「Galaxy S6 Edge」は中身も“世界初”のオンパレード:バラして見ずにはいられない(3/3 ページ)
世界初のデュアルエッジスクリーンを搭載したSamsungのフラッグシップモデル「Galaxy S6 Edge」。分解・調査の結果、中身も世界初の部品が多数採用されていた。
日本ノ技術ハ健在ナリ
スマホが通信機器である以上、通信関連の部品はどんなに目立たなくてもスマホの影の主役と言えるだろう。Galaxy S6/S6 Edgeの通信部を見ると、村田製作所、TDK(子会社の独Epcos)、太陽誘電の部品がズラリと並んでいる。
通信周波数を切り替えるアンテナスイッチは村田製作所とTDKと米Skyworks Solutions製だ。特定の信号を通過させるSAWフィルタは村田製作所製、アンテナを共有するために使用されるデュプレクサは太陽誘電製で、通信部を構成する主要部品のほとんどが日本メーカー製である。
ただ今回残念であったのは、搭載が予想されていた村田製作所だけが保有するオールインワン通信モジュール(フィルタ・デュプレクサ・パワーアンプ)を確認できなかったことだ。しかしGalaxy S6/S6 Edgeは供給先ごとに10以上のモデルがあるため、今回の調査対象ではたまたま使われていなかったのかもしれない。
光学手ブレ補正機構を備えたカメラユニット。ICが3つ積まれている。左から、イメージセンサーやカメラを制御するプログラムを格納したフラッシュメモリ、手ブレを検知するジャイロ、レンズ駆動を担当するルネサスエレクトロニクス製のOISドライバーだ
カメラ関連では光学手ブレ補正が今回から標準搭載された。手ブレ補正機能とレンズを含むカメラモジュールはSamsung Electro Mechanics(サムスン電機)が担当したと推定される。しかしカメラのフィルムにあたるCMOSイメージセンサーは、ソニーとSamsungの2社で供給している。また光学手ブレ補正を行うドライバーはルネサスエレクトロニクス製が採用されていた。カメラ大国ニッポンの技術はスマホでも健在だ。
これからどうなる?
スマホの進化は限界に達しつつあるのかもしれない。機能面ではほぼ横並びとなり、その機能を支える電子部品もプレイヤーがそろった状態だ。そして電子部品は進歩の次の段階として、統合が始まりつつある。
従来は複数個で構成されていた通信部品やセンサーが1個に統合されると、スマホに搭載される電子部品の数は減少に転ずるとみられる。世界中のユーザーにひと通りスマホが行き渡り、今後はスマホ出荷台数の伸びがゆるやかになるという予想もある。電子部品メーカーにとって楽観視できない局面だ。
しかし悪い話だけではない。横並びから一歩踏み出そうと、素材への注目が集まっている。機能や搭載する電子部品で違いを出せないのであれば、例えば外観で特徴を出す手もある。今回のGalaxy S6 edgeのように、曲面ディスプレイというユニークな形状にしたり、筐体の素材を見直すなど、変化の兆候はすでに現れている。
そして筺体に数十ドルという高額な費用を投じることが現実となった今、自動車用の頑丈な部品を製造しているあるメーカーが、自社技術をスマホに生かす方法を真剣に検討し始めたという。世界の主要スマホメーカーも製品の差別化につながる技術を探しており、非常に優秀で競争力がある素材メーカーが多い日本がその舞台になっている。これからは素材に光が当たる時代になるだろう。
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