AT&TがMate 10 Pro採用をドタキャン 日米で明暗分かれたHuaweiのキャリア戦略:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
スマートフォン市場で着実にシェアを伸ばしているHuaweiだが、課題も残る。キャリア市場での存在感がまだ小さいというのはその1つだ。現状、「キャリア市場への進出」は、日米で明暗がクッキリ分かれる結果となった。
SIMフリーでの実績を引っ提げ、nova 2をauから発売
政治的な背景もあって苦戦する米国市場に対し、日本では今のところ、順風満帆な状況といえるだろう。先に挙げた通り、auは同社初となるHuawei端末のnova 2を1月下旬に発売すると発表。かつてドコモやソフトバンクでHuawei製のスマートフォンが取り扱われていた実績をカウントするとすれば、“3大キャリアを制覇”した格好だ。日本と韓国を統括するHuawei デバイスの呉波氏は、「KDDIがHuaweiのスマートフォンを採用するのは初めてで、弊社も期待をかけている」と語る。
novaは、Huaweiが2016年9月に、ドイツ・ベルリンで開催されたIFAで発表されたシリーズで、ターゲットは“若者”だ。2017年には、SIMロックフリーモデルとして、初代「nova」とその廉価版である「nova lite」を日本に導入。novaは幅広い販路で、nova liteはMVNO限定モデルとして販売され、どちらも高い人気を集めた。特にnova liteはMVNO関係者からの評判が高く、後から導入を決定した会社もあったほどだ。
nova 2は、その後継機として開発されたスマートフォン。Huaweiが得意とするデュアルカメラを背面に搭載し、被写体の背景をボカすポート―レートモードなどを利用できる。セルフィ―用のインカメラも2000万画素と画素数が高く、顔を美しく補正するビューティー機能を備える。プロセッサには、Huawei傘下のHiSiliconが開発した「Kirin 659」を採用する。ただし、おサイフケータイや防水には非対応。グローバルモデルをベースに、ソフトウェアをカスタマイズしてauに導入する端末になる。
auがnova 2を導入した背景には、Huaweiが同市場で急速に認知度を上げていることがある。先の呉氏もそれを「採用理由の1つ」と認め、「弊社の知名度や認知度はどんどん上がっている」と語った。キャリアモデルと比べると、販売数の桁が1つ変わることもあるSIMロックフリースマートフォンだが、メーカーが自身で戦略を立てて販売できるため、ブランドは認知させやすい。もちろん、端末に競争力があることは大前提になるが、この点も、グローバルで成長しているHuaweiであればクリアできる。
モバイルWi-Fiルーターを中心に、スマートフォン以外のデータ通信端末で実績を重ねてきたことも、キャリアからの評価の高さにつながっているという。呉氏は「日本の通信事業者とは、過去10年、継続して協力関係を築いてきた」と歴史の長さを強調する。
novaは「学生が多い」という春商戦の特徴とも合っており、価格も手ごろだ。auは2017年、分離プランである「auピタットプラン」「auフラットプラン」の2つを導入。これらの料金プランを選ぶと、料金が安く抑えられる代わりに、端末購入補助がつかない。そのため、もともとの本体が手ごろな価格の端末が求められていた。ミドルレンジのnova 2であれば、こうしたニーズにも応えられそうだ。
関連記事
- au春モデル発表 au初のHuaweiスマホやQuaシリーズなど7機種【更新】
KDDIが2018年春モデルを発表した。ラインアップはスマートフォンやタブレットなど計7機種。au初のHuaweiスマホも登場する。 - au初のHuaweiスマホは買い? 写真で解説する「HUAWEI nova 2」
「HUAWEI nova 2」は、auが初めて扱うHuaweiスマホ。一括3万円と安いが、カメラ機能は性能にもこだわった。nova 2はどんな人にオススメできるのか。 - なぜ「HUAWEI nova 2」を扱うのか 今後も中華スマホは増える?――au春モデル発表会 質疑応答
au春モデルの大きなトピックは、Huaweiのスマートフォンがラインアップに加わったこと。Huawei端末の中で「nova 2」を選んだ理由は? 今後もカスタマイズを抑えた海外端末は増えるのだろうか? - 「FeliCaはクラウドとの連携が必須」「キャリア市場にも進出する」――Huawei呉波氏に聞く、2018年の展望
日本のSIMロックフリー市場でトップを走るHuawei。2017年12月には「Mate 10 Pro」と「Mate 10 lite」を発売した。Huawei自身は2017年をどう総括し、2018年はどんな戦略で臨んでいくのか? - AIチップ搭載でさらに賢く Huawei「Mate 10」「Mate 10 Pro」はココが変わった
Huaweiが新型スマートフォン「Mate 10」と「Mate 10 Pro」を発表した。従来の「P10」や「Mate 9」から何が変わったのか? 発表会の現地レポートをお届けする。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.