三木谷浩史CEO「日本人の半分が楽天のスマホを使うようになる」――キャリア参入に向けて「技術力でブレイクスルーする」と宣言:石川温のスマホ業界新聞
子会社を通して2019年にMNOとなる予定の楽天。同社の三木谷浩史社長が「楽天市場」の加盟店の関係者にMNOとして携帯電話市場に参入する狙いを語ったが、若干具体性に欠ける話に聞こえた。
楽天が、加盟店向けのイベント「Rakuten EXPO 2018」を7月17日に開催。三木谷浩史CEOの基調講演があるということで取材に行ってきた。
キャリアへの新規参入に関して言及があるかと期待していたのだが、基調講演の最後になって「携帯キャリアへの挑戦」として、参入の目的が語られた。
この記事について
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2018年7月21日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。
三木谷CEOとしては「6、7年前はスマホからのアクセスがPCを上回るなんて考えれなかった」として、改めてスマホからの楽天へのアクセスが重要になっていると力説。いまでは、楽天市場における流通総額の66.5%はスマホからのアクセスになっているという。特に元日においては、76.7%までスマホの流通総額比率が高まるとのことだ。
三木谷CEOは、楽天がキャリアに参入する一つの理由として、「家計における通信費の比率が上がっている」というのをあげた。ただ、ソフトバンクも参入当初は料金競争を仕掛けてきたが、結局、他の2社と横並びになっていっただけに、楽天の意思表示も聞き流しておいてよさそうだ。
楽天では、9700万の会員を抱え、ポイントプログラムにおいても、対応店舗が70万店、累計発行額1兆ポイントという点が強みであるとした。
特にEコマースのマーケットプレイスの流通総額が国内ナンバーワンであり、クレジットカードもショッピング取扱高6.1兆円、MVNOも3年で150万回線を獲得したことが、キャリア参入への自信につながっているようだ。
三木谷CEOは「いずれ、日本人の半分は楽天を使う」と言い切り、将来的にはソフトバンク、KDDI、NTTドコモを抜いて、国内ナンバーワンのキャリアになるとした。
楽天に関してはネットワークの整備について、かなり疑問視されているが、三木谷CEOは「いままでにない技術で、ブレイクスルーする」と胸を張った。
ただ、それが具体的にどういった技術で、いつ投入するかなどについては、一切、明らかにされることはなかった。
今回、イベントには楽天市場に出店している通販サイト関係者4000名以上が参加していることもあり、「楽天がキャリアになり、日本人の半分が使うことで、通販サイトへのアクセスが増え、楽天経済圏が拡大する」とアピールしたかったようだ。
楽天市場に参加する通販サイト関係者という、身内のような人たちの気持ちを煽るには理解できなくもないが、もうちょっと具体的に「どういった技術でブレイクスルーするのか」「なぜ、日本人の半分が使うキャリアになれるのか」という点をしっかりと説明してほしかった。
あのソフトバンクでさえ、契約者数ではNTTドコモをいまだに超えられていないことを考えると、三木谷CEOの発言はかなり荒唐無稽に聞こえてしまうだが、大丈夫だろうか。
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