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いま、ドコモが夢中になっている新技術1アンテナ4ストリームMIMOの公開実験も(2/2 ページ)

NTTドコモは、同社が現在進めている研究開発の成果を紹介するOpen Houseを横須賀市のドコモR&Dセンターで11月21日から行っている。

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Smart Vertical MIMOで都市部でも1アンテナ4ストリームを

 Smart Vertical MIMOは、7月の横須賀市と11月の相模原市における屋外実証実験で、1,2Gbpsの転送速度を出したことを11月13日に発表しているが、その実験に用いた基地局アンテナと移動局として想定した2台の実験車両による公開実験も行った。Smart Vertical MIMOは、従来のMIMOが1本のアンテナで2ストリームの送出電波に分割していたが、1本のアンテナの上下でさらに分割することで、1本のアンテナから4ストリームの電波を送出できるようにした。この技術によって、アンテナを複数立てることができない都市部の基地局でも高い転送レートが実現できるという。

現在主流のSingle User MIMOでは2ストリームを時分割して複数のユーザーで利用している。これを複数のユーザーにむけて電波を分割して使うのがMulti User MIMOだ(写真=左)。現在の1アンテナ2ストリームでは、LTE Advancedが求める最大1.5Gbpsを実現するには2アンテナ4ストリームが必要。これを1アンテナで4ストリームを実現するのがSmart Vertical MIMOだ(写真=中央)。1アンテナ2ストリームでアンテナを上下に分割することで、1アンテナ4ストリームを可能にしている(写真=右)

 公開実験では、屋上に設けた1本のSmart Vetical MIMO対応アンテナと敷地内駐車場に2台の移動局車両を用意し、一台は固定で、もう一台は外周をゆっくりと周遊することで、アンテナからの距離の違いや、移動局間の距離で転送レートがどのように変わるのかも紹介している。

 NTTドコモの開発担当者によると、指向性を持つ電波を送出しているため、アンテナの近くに(もしくは下に)移動局がくると、受信できる信号強度が弱くなって転送レートが下がるほか、移動局が接近しすぎるとストリームの分割がうまくできなくなって、転送レートが下がるという。この問題は、移動局が多い都市部では適切な距離に離れた移動局を探して送信を切り替えることができるため、改善が容易と説明している。

 Smart Vertical MIMOでは、アンテナを2分の1に分割して電波を送出するため、到達距離は通常より短くなる。ただ、圏内ギリギリにいるデバイスに対して電波を送出する場合は、分割を解除して1本の長いアンテナとして電波を送出する状態に切り替えることができる。この分割を解除する機会の比率はどの程度になって、それが、転送レートにどれだけ影響するかについては、これから検証を重ねていく中でもっとも好ましい比率を見つけていくと答えている。

 なお、現在の実証実験ではSmart Vertical MIMOをNTTドコモの独自技術で実現している。そのため、利用するにはその独自技術に対応したデバイスが必要になる。NTTドコモの説明では、すでに標準化している技術でもSmart Vertical MIMOを実現することは可能だが、その場合は転送効率が低くなるという。

Smart Vertical MIMOに対応したアンテナは下部にたくさんのケーブルを接続した円筒形の物体だ(写真=左)。(写真=中央)。公開実験における転送レートの状況。左の地図が移動局の受信する転送レートで青が低く赤が高い。アンテナに近づいたりもう1台の移動局に接近すると転送レートが低い青のプロットになる(写真=右)

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