「下り最大150Mbps」のスタート時期は?――イー・アクセスが今後のLTE戦略を説明:当面は最大75Mbps
イー・アクセスは、今後計画しているLTEの高速化に対応した「Pocket WiFi LTE(GL04P)」を発表した。クアッドコアCPU対応のタブレットと極薄スマホとともに、2012年夏モデルとしてラインアップする。
イー・アクセスは6月6日、LTE Category4をサポートして今後の高速化に対応したモバイルWi-Fiルーター「Pocket WiFi LTE(GL04P)」と、クアッドコアCPUを搭載したフルHD10.1インチディスプレイのAndroidタブレット「GT01」を発表した。
すでに発表されている厚さ7.9ミリのAndroid 4.0搭載スマートフォン「GS03」と合わせて、2012年夏の新商品ラインアップに3機種を用意した。
GS03は6月14日に発売する。また、Pocket WiFi LTE(GL04P)は7月、GT01は8月の販売開始を予定している。
- →LTE Category4をサポート:イー・アクセス、下り最大150Mbpsに対応した「Pocket WiFi LTE」を発表
- →クアッドコアCPU+10.1インチフルHD対応タブレット「GT01」――イー・アクセス
- →6月14日に発売:イー・アクセス、厚さ7.9ミリのAndroid 4.0搭載スマートフォン「GS03」を発表
下り最大150Mbpsのサービスは開始時期“未定”
イー・アクセス執行役員副社長の阿部基成氏は、3月に開始した同社のLTEサービス「EMOBILE LTE」について、「スピード、エリア、料金、そして端末の連続使用時間という4つのポイントで高い評価を受けた。量販店での販売ランキングシェアも、全週、連続でナンバー1を獲得している。また当初30%だった(データ通信端末の)シェアは、LTE開始後には40%へ拡大した」と、好調な出だしであることを強調した。
EMOBILE LTEの月額料金は、最もスタンダードなプラン(LTEフラット、にねん+アシスト1600)で3880円。これはNTTドコモのLTEサービス「Xi」や、ソフトバンクグループのAXGPサービス「SoftBank 4G」の標準的な料金プランよりも安く、定額で利用できるデータ通信量も多い。阿部氏は、「EMOBILE LTEは(次世代高速通信の中で)速度、料金で最も競争力がある」と自信をみせた。またエリアも、6月末には東名阪主要都市で人口カバー率99%を達成する予定で、2012年度末までには全国の県庁所在地と政令指定都市で人口カバー率99%を目指す。
そのEMOBILE LTEで主力製品なのが、モバイルWi-Fiルーターの「Pocket WiFi LTE」シリーズ。今回発表されたHuawei製のGL04Pは、下り最大150Mbps/上り最大50Mbpsの通信が可能なLTEの“Category 4”に対応した製品だ。イー・アクセスが現在販売しているGL01/GL02はCategory 3をサポートする製品で、現状の下り最大速度は75Mbps。Category 3でも最大112Mbpsまでの増速が可能だが、上位規格に対応することで、150Mbpsというさらなる高速化を見越したモデルとなっている。
ただし、下り最大150Mbpsのサービスを提供できるのは、20MHzの帯域幅をフルに使った場合のみ。イー・アクセスが同日公開した150Mbpsの通信デモは、商用の設備と機材を使ったものだが、シールドルーム内で計測した様子だ。というのも、現在イー・アクセスに割り当てられている帯域幅は、1.7GHz帯(全国バンド)の15MHz幅×2で、その15MHz幅をDC-HSDPA(サービス名:EMOBILE G4)とLTEで分け合っている状態。EMOBILE LTEの下り最大通信速度がエリアによって75Mbpsと37.5Mbpsに分かれているのはこのためだ。従って、そのままではCategory 4のLTEサービスは提供できない。
イー・アクセスは、総務省が「周波数再編アクションプラン」の中で「平成24年(2012年)中に確保できるよう調整を進める」とした1.7GHz帯の追加割り当てを希望しており、もしここで5MHz×2以上の周波数帯域を得らることができれば、晴れて下り最大150MbpsのEMOBIE LTEサービスが実現する。
1.7GHz帯の追加割り当てについて阿部氏は、「まだ700MHz帯の選考プロセス中であり、その獲得を目指したい。EMOBILE LTEは当面、下り最大75Mbpsのサービスを継続する。新帯域の割り当てを目指すなかで、(Category 3の)112Mbpsへの高速化をどうアプローチするのか検討したい」とコメント。同社代表取締役社長のエリック・ガン氏は、「もし(既存周波数と)隣接する1.7〜1.8GHz帯を追加していただければ、この端末のユーザーはそのままでより速い通信が可能になる。EMOBILE LTEの契約期間は2年間のため、その中でできるだけ速く(新1.7GHzを)頂きたい」と意気込みを語った。
しばらくは真の実力を発揮できないGL04Pだが、阿部氏は「3000mAhの大容量バッテリーやUSBテザリング、300Mbps対応のIEEE802.11nなど、現行機種(GL01P、GL02P)にはないセールスポイントを備えており、今選んでいただいても魅力的な1台」と自信をみせた。
またGT01については、「高速なCPUと、フルHDの高精細なディスプレイを搭載したタブレット。重さも600グラムを切っている。CPUはクアッドコアで処理能力は他社のタブレットと比べて約3倍だが、消費電力は約半分だ。また16コアの32GPUで、他社製品の約1.5倍のグラフィック性能を持つ」と紹介。3GやLTEには対応しないWi-Fiモデルであるため「GL04Pとベストマッチの“最強コンビ”」(阿部氏)とアピールした。
「タブレットはWi-Fiモデルのニーズが高く、先行する大手キャリアのタブレットでもそうした傾向が強い。我々の調査でもメインは自宅で利用し、外でも使うという使い方。その場合に2回線を契約するかというとちょっと疑問で、Pocket Wi-Fiを使うようなニーズのほうが高い。また、できるだけ速く市場に良い物を投入するという意味では、Wi-Fiモデルのほうが先に出せる」(阿部氏)
また気になるLTE対応スマートフォンについては、「年度中の発売を目指している」(阿部氏)と予告した。
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