iOSのアクセシビリティにはどんな用途があるの?――応用編(2/2 ページ)
iPhoneに搭載されているアクセシビリティ機能を上手に使えば、健常者でももっとiPhoneを便利に使うことができる。その具体的な例を紹介しよう。
こうした機能があるということ
Appleがアクセシビリティにこれだけ注力していることは賞賛に値すると思います。iOSに標準で搭載されている純正のアプリはひと通りVoiceOverに対応しており、視覚に頼らず操作することが可能です。これらの機能を生かし、多くのデベロッパーが、障がい者向けのアプリを作成しています。次回は代表的なものをいくつかご紹介したいと思います。
とはいえ、まだまだ道半ばなのも事実。1点目はApple側の対応の遅さ。VoiceOver時に起きる不具合、特に「日本語でのみ起きる不具合」がまだあり、有志のメンバーが都度バグレポートを英語で書いて報告しています。特に読み上げに関連する不具合は影響が大きいため迅速な対応を願いたいところなのですが、メジャーアップデートまで放置される傾向が見られます。
2点目はサードパーティ製アプリの対応です。VoiceOverを有効にして、いろんなアプリを使ってみてください。例えばボタンに対して「ボタン」あるいは画像のファイル名しか読み上げず、何のボタンか分からないアプリが多々あると思います。もちろんジャンルによっては無理に対応する必要のないもの(アクションゲームとか)もありますが、一般的なアプリであればさほど難しい作業ではありませんので対応すべきと考えます。Apple WatchやCarPlayの登場でインタラクションの方法が変わることを考えると、アクセシビリティラベルを正しく貼っておくことは後々メリットになる可能性もあります。
3点目は、そもそもアクセシビリティ機能が知られていないということ。前回と今回ではVoiceOverを中心に紹介しましたが、例えば舌しか動かせない、といった重度の障がいであっても操作が可能になる「スイッチコントロール」という機能も用意されています。でも存在を知らなければ使えません。これら機能の存在をより多くの人が知ることで、アクセシビリティの恩恵から漏れる人を減らせるのではと考えます。
アクセシビリティを一人でも多くの人に関心を持っていただけたら幸いです。
関連記事
- iOSのアクセシビリティを知ろう!――VoiceOver設定編
iPhoneのアクセシビリティ機能とはどんなものなのか? まずはジェスチャー操作と音声フィードバックを提供するUIの「VoiceOver」をテーマに、その意義を解説する。 - ソフトバンク、音声ナレーションで操作を学べるiPhone向けアプリ「視覚障がい者向け使い方教室 for iPhone」
ソフトバンクモバイルは、音声ナレーションでiPhoneの基本的な操作方法を学習・練習できるアプリ「視覚障がい者向け使い方教室 for iPhone」をリリースした。 - 「iOS 8.3」配信開始――VoLTEが利用可能に/絵文字キーボードも一新
Appleが、iOS 8.3の配信を開始した。パフォーマンス向上、バグ修正、絵文字キーボードのリニューアルなど。ドコモ、au、ソフトバンクのiPhone 6/6 PlusではVoLTEが利用可能になる。 - ソフトバンク、専用ソフトで障がい者の社会生活を支援する「アシストスマホ」サービスを開始
ソフトバンクモバイルは、シャープ製「シンプルスマホ 204SH」を活用した障がい者向けの支援サービス「アシストスマホ」を開始した。 - アクセシビリティの設定を見直すだけで使いやすさがアップ
iOS 7に搭載された「アクセシビリティ」は、これまで以上に役立つ機能が満載だ。設定を見直すだけで節電効果を得ることもできる。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.