法人向けやMVNEが好調のIIJ 個人向け「IIJmio」は低調続く
IIJの法人向けモバイルサービスは順調に伸びているが、個人向けは伸び悩みが続く。鍵を握るのは「フルMVNO」サービス?
IIJ(インターネットイニシアティブ)が2月8日、2017年度第3四半期の決算会見を開催。モバイル事業の総売り上げは前年同期比34.8%増、MVNE売り上げは前年同期比77.7%増となった。モバイル総回線数は2017年12月時点で216.1万に達した。2017年9月に200万回線を超えてから、堅調に推移している。
法人向け「IIJモバイル」の回線数は117.4万で、第2四半期から約15万増と好調だ。このうち、IIJがMVNEとして提供している回線は、第2四半期の68.3万から74.4万に増えた。勝栄二郎社長は「MVNEで法人に卸している回線が伸びており、一次MVNOとしての存在感が増している」と手応えを話す。MVNEの顧客は135社となり、第2四半期から7社増えた。
一方、個人向け「IIJmioモバイル」の契約数は98.7万で、第2四半期の97.2万から1.5万増にとどまった。第2四半期の6000増よりは多いが、1Qごとに4万〜6万ほど増えていた2016年度と比べると低調だ。勝氏は「フルMVNOの導入で、インバウンドなど個人の利用も飛躍的に増えていくと見ている」と言うが、本命は法人だ。「M2MやB2Bの増加を期待している」と同氏。監視カメラや工場でのIoTサービスなども引き合いが多く、2018年4月には中部電力とコネクテッドホーム事業で合弁会社を設立することが決まった。
IIJの「フルMVNO」サービスは、当初の予定通り2018年3月から提供する。2017年11月の発表時には、「法人向けサービス」「訪日外国人向けのプリペイドサービス」や「海外ローミングサービス」を予定しているとこのとだったが、現時点ではまだ商談中のため、具体的なサービスはあらためて発表される。
楽天が携帯キャリアに名乗りを上げた件については「具体的にははっきりしていないが、われわれがキャリアになることは考えていない」と勝氏はコメントした。
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