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おサイフケータイ対応の衝撃 “日本市場に最適化”したOPPO新スマホの期待と課題石野純也のMobile Eye(1/2 ページ)

OPPOが新スマートフォン「R15 Pro」と「R15 Neo」を発表。参入第1弾の「R11s」と比べ、日本市場への“現地化”を進めたのが最大の特徴だ。ローカライズを徹底して推し進めるOPPOの狙いを読み解いていきたい。

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 中国のスマートフォンメーカーOPPOが、日本参入第2弾となる「R15 Pro」「R15 Neo」を発表した。ともにベースはグローバルモデルとして展開されている端末だが、参入第1弾の「R11s」と比べ、日本市場への“現地化”を進めたのが最大の特徴だ。この2機種からは、OPPOの日本市場に賭ける意気込みが見て取れる。ここでは、ローカライズを徹底して推し進めるOPPOの狙いを読み解いていきたい。

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日本参入第2弾として、「R15 Pro」「R15 Neo」の2機種を発売するOPPO

参入わずか半年でおサイフケータイに対応した「R15 Pro」

 OPPOの参入第2弾となるR15 Pro、R15 Neo共通のテーマは、「日本市場への最適化」といえる。といっても、R15 ProとR15 Neoでは、それぞれローカライズのアプローチが異なっている。まず上位モデルのR15 Proは、機能面で日本市場を重視したモデルといえる。

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おサイフケータイ&防水に対応したR15 Pro

 最大の特徴は、やはりおサイフケータイに対応したことだ。R15 Pro自体は海外でも販売されているスマートフォンだが、OPPOは日本向けのモデル限定でFeliCaを搭載。iDやSuicaなど、おなじみの非接触決済サービスを利用できる。

 キャリアモデルでは今や当たり前のおサイフケータイだが、SIMロックフリースマートフォンとなると対応事例は少ない。最近ではシャープやHTCなどが積極的にこの機能を搭載しているが、参入からわずか半年で、しかも海外メーカーがSIMロックフリースマートフォンに搭載したのは、異例といえる。

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電子マネーやクレジットカードなど、各種サービスが利用可能。背面にはおサイフケータイのロゴがあしらわれている

 もともとグローバルモデルのR15 Proに備わっていた仕様だが、この端末ではIPX7の防水にも対応している。結果として、日本市場で人気が高いといわれる「おサイフケータイ」と「防水」の両機能を満たした格好だ。

 OPPO Japanの代表取締役、トウ・ウシン氏は、「日本のSIMフリーマーケット参入後、わずか半年でFeliCa、防水を搭載した商品を立ち上げることができた。これは現地化をいち早く進めるという決意。誠意を感じ取っていただければと思う」と胸を張る。

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参入からわずか半年でFeliCaの搭載にこぎつけた

 開発には、フェリカネットワークスや富士ソフト、ソニーの協力があり、開発陣がOPPOに常駐するなど、手厚いサポートもあったというが、ここまで素早く搭載に踏み切れたのは、研究開発を重視し、生産まで一貫して自社で行う同社の姿勢があってこそだ。

キャリア市場への足掛かりとしてのおサイフケータイ

 おサイフケータイの搭載に踏み切った理由は、そのニーズの高さにあるという。トウ氏は、「日本の3大キャリアが出しているさまざまな端末を観察したが、FeliCaは日本のユーザーにとってコアなニーズだと確信した」とその理由を語る。

 おサイフケータイの利用率は2割前後といわれているが、決済は毎日の生活と密接に結びついているだけに、一度使うとなかなか離れることができない。そのため、FeliCa対応は利用率以上にユーザーからの要望が上がりやすい機能といえる。

 とはいえ、参入から半年しかたっていないメーカーが、おサイフケータイにチャレンジするハードルは高く、そのぶんコストも上昇してしまう。実際、R15 Proも、「FeliCaの追加でコストが上がり、他の地域よりも売値が高い」(トウ氏)といい、端末価格は日本上陸第1弾の「R11s」よりも上がってしまった。

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価格は6万9880円(税別、以下同)。第1弾のR11s(5万7980円)よりも高額なモデルになった

 SIMフリー市場ではおサイフケータイ端末が少なく、OPPOが搭載に踏み切ることで目立った売りになることは確かだが、他社は非搭載端末でも十分な実績を上げている。SIMフリー市場での販売面だけを考えると、FeliCaを搭載したことでマイナスになる恐れもある。では、なぜそこまでしてOPPOはFeliCa搭載にこだわったのか。

 理由は2つある。1つは、ブランドイメージの向上だ。トウ氏によると、新規参入ゆえに、「OPPOは本気で日本に来たのか? すぐに出ていってしまうのではないか?」と不安を持たれることもあったという。実際、TCL CommunicationやWikoなど、鳴り物入りで日本市場に参入したものの、その後が続かず、半ば撤退に近い状態になっている海外メーカーは少なくない。トウ氏は「FeliCaを開発し、これを打ち出したことで、本気であることの証にしたい」と語る。

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FeliCa対応の意気込みを語るトウ氏

 もう1つの理由は、大手キャリアへのアピールだ。トウ氏が「OPPOがFeliCaに対応できるということを、日本の3大キャリアにも見せたい」と語っていたように、技術力をキャリアに対して証明する狙いもあるという。

 OPPOは参入当初から、ドコモ、au、ソフトバンクへの参入意思を表明しており、その計画は今も変わっていない。トウ氏によると、現時点でも交渉は継続しているという。SIMフリー市場は拡大したとはいえ、まだ全体の2割程度の規模しかない。販売を大きく伸ばすのであれば、キャリア市場への参入は必須といえる。OPPOが最終的に狙うのも、このキヤリア市場だ。

 単に日本で販売台数を稼ぎたいだけでなく、OPPOには、北米などキャリアの力が強い国や地域への足掛かりにしたいという思惑もある。東南アジアなどのオープン市場で一気に拡大したOPPOだが、キャリア市場の大きな国や地域では、まだ十分な成果を上げられていない。中でも厳しいといわれる日本の“キャリア水準”をクリアできれば、他の市場への展開も容易になる。OPPOにとって、FeliCaの搭載は、単にR15 Proの売れ行きを伸ばす以上の意味があったというわけだ。

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フラグシップモデルの「Find X」とともに、欧州展開も本格化したOPPO。日本進出は北米などを攻略するための、第一歩と考えているようだ
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