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ASUSに聞く「ZenFone 4」シリーズの手応え 今後は“限定モデル”も増やすSIMロックフリースマホメーカーに聞く(2/2 ページ)

2017年は「ZenFone 4」シリーズを発売したASUS。今回はデュアルカメラの搭載が大きな特徴。日本での手応えはどのように感じているのか。また今後の戦略は?

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ZenFone 4は好調だがZenFone 4 Selfie Proは苦戦

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レイレン・リー氏

―― お話をZenFone 4に戻しますが、先に導入された3機種のZenFone 4では、どれが人気なのでしょうか。

リー氏 真ん中のモデルについていうと、ZenFone 3は3万9800円(税別、以下同)からでしたが、ZenFone 4では5万6800円に上がっています。まず、この差があります。逆にZenFone 4 Selfie Proは4万2800円で、これがZenFone 3に近く、実質的な後継機になるのではという声もありました。

 一方で、結果を見ると、ZenFone 4に関しては、5万6800円でもしっかり売れている印象を持っています。

テン氏 ZenFone 3とZenFone 4は、世代が違いますが、戦略的にZenFone 3の販売も継続しています。現状ではMax、Laser、無印があり、その上にZenFone 4があるという見方ができるのだと思います。安い価格帯のものもありますが、ZenFone 4シリーズでは無印が一番の人気ですね。

―― というと、ZenFone 4 Selfie ProよりもZenFone 4なんですね。そこは意外でした。

テン氏 ZenFone 4 Selfie Proは、薄くてカメラの性能もよく、久々にカラーがレッドのモデルも出せたのですが、セルフィーに特化していると思われて、苦労しているところはあります。セグメントとしては、ZenFone3の1つ上なのですが……。

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インカメラがデュアル仕様の「ZenFone 4 Selfie Pro」

―― セルフィー需要が小さいということでしょうか。

テン氏 インド、インドネシア、日本、ドイツ、フランス、スペインで、「セルフィーを撮る?」「ウィーフィー(複数人での自撮り)をする?」というサンプル調査をしたのですが、日本は極端にセルフィーが少ないですね。ウィーフィーになると多少増えますが、これは恐らく集合写真のことで、他の国と比べるとほとんど撮らないという結果が出ています。

阿部氏 写真を撮って何をするかというと、FacebookやInstagramに上げるのだと思いますが、そもそも日本人は恥ずかしがり屋ということもあり、自分の写真をあまり表に出したがらないのかもしれません。

―― いっそのこと、名前を変えて日本で発売するという手もあったような気がします。

リー氏 部品の調達やソフトウェアなど、目に見えるものや、目に見えないものまで、全てを変えなければいけないので難しいですね。

阿部氏 ロゴも本国が作っているので、名前を作ると、それを変えなければいけません。全てを一気にやるのは、なかなか難しいですね。

さまざまなカメラのニーズに応える

―― 全機種デュアルカメラというコンセプトをうかがいましたが、広角になったり望遠になったりと、機種ごとに機能が違います。これはなぜでしょうか。

阿部氏 レンズ交換式カメラと同じように、通常のレンズの他に、広角や望遠のレンズが1つ付いているイメージです。カメラの使い方は人によって違っていて、料理しか撮らない人、景色だけを撮りたい人もいれば、セルフィーしかしない人もいます。全部1機種でできればいいのですが、ハードウェアの仕様的に、なかなかそれはできません。そういったニーズに応えていくと、このようなバリエーションが出てきます。いろいろな層がいて、そこに対して選択肢があるようにしたということですね。

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最もハイエンドな「ZenFone 4 Pro」は、画質劣化を抑えたズームが可能な望遠カメラを搭載している(ZenFone 4は120度の広角カメラを搭載)

―― ZenUIがシンプルになったのも、特徴だと思います。やはり、プリインストールアプリを減らしたのは好評だったのでしょうか。

阿部氏 そこにも、ユーザーの要望が反映されています。プリインストールアプリが多すぎるということで、最適化を施したり、逆に電源ボタンを3回押すとあらかじめ登録したところに電話をかけてくれる、SOS機能などを入れたりもしています。あとは、ツインアプリですね。LINEなど、本来は1つしかアカウントが持てないアプリを、2つ入れられるのは面白いところだと思います。

―― VoLTE対応は日本ならではの取り組みとうかがいましたが、他には、どのようなことがあるのでしょうか。

テン氏 端末のローカライズとは違いますが、弊社は本当に本社に文句をいう日本法人です。「日本ではそんなものは売れない」と平気で言いますからね(笑)。そういった声をうまく広い、本社にフィードバックする流れができました。

 また、ZenFanというコミュニティーがありましたが、これも「A部」に名前を変えています。A部には、コアにZenFoneを使っているガジェット好きなユーザーもいるので、こういった方々に、いち早く新しいバージョンのOSを試していただけるβプログラムもやっていきたいと思っています。

阿部氏 今までだと、上がってきたものを社内で検証してOKを出すという流れでしたが、A部の人に使っていただき、みんなで製品を作っていくことができればと思っています。

取材を終えて:ASUSならではの特徴をどう出すか

 MVNOやSIMロックフリースマートフォンの認知が進み、一般層にまで広がったことで、ZenFoneの販売方法は大きく変わった。MVNOによるセット販売がここまで増えてくると、チャネルを限定したり、カスタマイズモデルを用意したりする戦略は合理的に思える。そのために、ベースとなるASUS自身のラインアップはあえてシンプルにしているようだ。

 VoLTE対応をいち早く進めるなど、日本に向けたローカライズをきちんとしているのもZenFoneの強みといえる。一方で、競合他社も増え、ZenFoneならではの核となる特徴が、いまひとつ見えづらくなっているようにも感じる。ZenFone 4が売りにしているデュアルカメラも、スマートフォンでは一般的になりつつある。同社の次の一手にも期待したい。

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