「Nokia 8110 4G」登場で盛り上がる“4Gフィーチャーフォン”:山根康宏の海外モバイル探訪記
MWC 2018で、スマートフォンの新製品並みか、それ以上に注目を集めていた端末が「Nokia 8110 4G」。フィーチャーフォンでありながら、スマートフォンのようにアプリも動かせます。
Mobile World Congress 2018ではGalaxy S9/S9+やXperia XZ2をはじめとするスマートフォンの新機種が発表されて大きな話題になりました。ところが、これら新製品並みか、それ以上に注目を集めていた端末も発表されたのです。それが、フィーチャーフォンの「Nokia 8110 4G」です。HMD Globalが手掛けるNokiaブランドの端末はスマートフォンだけではありません。2017年に発表された「Nokia 3310」に続いて登場したのが、このNokia 8110 4Gでした。
4Gならスマートフォンを使えばいいじゃないかという声も聞こえてくるでしょうが、それは先進国ならではのこと。新興国では今でもフィーチャーフォン利用者は多くいます。また低価格なスマートフォンはスペックが低いこともあって動作も緩慢です。テンキーでサクサク操作できるフィーチャーフォンの方が使いやすいケースもあります。
とはいえ、今やSNS全盛時代。通話とSMSだけでコミュニケーションを図っている人は減っています。そこで登場したのが4Gフィーチャーフォンです。フィーチャーフォンでありながら、実は中身はスマートフォンライクなOSなのでSNSアプリも動きます。またVoLTEに対応しているので2Gや3Gのない環境でも通話が可能です(要通信事業者のサービス)。
Nokia 8110 4Gは「Kai OS」を採用しており、Facebookなど一部SNSアプリも提供されます。これなら新興国だけではなく、先進国のユーザーのサブ用途にも十分使えますね。Wi-Fiも搭載しているのでネットアクセスの環境も広がります。HMD GlobalはNokia 3310の4G版も中国で発売し、こちらは「Yun OS」を搭載。今後はアプリの追加もできるようになるでしょう。
このように4Gフィーチャーフォンに注力しているのはNokia/HMD Globalだけではありません。世界最大の通信事業者、China Mobile(中国移動)は中国国内向けに4Gフィーチャーフォンを出していますが、こちらもYun OSを採用しています。この4Gフィーチャーフォンは中国外にも輸出されているとのこと。
スマートフォンOSの新興勢力である「Sailfish OS」を手掛けるJolla(ヨラ)も、MWC 2018で発表会を行い、同OSのフィーチャーフォン対応を発表しました。スマートフォン向けOSをテンキーのタッチパネル非搭載ディスプレイに対応させ、同OSの利点であるAndroid OSアプリが一部動くことから、フィーチャーフォンでもSNSの利用が可能になります。発表会ではODMメーカーのフィーチャーフォンに同OSを入れ、Facebookが動くことをデモしていました。
4Gのフィーチャーフォンといえば、インドの新興通信事業者であるリライアンス・ジオが2017年夏に実質無料で端末を配り話題になりました。MWC 2018ではこの端末をストリーミングテレビ放送のモデムとして使うソリューションも展示されていました。つまり4Gのフィーチャーフォンしか持っていなくても、テレビにつなぐことでYouTubeなどを大画面で楽しめるのです。
スマートフォン全盛とはいえ、通話用にサブのフィーチャーフォンを持つのも悪くありません。そのフィーチャーフォンが簡易的にでもSNSに対応していれば便利です。MWC 2018では中国のODM/OEMメーカーも4Gフィーチャーフォンを展示しているところが多くありました。今後日本でも製品が増えるといいですね。
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