パナソニック、スマートフォン事業は「やめればいいという単純な問題ではない」:「ノウハウ、技術、人を失うことは避けなければ」
パナソニックは「秋冬モデルを供給しないとNTTドコモに通告」の報道に「現時点において話せることはない」とコメント。事業継続について現在の考えも示した。
依然として「方向性も含めて検討している段階」
パナソニックは、8月5日深夜に報道があった「NTTドコモ向け秋冬モデルに製品を供給しないと通告した」の事実関係について、「現時点においてパナソニックから話せることはない」とコメントした上で、同社のスマートフォンと携帯電話事業については「やめるつもりはない」と説明している。
パナソニックの関係者は、「スマートフォンや携帯電話の事業をやめればいいという単純な問題ではない。(これまでパナソニックが培ってきた)スマートフォンや携帯電話に関連するさまざまなノウハウ、技術、人的リソース、これを失うことは避けなければならない」という認識を示した上で、「どうすれば、これらを事業の成長に生かせるか。それを含めて、グループ全体の戦略を考えると、単純に、製品の供給を辞めるとか続けるという考えではすまない」と語っている。
B2CからB2Bシフトの中で検討を進めていく
スマートフォンと携帯電話事業については、今回も「事業そのものについて、方向性も含めて社内で検討している段階」という見解を示しているが、これは、7月31日の2013年度第1四半期決算報告会で、同社取締役専務(経理財務担当)の河井英明氏が、NTTドコモ向けのスマートフォン事業について言及した内容と共通する。
パナソニックは、2013年3月に発表したグループ中期計画において、従来のコンシューマー向けを中心とした事業展開から、法人や公共向け事業へのシフトを掲げている。この方針に基づいて、スマートフォンと携帯電話関連事業でも、従来の個人ユーザー向けの製品開発と販売が中心だった体制から、法人向け製品やビジネスソリューション、インフラソリューションまで対象領域を拡げ、国内市場だけなくグローバル市場も視野にいれていくべく変化を求めている。
そのため、パナソニックグループでは、パナソニックモバイルコミュニケーションズが、これまでのように、国内キャリア向けのスマートフォンや携帯電話“だけ”を開発して販売する体制では、この方針転換に対応できないと評価しており、同社が所属するAVCネットワーク社が扱うビジネス市場向け製品やソリューション全体で技術を活用するために、スマートフォンや携帯電話事業の体制やリソースの割り当てなどを内部で検討していると説明する。
新しい方針を決定するデットラインは「まもなく来る」
このような変化に対応すべく、スマートフォンと携帯電話事業は、「ユーザーが法人なのか個人なのか、どのような市場に向けて製品を提供するのか」など、あらゆることを考えてどこからやるかを整理して、その上で、新しく決まった事業方針を報告する予定があることを明らかにした。
報告する時期について「日程的に確定しているものはない」とパナソニック関係者は述べている。ただし、NTTドコモ向けの製品を提供するかしないかは、NTTドコモの製品発表前にパナソニックとしての方針を明らかにし、そのデットラインは間もなく来るという見方も示している。
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