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幼年期の終わり――「watchOS 2」で本格普及に入るApple Watch神尾寿のMobile+Views(2/2 ページ)

「Apple Watch」は2014年9月の発表以来、多方面から注目を集めたが、その一方でソフトウェアは発展途上の感が否めなかった。だが、「watchOS 2」がリリースされたことでその状況も変わりそうだ。この新OSから、Apple Watchの新たな可能性を考えたい。

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写真やタイムラプスを文字盤にすることも可能

 時計を大量の情報で埋めるのは好きではない。そういう人向けには、新たに追加された「フォトアルバム」や「タイムラプス」の文字盤がある。

 前者は連携したiPhoneのフォトアルバムから、手首を持ち上げるたびにランダムで写真が表示される機能。家族や恋人の写真から、この前デートで訪れたビストロのスペシャリテまで、さまざまな写真が文字盤に映し出されるのはとても楽しいものだ。

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文字盤のデザインでは、新たに「フォトアルバム」が用意された。iPhone上の写真フォルダから、背景写真を表示することができる

 一方、後者のタイムラプスは、Appleが用意した世界各地のタイムラプス動画が表示されるというもの。watchOS 2のリリース時に用意されているのはニューヨークやパリ、ロンドンなど世界6都市のタイムラプスであり、それぞれ個性があり美しいものがそろっている。

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もうひとつの文字盤デザイン「タイムラプス」では、Appleが用意した世界6都市のタイムラプス映像を背景にできる。残念ながら東京はここに含まれていない

 フォトアルバムとタイムラプスの文字盤はとても美しく、動きのある背景は先進的でデザイン性も高い。個人的にもとても気に入ったのだが、残念なことに、この文字盤にすると表示できる情報量が大幅に限られてしまう。

 カスタマイズでも表示情報の追加はできず、タイムトラベルやコンプリケーション機能をフル活用することができない。写真・映像を楽しむことと、情報をフル活用する実用性とは相容れないということなのかもしれないが、この部分はとても残念であった。Appleは文字盤のデザインに強いこだわりを持っており、この部分をなかなか解放しないのだが、もう少しユーザーの自由にさせてほしいと思うところだ。

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Apple Watchの設定コーナーに「コンプリケーション」が追加された。ここで文字盤上に表示するアプリの設定ができる。

「本格普及モード」の準備が整うApple Watch

 iPodから、iPhone、そしてiPad。

 新たなジャンルを切り開き、そしてAppleの成功神話となったこれら“ポストPC時代の新コンセプト製品”だが、その第1世代はそれほど大々的に成功したものではなかった。むしろ新たなコンセプトとユーザー体験を明確化しつつ機能を絞り、まずは先進的なユーザーと開発者向けに地ならしをするパイロットモデル的な傾向が強いものであった。

 Apple Watchに関していえば、Apple自身の新たなプロモーション戦略と、メディアと投資家の期待感も強さがあいまって、第1世代としては異例の注目度の中でのスタートとなった。しかし本質的にいえば、やはりAppleの第1世代モデル。とりわけOSやソフトウェアの実装で見れば、市場の地ならしをするパイロットモデル的な位置づけであったことは否めないだろう。

 しかし今回、watchOS 2を実際に使い、Apple Watchがいよいよ「本格普及モード」の段階に進んだという印象を受けた。今後watchOS 2向けに多くのネイティブアプリが登場し、多様なニーズと使い方が提案されることで、いよいよAppleが得意とするエコシステムの強みを発揮できると感じたのだ。そして第2世代Apple Watchでは各デバイスの技術が進化し、それを受けてハードウェアデザインがより洗練されて、“ハードウェアとOS+アプリの魅力”で幅広いユーザー層に勧められるものになるだろう。

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