おサイフケータイ対応の衝撃 “日本市場に最適化”したOPPO新スマホの期待と課題:石野純也のMobile Eye(2/2 ページ)
OPPOが新スマートフォン「R15 Pro」と「R15 Neo」を発表。参入第1弾の「R11s」と比べ、日本市場への“現地化”を進めたのが最大の特徴だ。ローカライズを徹底して推し進めるOPPOの狙いを読み解いていきたい。
SIMフリー市場のボリュームゾーンに最適化した「R15 Neo」
機能面でローカライズを推し進めたR15 Proに対し、R15 Neoはコストパフォーマンスで日本の市場動向に照準を合わせた端末といえる。同モデルは19:9と縦に長く、額縁が狭いディスプレイを搭載しており、背面にはデュアルカメラも備える。2回線同時にVoLTEで待受けができる「DSDV(デュアルSIM/デュアルVoLTE)」にも対応。2枚のSIMカードと同時に、microSDも利用できる。
こうした必要十分な機能を備えながらも、価格はメモリが3GBの最小構成モデルで、2万5880円(税別、以下同)とリーズナブル。上位モデルでRAMが4GBのモデルも、2万9880円と税別ながら3万円を下回る価格を打ち出した。この価格は、3万円前後が“ボリュームゾーン”といわれる、SIMフリー市場にマッチしたものだ。
日本参入時に発売した「R11s」は、機能性には優れていた一方で、価格は5万7980円と、SIMフリースマートフォンとしては価格が高く、販売面では苦戦することが予想されていた。ただ、かつてトウ氏は筆者のインタビューに答える形で「格安ブランドとしてイメージが定着してしまう可能性もあり、同時に出すことで、高級端末を出す意味がなくなってしまう」としながら、実売よりもブランドを重視する方針を語っていた。これを文字通り受け止めると、ブランド構築を優先するという方針を、一部転換したようにも見える。
OPPO関係者によると、R11sの反響を踏まえ、SIMフリー市場のボリュームゾーンに端末を投入することを決定したという。いくら機能が優れていても、実機がほとんどユーザーの手に渡っていなければ、口コミを広げるのも難しくなる。市場での存在感を出していくには、やはり販売台数も重要だ。特にOPPOは、日本ではまだ認知度が極端に低い。このような状況を考えると、店頭でアピールしやすい価格のR15 Neoを投入する判断は、正解だといえる。
日本のSIMフリー市場は、現状だと、Huaweiが首位を固めており、そのシェアを伸ばしている。MM総研が5月に発表したデータによると、2017年度通期ではHuaweiが31.5%で、2位のASUSが19.9%でここに続く。上位2社で過半数を占めるSIMフリー市場だが、3位以下は入れ替わりも激しい。持ち前のコストパフォーマンスの高さを発揮していけば、OPPOがここに名を連ねるチャンスは十分ありそうだ。
ただし、そのための販路開拓がまだ十分ではない印象も受けた。トウ氏は「販売パートナーを増やした」と言うものの、発表会時点では、ビックカメラやヨドバシカメラなどの家電量販店と、Amazon.co.jpなどのネットショップが中心で、R11sのときとの大きな変化はない。セット販売の比重が増している中、MVNOが含まれていなかったのは不安材料の一つだ。
トウ氏は「時間が少し合わず、調整を行っている会社もある。決算の問題で、タイミングが合わないこともあった」として、MVNOの取り扱いもあることを示唆した。一方で、SIMフリースマートフォンでシェア上位のメーカーが端末を発表した場合、大小さまざまなMVNOが取り扱いを表明するのが一般的になりつつある。販路を拡大するためには、有力なMVNOとタッグを組み、専用仕様のモデルを発売するなど、小回りの利いた対応も必要になりそうだ。
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