生活と体験がクロスする――ZからXに生まれ変わった「Xperia X Performance」開発秘話:開発陣に聞く(2/3 ページ)
ソニーモバイルのXperiaが、2016年夏モデルで「Xperia X Performance」にリニューアルした。Zシリーズの技術を継承しつつ、本体の持ちやすさや使い勝手にこだわった。Xperia X Performanceはどのようなコンセプトの元に開発されたのか?
日本モデルだけ“樹脂パーツ”が入った理由
日本で発売されているXperia X Performanceには、背面の下部にグローバルモデルにはない樹脂が加えられているが、これは通信品質を重視した結果だという。金属素材は端末内部のアンテナとの電波干渉を引き起こす要因になるので、通信品質の面では不利になる。素材1つで実効速度に大きな影響が出るのだろう。
「日本は世界でも類を見ないほど通信環境が良く、お客さまが求める通信に対するニーズが強い。その中でキャリア様とどれぐらいのスピード感を目指すかを話し合った結果、このようなデザインにしました」(矢部氏)
樹脂パーツを入れたのは日本版のみ。となると、グローバルモデルは通信品質が劣るのか? といううがった見方もできるが、「海外版の通信品質が劣るわけではありません。通信がつながる/つながらないは、本体の能力や電波環境など、さまざまな要因があるので、その地域で使っていただくうえで、日本の電波方式に最適化したということです」と矢部氏は補足する。
例えばドコモでは「PREMIUM 4G」として、理論値で下り最大375MbpsものLTEに対応しているが、この速度にできるだけ近づけたいと考えたのだろう。では日本版のXperia X Performanceがフルメタルになったら、どうなってしまうのか? 矢部氏は「日常的に動画サービスなど見られない、といったことはありませんが、通信速度が上がっているキャリア様の水準をクリアする上で、通信に力を入れました」とのことだった。
樹脂が入ることでデザインが損なわれることは否めないが、同じ商戦期で発売されたAQUOS ZETAやGalaxy S7 edgeなどと比べて、実効速度で差が出ることは避けたかった――という、キャリアとメーカーの思惑もあったのだろう。
放熱の効率も向上
Xperia X Performanceという製品名が表す通り、スマホの“パフォーマンス”も向上させた。
バッテリーの持ちは、米Qnovoと共同開発した充電の最適化技術を導入した結果、Xperia Z2よりも2倍の持ちを実現したという。ここで伸ばしたのは、満充電から0%になるまでの時間ではなく、バッテリーの寿命。「スマートフォンの買い換えサイクルが25〜30カ月へと長くなっている」(矢部氏)中で、長寿命化に重きを置いた。
Xperiaシリーズで毎回気になる「発熱」については、Xperia Z5シリーズではヒートパイプを1本から2本に増やして放熱効率を高めたが、Xperia X Performanceでも同様の処理を施している。加えて、「メタルの方が(ヒートパイプの)伝導率がいいので、熱を逃がす効率はだいぶ改善している」(矢部氏)という。さらに、「Z5でも採用していたグラファイトシートの枚数や面積を増やした」(同氏)ことも、放熱効率を高めた。
Xperia Z5シリーズから採用した指紋センサーも継承しているが、認証スピードが向上しているという。「Z5と同じセンサーを採用していますが、中のソフトウェアをチューニングしたことで、認証が速くなっています。具体的な数字はありませんが、実際にお客さまの声としても挙がっています」と矢部氏は手応えを話す。指紋センサーの搭載位置を引き続き側面にしたのは「手に持ったときのなじみやすさを重視して、自然な動作でロックを解除できるようにした」(矢部氏)ためだ。
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