「2017年春頃から製品ラッシュが始まります」――増田社長が語る、FREETELの逆襲:MVNOに聞く(2/3 ページ)
スマートフォン本体、データ通信料、5分かけ放題を含めた「スマートコミコミ」を提供するなど、MVNO事業を強化しているFREETEL。一方で2016年の端末はやや勢いが弱まった感もある。これはなぜか? 増田社長にFREETELの戦略を聞いた。
2016年は準備期間、2017年に一気に新製品を出す
―― この1年で、選ばれる端末は変わりましたか。
増田氏 REIは特徴的でした。(発表後の記事でも)マス向けと言われましたが、実際、GfKのデータでも単品で1位になっています。私は外資系のメーカーにいましたが、普通の製品だと発売日にポンと伸びて、その後に落ちますが、うちの商品は定期的に売れています。特にPrioriやMIYABI、REIは安定的です。実際、ヨドバシさんでは11月に1位になりましたし、それぞれのユーザーのニーズに合っているのだと思います。
―― ボリューム的に、一番大きかったのはやはりREIでしょうか。
増田氏 今年(2016年)はダントツでREIでしたね。去年(2015年)はMIYABIがよく売れましたが、REIはいい形になりました。MIYABIが1万9800円なのに対し、REIは2万9800円ですからね。少しずつ「FREETEL、いいじゃん」となっているのだと思います。
―― 単価が高い商品が売れるのは、メーカーとしてもうれしいですよね。
増田氏 単価が高い製品でも選ばれるようになってきた、というのがうれしいですね。そうなると、フルラインアップ戦略も効いてきて、逆に1万円台、2万円台の商品がある意味が出てきます。
―― 2016年は、全体でラインアップ数も減ったような印象を受けていますが、実際はどうですか。
増田氏 減っていますね。下半期でいえば、KIWAMI2と「ARIA2」を出したぐらいですからね。ASUSやHuaweiが新製品を出し、じゃあFREETELはどうするんだ? というのは、あると思います。上半期は増資をして、先ほど申し上げたように開発陣も整えてきました。それを生かしたモノ作りをしたかった。RAIJINシリーズもできましたし、来年(2017年)春ぐらいから、また製品ラッシュが始まります。
―― つまり、準備期間だったということでしょうか。
増田氏 そうです。
―― そうなると、変態的な端末も期待できそうですね。
増田氏 変態ということは、通常のモノ作りとは違うケースが出てきます。一発目の「Simple」は法人ために作った製品で、OSもLinuxベースの独自のものでした。そうすると、やはり簡単にできないところがある。変態端末は、どうしてもそういう宿命を抱えています。
―― 変態ほど難しい、と。
増田氏 変態(へんたい)は逆さにすると大変(たいへん)ですからね(笑)。
一連の「中止」「誤案内」「延期」について
―― 一方で、REIのレッドが発売中止になってしまいました。
増田氏 何があったのかというと、安定的にあの色を出すのが難しく、歩留まりに問題がありました。どうしてもムラが出てしまうんです。アルミのボディーは繊細で、色を出すために塗り方を変えると、今度は電波(アンテナ)に影響が出てしまう。レッドの発売を中止したのは本当に申し訳ないのですが、変なものは出したくない。そのまま出せるかといえば、やはり出せませんでした。
―― ARIA2に関しては、WiMAX 2+のSIMカード(UQコミュニケーションズのWiMAX 2+対応ルーター用SIMカード)で使えるような案内があり、混乱しているような印象も受けました。
増田氏 まじめにお話すると、ああいうことは本当に会社としてよくない。徹底的に体制を改善しました。利用される比率はさておき、メーカーが正しい情報を出すのは、最低限で、当たり前のことです。SIMフリー端末を売る以上、いろいろなSIMカードを挿すのは想定してしかるべきことです。しっかりやっていくのは当たり前のことではありますが、体制を立て直していきます。
―― とはいえ、UQコミュニケーションズさんで使えると、やはりいいですよね。(UQが掛けている)IMEI制限はデメリットも多いですし。
増田氏 そこはキャリアさんのご意向があると思いますが、一般論として、縛りがない方がエンドユーザーにとってはプラスになると思っています。
―― KIWAMIのOSアップデートも遅れています。
増田氏 あれは、たった1つの項目にうちがこだわったからで、もう解決しています。このままなら、今月中(12月中)にはいけるのではないでしょうか(※12月22日に開始した)。
うちのモノ作りには特徴があります。QA(クオリティー・アシュアランス=品質保証)チーム、QC(クオリティー・コントロール=品質管理)チームがあり、普通だとこれでOKが出たら製品を出せますが、それだけでは足りないということで、UE(ユーザー・エクスペリエンス=顧客体験)チームを設けていて、しかもQA、QCと同等の権限を持たせています。
クオリティーは数値になりますが、それだけでOKにするのは違う。UEチームにはエンジニアではない素人もいて、ユーザー目線で「ここは、もっとこうした方がいい」ということをやっています。KIWAMI2に関しては、ユーザーにも先にβ版をお渡しして、触っていただくこともしました。そういうモノ作りにかじを切っているので、OSアップデートもUEチームに触らせ、ユーザー目線でちゃんとしたものを出すと決めています。OSバージョンアップは不具合も出やすいところなので、ズラすことにしました。
―― 「だれでもカケホ」の提供も延期になりました。
増田氏 あれに関しては……正直、そんなに響かず、それよりもスマートコミコミの方がニーズにかなっていたというのがあります。思った以上に、「あれ?」という感じで……。開発リソースや工数もかかり、優先順位的な問題もありました。ただ、当然出さないわけではなく、より改良して使い勝手はよくしていきます。
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