有機EL採用の狙いは? カメラはなぜ単眼? ソニーモバイルに聞く「Xperia XZ3」:IFA 2018(2/3 ページ)
ソニーモバイルが「IFA 2018」で発表した新スマホ「Xperia XZ3」。ディスプレイに有機ELを採用し、本体前面にも曲面デザインを取り入れた。開発の背景を商品企画担当者に聞いた。
指紋センサーの位置、イヤフォンジャック廃止の反響は
―― Xperia XZ3の指紋センサーは、XZ2と同じく位置が低いという指摘があります。一方、XA2 Plusでは高い位置にあるようです。
矢部氏 XZ2とXZ3では、本体が横向きでも、手に持ったとき自然に使えるよう検証した上で配置しています。XA2 Plusは筒型のループデザインなので上の方に搭載できましたが、XZ3では大きなカメラモジュールを搭載したことによる構造的な理由もあります。
位置が低いという声は重く受け止めており、どこが最適なのか今後も改善の余地があると考えています。
―― 指紋以外の生体認証技術には対応しないのでしょうか。
矢部氏 さまざまな技術を見ていますが、このタイミングで十分に安心して届けられるのはやはり指紋認証です。顔認証にはセキュリティの問題もあり、サービスの連携はなかなか広がらないと感じています。
―― Xperia XZ3では、前モデルのXZ2と同じく3.5mmのイヤフォンジャックがありません。ユーザーの反応はどうだったのでしょうか。
矢部氏 一部のイヤフォンジャックを使っていた方からは、残念という声をいただいています。ただ、当社を含めて業界全体でワイヤレスは広がっています。音質では一部有線が優れているものもありますが、ワイヤレスも高音質化により十分に楽しんでいただける音質を担保できています。
XZ3のカメラ、なぜ単眼のまま?
―― 発表会では「AI in Xperia」として訴求しました。なぜこのタイミングで“AI”という言葉を前面に出してきたのでしょうか。
矢部氏 Xperia X Performanceの頃から、「インテリジェント」や「スマート」という言葉を使ってきました。重要なのはAIかどうかではなく、どうすればお客さまに正しく伝えられるか、という点です。「プレミアムおまかせオート」や笑顔検出の「スマイルシャッター」もAIの一つですが、大事なことは「どうやって実現しているか」ではなく、「ユーザーが何を得られるか」だと考えます。
―― Xperia XZ3ではなぜデュアルカメラを搭載しなかったのでしょうか。
矢部氏 カメラの数は一つの手段です。XZ2 Premiumでは世界最高レベルのISO感度により肉眼で見えないレベルのものを撮影できますが、全てのお客さまに向けたものではありません。
Xperia XZ3では、単眼でも十分な画質を担保できます。カメラの数を増やすなら、その数でしかできないユーザー体験を提供しなければなりません。今回は、持ち上げるだけでカメラアプリを開ける「スマートカメラ起動」による使い勝手の改善の方が、お客さまのメリットにつながると考えました。
―― Xperia XZ3ではインカメラがXZ1と同じ1320万画素になりました。XZ2ではなぜ500万画素とスペックが低かったのでしょうか。
矢部氏 実は液晶と有機ELの厚みの違いが理由です。XZ3では、XZ1とも異なる1320万画素のモジュールを新たに作り、有機ELのパネルに重ねて搭載しました。しかしXZ2の液晶ではそうした構造が取りにくく、500万画素としました。
ただ、XZ2ではQualcommとの協業により、チップセットのSnapdragon 845を含めたチューニングにより、解像感がかなり上がっています。CPUが良くなれば、カメラのモジュールは小さくてもよく撮れるのです。XZ3では1320万画素になったことで、さらに良くなりました。
―― Xperia XZ3には、自撮り機能としてXA2 Plusの「ポートレートセルフィーモード」が移植されました。
矢部氏 XZ3はグローバルで販売しており、セルフィーの需要が高い地域では背景ぼかしや美白、美肌の強いニーズがあります。性別や年齢といった要素は見ていませんが、同時に3人まで効果をかけるグループでの自撮りに対応しています。
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