「SPAJAM2016」の最優秀賞が決定――複数動画を組み合わせてVRで視聴できる「音録」
次世代クリエーターの発掘を目的としたアプリ開発の競技会「SPAJAM2016」の本選が終了し、最優秀賞1作品、優秀賞2作品、審査員特別賞1作品が決定した。最優秀賞は、動画とVRを組み合わせたサービスが受賞した。
スマートフォンアプリの次世代クリエーターの発掘を目的としたアプリコンテスト「SPAJAM2016(スマートフォンアプリジャム2016)」の受賞作品が、7月4日に発表された。
地方予選を勝ち抜いた12チームが参加した本選が、7月2日〜3日に開催。「音」をテーマにしたアプリを25時間以内に開発し、3日にプレゼンテーションを実施。厳選なる審査の結果、最優秀賞は、ちゅらゴンズの「音録(オドロク)」が受賞した。
音録では、VR端末を利用し、複数の動画を360度視聴することができる。デモでは誕生日に利用するシーンを紹介。バースデーソングを歌いながら誕生日を祝う人たちの動画が360度で表示され、向いた方向によって祝ってくれる人が変わる。隣の動画同士で仮想的にハイタッチをするといった演出も盛り込んだ。メッセージ動画を並べるアプリはGoogle Playに申請中で、7月11日にリリース予定とのこと。ちゅらゴンズには、 「シリコンバレー スペシャルツアー招待」をはじめとする賞品が贈られる。
優秀賞は、MATSU OK ROCKの「スタカラ」と、おおさき温泉同好会の「音ん。」が受賞した。
スタカラは、J-POPなどの有名曲と覚えたい単語を組み合わせて替え歌を生成し、簡単に暗記ができるようにするカラオケアプリ。デモではSPAJAM本選参加者の氏名を、コブクロの「桜」に合わせて熱唱して会場を沸かせた。
音ん。は、合コンや会議中など声を出せないシーンで、仲間同士でメッセージを伝えることを狙ったもの。発信側はポケベル入力で画面を見ずに文字を入力し、受信側は骨伝導イヤフォンでメッセージをキャッチする。持参した電気シェーバーを改良し、即席の骨伝導イヤフォンを開発したことも注目を集めた。
審査員特別賞は、Teamはぎーの「きゃりーばぐばぐ」が受賞した。空港でキャリーバッグを回収する際に、バッグが持ち主(のスマートフォン)に近づくと、あらかじめバッグに装着したBluetoothスピーカーから音が鳴るというもの。バッグにはスライド検出スイッチが付いており、バッグの取っ手を伸ばすと自動で音楽が止まるよう工夫した。審査員からは「視覚障害者にとっても良いサービスになるのでは」という意見も挙がった。
その他、あらかじめ登録した合言葉を発して家電を操作する、自分だけの足音を鳴らす、特定の場所(デジタルサイネージ)に近付くと自動で音楽が鳴って複数人と演奏をする(楽曲の広告を体験するのが狙い)、音から想像できる風景を子供がVRで体験する、身の回りの音を組み合わせて鳴らす……といったアプリが発表された。
4日の表彰式では、審査委員長の日本Androidの会 名誉会長 丸山不二夫氏が「今回はたまたまこのような結果になったが、(受賞した)4つでそれほど大きな差があったわけではない。これからも切磋琢磨(せっさたくま)して頑張ってほしい」と激励をするとともに、注文を付けることも忘れなかった。「昔のキーボードやディスプレイから、スマホのタッチスクリーンへとUI(ユーザーインタフェース)が変わっている。若い開発者は、そのへんのキャッチアップが弱いのではないかと言いたい。企業や世界の方が先を進んでいるが、それは良くない。若い日本の開発者がその流れの中で背を向けず、どんどん先頭を走るようなアプリを開発していただけたらと思っている」
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