を持っていなかった母が、「そろそろケータイを持たないとね」と言い出したので、敬老の日を前に母に最適なケータイ選んであげることにした。料金編ではキャリアや料金プランについて触れたが、今回は端末選びについて紹介しよう。
料金編でも触れたが、もともと母がケータイに望むものとして下記のようなことを挙げていた。
- 通話は出先での連絡用で、ほぼ着信専用
- メールはぜひ使いたい
- たぶん、携帯サイトはほとんど使わない
- 端末は簡単に操作できるものを希望
- 料金は安いにこしたことはない
つまり、オートフォーカス(AF)付きカメラや音楽プレーヤー、ワンセグなどの、“電話”に関係ない機能は必要ない。また、こうした機能があればあるほど操作が煩雑になり、かつ分かりにくくなる。さらには、最近の端末はこうした機能を盛り込むためにか、昔のような“スリム”“軽さ”といった部分が犠牲になっているとも感じられる。
そこで注目したのが“シルバー向けケータイ”。NTTドコモの「らくらくホン」シリーズ、auの「簡単ケータイ」シリーズがまさにそれに当たる。ひねりも何もないのだが、携帯電話として必要な機能に絞って操作を簡単にし、シルバー層に使いやすい機能を加えたモデルであり、母向けの端末候補として有力なものとなった。
- →らくらくホンIV(ドコモ)記事一覧
- →らくらくホン ベーシック(ドコモ)記事一覧
- →簡単ケータイ A5528K(au)記事一覧
- →812SH s(ソフトバンクモバイル)記事一覧
実際、これらのシリーズはシルバー層にはとても好評だという。端末販売ランキングでも、長い期間にわたって常に上位にランクインしている。また、こうしたシリーズは、そのほかの機種が3カ月、あるいは6カ月に1回というペースでモデルチェンジを繰り返すのに対して、1年あるいはそれ以上大幅なモデルチェンジがなく、モデルサイクルが長いというのも、ベストセラーになる一因だといえよう。
“はっきり聞こえる”機能を充実させたらくらくホン
というわけで、今回母に勧めたのはドコモの「らくらくホンベーシック」「らくらくホンIV」、それにauの「簡単ケータイ A5528K」だ。また、ソフトバンクモバイルでは明確にシルバー路線を打ち出してはいないが、「GENT 812SH s」がやや簡単さや使いやすさをうたったモデルだったので、これも候補に加えた。
これらのシルバー層向けケータイに共通している機能は、「スイッチ類の表示が明確」「文字が大きく見やすい」「メニューが簡単」「通話がはっきり聞こえる」「機能やメールを音声読み上げする」といったもの。外観はシンプルなデザインで、サイドキーなども極力廃し、色も極めて保守的なシルバー、ピンク、そして濃色を1色という程度。また、多くの端末が画面下に機能やダイヤル先をワンタッチで呼び出せるボタンを備えているのも特徴だ。さらに最近では、家族が両親に持たせる理由になっている“外出時のトラブル”に備え、防犯ブザーやGPSによる探索機能を持つものもある。
この中でも母がしきりに気にしていたのが、「ケータイは周りが騒がしい中で相手の声が聞こえにくい」ということ。固定電話の受話器のように大きな受話口がない携帯電話では、シルバー世代でなくても街中などでは相手の声が聞き取りにくいもの。加齢とともに聴力が衰えてくる世代としては、とても大きな関心ごとだ。
こうしたニーズに明確に応えているのがNTTドコモの「らくらくホン」。相手の声が明瞭に聞こえる「はっきりボイス」、相手の声がゆっくり聞こえる「ゆっくりボイス」をらくらくホンベーシックに搭載。さらにらくらくホンIVでは、ゆっくりボイスに加えて、はっきりボイスを進化させた「スーパーはっきりボイス」と、騒音下ででもこちらの声を相手に明瞭に聞かせる「はっきりマイク」機能を備えている。
また、らくらくホンIVにはこのほかにも、歩数計、カメラを使った「拡大鏡」機能、最近流行の脳トレーニング系のゲームなども搭載。シルバー層に使ってみたいと思わせる機能が充実しているのも特徴だ。
auでも、これまでのモデルで「でか受話音」として、音量を大きくすることで相手の声を聞き取りやすくする機能を搭載していたが、らくらくホンシリーズほどの凝った機能ではなかった。ようやく簡単ケータイA5528Kで「はっきり通話」として同じような機能を搭載してきた。実は、お盆に帰省して母と端末選びをしていた段階では、このA5528Kの発売日が未定だったため、でか受話音機能を持つモデルはA5526Kが候補になっていて、その点ではらくらくホンになびいていた。
ソフトバンクモバイルのGENT 812SHsは、残念ながらこうした明確にシルバー層向けの機能は搭載していない。ボタン表記を日本語にしたり、キーの形状をより押しやすいものとしたりしているものの、ユーザーインタフェース周りはベースとなった「812SH」と共通で、「シンプルメニュー」や「でか文字メニュー」での対応となっている。
らくらくホンの機能は魅力だが、価格端末の価格でauに軍配
こうした機能もさることながら、初めてケータイを買う人にとっては、端末の価格も気になる要素の1つ。そこで実家の近くにある各キャリアのショップを訪れ、価格を聞いてみた。らくらくホンは、この時点ではらくらくホンIVが出ておらず、らくらくホンIIIが1万1800円で、らくらくホンベーシックが8300円。8月15日までの契約なら3000円引き、メール会員になれば1000円引きといった販売店独自の割り引きのほかに、パケット定額サービスなどのパックに入ると4000円引きというキャリアの割り引きもあったが、母の使い方には必要ないので今回は適用しなかった。
auも私が同行した時点では簡単ケータイA5528Kが発売されていなかったが、そのお店ではすべての端末が当時のMY割に入ればすべて0円ということだったので、A5528Kも同じ条件が適用されると予想できた。つまりユーザーである母から見た端末代金は0円というわけだ。また、8月中に新規契約すると最大5250円を割り引くという「Natsu割」キャンペーンもあった。
一方、ソフトバンクは例によってややこしく、機種によって端末価格が違うのはもちろん、新スーパーボーナス特別割引の額が機種によって異なる。そしてこれが実質の毎月支払う料金にダイレクトに影響することになるわけだ。今回候補に挙がっていたGENT 812SH sは、24カ月支払い後の実質端末価格は9120円だった。
こうしたことを踏まえて検討すると、機能面ではらくらくホン、価格面ではauというところまで絞ることができた。そして、最終的に母が選んだのはauの簡単ケータイA5528Kだった。A5528Kが発売されるまでは、auの端末では音声系の機能面で母の要求を満たしきれないため、らくらくホンにすることを考えていたのだが、父のドコモ端末は会社のものであり、また兄弟はau、ソフトバンクモバイルのいずれかを使っているという事情もあって、ドコモにすると家族間割引のメリットがない。auに母のニーズを満たす“相手の声がはっきり聞こえる”機能を満たした機種が出た今、やはり少しでも家族間割引のメリットがあるほうがいいという判断だった。
冒頭に書いたとおり、今や携帯電話はワンセグや音楽プレーヤーなど、本来の“電話”という観点で選ばれていないのが現状。しかし今回、母の電話を選ぶ過程で、やはりまずは電話機として使いやすいことが大事なのだと、改めて痛感させられた。ただ、少し残念なのは、やはりこうしたシルバー向け機種だけに限ると、デザインや色という点でまだまだ選べる幅が少ないこと。これから高齢化社会を迎える中、もっとシルバー層もケータイを楽しめるようになってほしいものだ。
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