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ドコモの「d払い」は誰に向けたサービスなのか?

スマートフォンでバーコードを表示して決済できるドコモの「d払い」。既におサイフケータイがある中で、誰に向けたサービスなのか。店舗側にはどんなメリットがあるのか。

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 NTTドコモが4月から新たな決済サービス「d払い」を提供する。スマートフォンの「d払い」アプリを起動すると表示されるバーコードかQRコードを店頭で見せ、POSレジやタブレットなどで読み取ると決済が完了する。

 ドコモはモバイル決済サービスとして、電子マネーを活用した「おサイフケータイ」や「iD」を提供しているが、新たにd払いを提供する狙いはどこにあるのか。またどんなユーザーを想定しているのか?

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スマートフォンに表示させたQRコードとバーコード。決済端末によってどちらかを読み取る。QRコード/バーコードは決済ごとに変わる
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バーコードを読み取っているところ(ローソンの場合)

 NTTドコモ スマートライフビジネス部 執行役員 プラットフォームビジネス推進部長の前田義晃氏は、d払いの特徴は以下の3点だと説明する。

  • アプリを起動してバーコードを見せるだけの「簡単操作」
  • ケータイ代と一緒に支払える「便利さ」
  • 支払いにdポイントを使えること、支払うとdポイントがたまる「お得さ」
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d払いのメリット

 d払いの支払い手段としてクレジットカードをひも付けることもできるが、クレジットカードがなくても、ドコモの契約者ならケータイ代と合算する形で支払える。その点では、クレジットカードを使いたくない人、クレジットカードを持てない人(若年層など)が想定ユーザーに当てはまる。「特にシニア層でクレジットカードを使いたくないという方が多い」(ドコモ担当者)という。なお、d払いは未成年でも利用できるが、未成年の1回あたりの決済額は1万円が上限となる(通常の上限は10万円)。

 「楽天Edy」や「nanaco」などのおサイフケータイサービスもクレジットカードなしで利用できるが、ドコモ担当者によると、おサイフケータイの設定がよく分からないと感じている人、機種変更時のデータ移行が面倒だと感じている人が多いという。確かに電子マネーの利用シーンは広がっているが、筆者の周りでも使っている人はいまだに多くは見かけない。チャージ不要でアプリを起動するだけで支払えるd払いは、既存の電子マネーサービスよりも利用のハードルは低いといえる。

 課題は、d払いを利用できる店舗がまだ少ないこと。現時点ではローソン、マツモトキヨシ、高島屋、タワーレコード、くすりの福太郎、ユナイテッドアローズ、アーバンリサーチ、ウエルシア薬局が加盟店として挙がっているが、まだ十分な数とは言い難い。ドコモは「早期に10万店舗以上の展開を目指す」としているが、例えばコンビニエンスストアならセブン-イレブンやファミリーマートなども対応してほしいところだ。

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d払いを利用できるリアル店舗

 店舗側にとっても、d払いを導入するメリットはある。d払いは既存のPOSレジの他、リクルートライフスタイルが提供している「モバイル決済 for Airレジ」とも連携できる。「FeliCaのリーダーライターよりは安価に導入できる」と前田氏が言う通り、モバイル決済 for Airレジではアプリを入れたタブレットがPOSレジになるので、サービスの導入コストを抑えられる。

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モバイル決済 for AirレジではタブレットからQRコードを読み取って決済する

 オペレーションの観点でもメリットは大きい。現金決済よりもキャッシュレス決済の方が支払い時間が短縮するため、より多くの送客が期待できる。ローソン 執行役員 マーケティング本部長の野辺一也氏は「朝や昼など特に忙しい時間帯は、レジの待ちで行列になり、それを見て購入しない人もいる。キャッシュレス決済では明らかにレジの通過スピードが違うので、お客さま数が増え、購買の喚起になる」と期待を寄せる。

 日本のキャッシュレス決済は、諸外国と比べて利用率が低い一方で、中国を中心にバーコードを使ったモバイル決済が普及している。ドコモはd払いを導入することで、ケータイ代の合算払いを軸にユーザーの裾野を広げ、バーコード決済という簡素な仕組みを使うことで、大手から中小まで多様な店舗に導入してほしいと考える。

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キャッシュレス化の現状

 d払いを利用することで、ドコモ側では決済手数料が収益として入る。前田氏は「携帯電話事業以外のサービス分野での収益拡大を図る。d払いは決済事業は大きく伸ばすチャンスだと思っているので、利便性や安全性を確保していく」と意気込みを語った。

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ドコモが抱える1500万のユーザー基盤を活用してモバイル決済を推進する
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ドコモの前田氏(右)とローソンの野辺氏(左)

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