SIMフリー市場はどう攻める? 未来のGalaxyはどうなる?――サムスン堤CEOに聞く(1/3 ページ)
2016年のフラグシップモデル「Galaxy S7 edge」が好調に売れているサムスン電子。同社はVR、カメラ、ウェアラブルなどスマホの周辺領域も拡充している。スマートフォンは今後、どのように進化するのか。サムスン電子ジャパンの堤浩幸に話を聞いた。
2016年夏商戦でひときわ大きな注目を集めているスマートフォンが、サムスン電子の「Galaxy S7 edge」だろう。2015年に発売したGalaxy S6 edgeよりもさらに完成度を高め、S6 edgeでは省いた防水・防塵(じん)やmicroSDスロットを復活させるなど、隙のないモデルに仕上がっている。
また、サムスンはスマートフォンだけでなく、ヘッドマウントディスプレイの「Gear VR」、「RICOH THETA」のように360度撮影できる全天球カメラ「Gear 360」、スマートウォッチ「Gear S2」など、スマホと連携するデバイスも積極的に投入している。特にGear VRは、Galaxy S7 edgeの予約者にプレゼントをするなど、VRを普及させようという強い思いを感じた。
今回、サムスン電子ジャパンCEOの堤浩幸氏にインタビューをする機会を得たので、世界と日本におけるGalaxy S7 edgeの反響、IoT(インターネットにつながる)デバイスへの取り組み、そして気になるSIMロックフリー端末やNoteシリーズの投入について聞いた。
Galaxy S7 edgeは若年層にも売れた
―― Galaxy S7 edgeが日本でも発売されましたが、反響はいかがですか。
堤氏 すごく手応えを感じています。S7 edgeはブラックがメインカラーですが、男性だけでなく女性にも受けています。Galaxyのユーザーは、今までは40〜50代が多く、下(の世代)に行くほど減っていましたが、今回は年齢層が下がっているんですよ。30代が特に多く、次に20代です。
―― 若年層に支持された理由をどうみていますか?
堤氏 「デザイン」「色」「機能」、これらがベースだと思います。さらに、今回は実体験に主眼を置きました。見ただけだと分からないので、「こんなことができる」「こんなユニークさがある」ことを実感していただく。そんな機会を多く持てたことが、男女・年齢層を問わず支持された理由だと思っています。
―― 海外ではどんな反応でしたか?
堤氏 防水・防塵は日本では当たり前ですが、海外では驚きがあったようで、防水・防塵をテーマにしたプロモーションを展開しています。また、今回特に売上が伸びたのは欧州です。アジアはS6が相当売れましたけど、2015年と比較すると、それほど大きな数字ではないかもしれません。
―― ピンクゴールドは、男性が持っても違和感がないと思います。
堤氏 もともとピンクは日本先行モデルだったんです。それが好評で、各地域にも広がっています。これも大きなステップだと思います。
―― 日本で「Galaxy S7」を取り扱わなかった理由を教えてください。
堤氏 最終的にキャリア様の商品なので、各キャリア様がご判断いただいたということです。
スペックからは分からない、S6 edgeからの改善点
―― 前モデル「Galaxy S6 edge」の反省点と、改善したポイントを教えてください。
堤氏 大きくは、防水・防塵、microSD、バッテリー容量の3つです。S6の使いやすさはわれわれが目指すものの過程にあって、まだゴールまで行き着いていなかったんです。
もう1つが5.5型のディスプレイですね。今は、世界的に大画面化に移行している傾向が強い。別に小さい画面がダメだというわけではありませんが、大画面だけど大きさを感じず、スマートに持てる――。ここはGalaxy S7 edgeのメリットの1つとしてご理解いただいていると思います。
―― 「GALAXY S5」と同じ幅(73ミリ)で画面サイズが上がっています。5.5型のスマートフォンの中でも、Galaxy S7 edgeが一番細いですよね。
堤氏 側面はS6 edgeよりも薄いですし、手にしたときのフィット感もS7 edgeの方がいいですよ。S6 edgeは背面がフラットでしたが、S7 edgeはここもカーブを描いているので、持ちやすさが格段に向上しました。
―― このあたりは、スペックシートからは分かりにくいポイントですね。
堤氏 はい。他にかゆいところに手が届く機能として、日本では“安心安全”が要視されているので、Galaxy S7 edgeでは「緊急時長持ちモード」を搭載しています(Galaxy S6/S6 edge以降のモデルで搭載している)。このモードではライト、ワンセグ、電話、チャットなども利用できますが、例えばがれきの下で声が出せない状態でも、緊急アラームを鳴らせば周囲に知らせられます。これを応用すると、防犯ブザーにもなるんです。このモードは日本発で、グローバルモデルでも共通仕様として入れています。
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