ポルトガル産の、コルクでできたスマートフォン:山根康宏の海外モバイル探訪記
ikimobileの「KF5Bless コルクエディション」は、素材にコルクを使ったスマートフォンです。同社はポルトガルのメーカーで、このコルクもポルトガル産だとか。実機を触ってみました。
スマートフォンの本体の素材はプラスチックや金属、またガラスを表面に貼り付けた製品も多数見かけます。今回はコルクを素材に使った珍しいスマートフォン、ikimobileの「KF5Bless コルクエディション」を紹介しましょう。
コルクと聞くと、それほど固い素材というイメージはないかもしれません。コルクボードなども表面は若干やわらかくなっていますよね。しかしKF5Bless コルクエディションのボディーを触ってみると、爪で強く押しでもしない限り、表面がへこんでしまうことはありません。コルクにもいろいろな種類があり、これは外装などにも使えるような固い種類のものなのでしょう。
本体を正面から見ても、ディスプレイの上下にコルクの素材が見えています。ディスプレイ面は下に角がある変形の5角形。独特のデザインですが、よく見ると超高級スマートフォンを出している「VERTU」のデザインをインスパイヤしていますね。どこかのODMメーカーが、手っ取り早くこんなデザインを出してきたのかもしれません。
とはいえ、コルクを使うというアイデアはなかなか他のメーカーにできることではありません。同社はポルトガルのメーカーで、このコルクもポルトガル産だとか。スマートフォンの部材は今や中国などで製造されます。中身は輸入品であっても、外側に地元でできた素材を使うという考えは評価できます。
価格は289.99ユーロ、約3万4700円。主なスペックは、プロセッサがMediaTekのMT6753 8コア1.3GHz、メインメモリが3GB、ストレージが32GB、ディスプレイが5型HD(720×1280ピクセル)、カメラはアウトが1300万画素、インが800万画素。通信方式はFDD-LTEの800、900、1800、2100、2600MHz帯に対応しています(他にW-CDMAとGSMにも対応)。ミドルレンジクラスの製品ですが、コルクの外装というだけでも価値はありそうですよね。
本体サイズは71.85(幅)×148.5(高さ)×11.1(奥行き)mm、重量は195.5g。やや大柄で厚く、重量もありますが、コルクが貼り付けられた工芸品ともいえる製品なので、このあたりを気にして使うものではないでしょう。コルク表面は使い続けていくうちに革のように独特の風合いが出てくることでしょう。スペック遅れになろうとも、数年使い続けたくなる。コルクでできたスマートフォンは、そんな愛着のわく製品なのです。
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