中国スマホの“サブブランド競争”が白熱 OPPOがHuawei対抗の新ブランド立ち上げ:山根康宏の中国携帯最新事情(2/2 ページ)
世界のスマートフォン販売シェアは、Huawei、OPPO、Xiaomi、Vivoは上位の常連です。各社はハイエンドから低価格品までさまざまなモデルを展開していますが、今各社が力を入れているのはフラグシップモデルだけではなく、サブブランドの低価格ラインなのです。
OPPOは新ブランド「RealMe」を投入
日本にも参入を果たしたOPPOは4つのラインアップで市場での勢力を拡大してきました。「R」シリーズはデュアルカメラに高画質インカメラを搭載するなどして中国を中心に販売されています。そのRシリーズのアウトカメラをシングル化して価格を抑えた「F」シリーズは、東南アジアなど新興国のフラグシップモデルとして展開されています。最近はRとFの両方を販売する市場も増えています。そして最上位の「FIND」シリーズは特定国で販売、先進国もターゲットにして欧米にも投入される予定です。
OPPOはこれらフラグシップモデルだけではなく、その下に位置する豊富な「A」シリーズも好調な販売数を示しています。下位ラインでありながらもAシリーズの上位モデルはかなりの高性能で、2017年11月発売の「A79」は6型(1080×2160ピクセル)ディスプレイに前後1600万画素カメラを搭載、レンズはアウトがF1.8、インが2.0という、「ワイド大画面」「セルフィー高画質カメラ」を搭載しています。さらにはOPPO独自の高速充電技術「VOOC」にも対応しています。
しかしAシリーズも気が付けばこのA79を筆頭に「A83」「A77」「A73」「A57」と種類が増え、製品名と性能が分かりにくくなっています。そこで2018年に入ってからAシリーズを再整理し、「A1」「A3」「A5」と分かりやすいモデル名にリネームしています。
Aシリーズの特徴はインカメラが共通で800万画素となっています。A1は5.7型ディスプレイに1300万画素のアウトカメラを備える1000元の格安機。A3は6.2型ディスプレイに1600万画素カメラを搭載した大画面モデル。そして「A3S」はA3のカメラを1300万画素+200万画素としバッテリーも4230mAhに強化したモデルで、販売国により「A5」として販売されます(ちなみにA5は、日本で発売する「R15 Neo」のベースモデルです)。
矢継ぎ早にモデル数を増やした2017年以前とは変わり、ユーザーニーズの最大公約数を狙いプラットフォームを絞り込むことで、Aシリーズの位置付けを分かりやすくしています。
そのOPPOはインドでAmazonでのオンライン販売に特化した「RealMe」ブランドを展開しています。Aシリーズに位置するミッドレンジモデルで、現行製品の「RealMe 1」は6型(1080×2160ピクセル)ディスプレイ、MT6771、メモリ3/4/6GB、ストレージ32/64/128GB、アウトカメラ1300万画素、インカメラ800万画素。最低価格は8990ルピー(約1万4700円)です。
RealMe 1は2018年5月25日12時に販売が開始され、最初のロットはわずか2分で完売するほどの人気でした。そして発売から40日間で40万台を売り上げるヒット商品になったのです。男性でもセルフィーをするほどのセルフィー大国インドでは、OPPOの名前は消費者に知れ渡っています。そのOPPOから登場した全く新しい低価格モデルということで、RealMe 1は幸先の良いスタートを切ったのです。
RealMe 1の成功に気を良くしたOPPOは、このRealMeブランドをOPPO本体から切り離し、独立したブランドとして国際展開を図る予定です。2018年7月30日にOPPOのCEOが中国のSNSでその計画を明らかにしました。XiaomiのRedMiのような下位製品ではなく、Huaweiのhonorのように全く別のブランドとし、独自の製品展開が行われる予定です。また国際展開は各国のECサイトとの提携が考えられます。OPPOがスマートフォンを販売している国でも、RealMeの製品は並行してオンラインで販売される可能性があります。
今後はRealMeからもハイエンドモデルが出てくるのかが気になるところです。またOPPOの動きを受けて、上位の「X」シリーズと下位の「Y」シリーズを展開しているVivoがどのように追従するかも興味深いところです。サブブランドの強化は製品全体の販売数を底上げすることが期待できるだけに、中国メーカー各社のスマートフォン販売台数は今後さらに伸びると考えられるでしょう。
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