「d払い」を使う理由、使わない理由
ドコモが4月に開始する決済サービス「d払い」。バーコードを見せるだけなので、簡単に決済ができます。では、自分がd払いを使うかというと……。
NTTドコモが4月から、新たなモバイル決済サービス「d払い」を開始します。スマートフォンのアプリを起動すると表示されるバーコードを店舗で読み取ってもらうことで決済ができます。
ドコモは既に、おサイフケータイやiDなどのモバイル決済サービスを提供していますが、d払いの主なターゲットは「クレジットカードを使いたくない人」「おサイフケータイの設定が面倒で使いたくない人」などが想定されます。
iDを使うにはクレジットカードの登録が必要で、おサイフケータイ(プリペイド型)を使うにはチャージが必要で、機種変更時にデータを移行する必要があります。こうした操作のハードルが高いと感じる人は多いですし、そもそもクレジットカードを持っていない人もいます。
d払いなら、クレジットカードを登録せずに、携帯電話料金と合算する形で決済できます。アプリをインストールして、dアカウントで認証するだけで利用開始でき、機種変更に伴うデータの移行も不要。このように、利用のハードルがグッと下がるd払いは、モバイル決済サービスを使っていない人たちにとって訴求力のあるサービスといえます。
一方、既におサイフケータイやiDなどを使っている人にとって、d払いを使う理由は少し弱いかもしれません。私は普段、コンビニを初めとする対応店舗では、Apple PayのiDを使って支払っていますが、dポイント加盟店なら、dポイントカードやdカードを提示すればd払いと同様にdポイントもためられます。
しかもApple PayならTouch IDやFace IDで認証するだけで支払えるので、スマホのロックを解除してアプリを起動するよりもスムーズです。AndroidスマホのおサイフケータイやApple PayのSuicaなら、スマホをかざすだけで支払えるので、さらに速くなります。
ただ、d払いでクレジットカードを登録して、「dポイント加盟店でないd払い加盟店」でd払いをすれば、dポイントもクレジットカードのポイントもたまるので、iDを使うよりお得になります(ちょっと分かりづらいですが)。
dポイント加盟店でないd払い加盟店には、くすりの福太郎、ユナイテッドアローズ、アーバンリサーチ、ウエルシア薬局などが挙がっています。普段自分が使う店舗が対象になれば、d払いを使うことになりそうです。こうした店舗では、dカードを提示してdポイントをためることができませんが、d払いアプリからdポイントをためられます(操作が別途必要になりますが)。
モバイル決済サービスが乱立してきて少々(?)分かりづらい感はありますが、d払いがキャッシュレス決済普及の起爆剤になることに期待したいですね。
※この記事はメールマガジン「ITmedia デジタルライフスタイル通信」から転載、加筆したものです。購読申込はこちら。
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