総務省・小林政務官が語る「楽天の携帯電話事業参入」――新技術の導入で「大手キャリアの4割引き料金」を実現できるか:石川温のスマホ業界新聞
総務省の小林史明政務官にインタビューする機会を得た。その中で楽天の携帯電話市場への参入について質問したので、その模様をまとめる。
今週、総務省・小林史明政務官にインタビューする機会を得た。
菅官房長官の「4割値下げ発言」についての疑問を、小林政務官にぶつけたので、その詳細は日経電子版「モバイルの達人」を読んでほしい。
この記事について
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2018年9月8日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。
小林政務官には、実は楽天の携帯電話参入についても質問している。
「楽天、本当に大丈夫なのか。総務省として支援策などは用意しないのか」という質問に対して、小林政務官は、「まずは民間で頑張ってもらう。楽天は覚悟を持って携帯電話市場に参入してきた。新しい技術を使ってチャレンジしてくるのを見守るしかない。邪魔が入らないのが重要であり、何かあれば、阻害要因は取り除く」というコメントであった。
総務省としては第4のキャリアとして期待しているようで「国内でローミングでサービスを提供するとなると、他キャリアの戦略もある。しかし、海外を見ても、上手にやっている地域もある。民間の間でどういう戦略を取るか。選択肢はいろいろあるのではないか。楽天としては様々な事業を持っており、それらの事業とのシナジーを出せると判断し、覚悟して参入してきたのではないか。頑張って欲しい」と語った。
今後、楽天が既存キャリアに対して、ローミング接続を申し入れるも、既存キャリアからは「ビジネスベースでの交渉」で、相当な額をふっかけられ、総務省に泣き寝入りするという可能性も考えられるが、そうしたときも、総務省としては「まずは民間で頑張ってもらう」として突き放すことになるのかもしれない。
今週、楽天に関しては日経電子版が「基地局メーカーにノキアとアルティオスター・ネットワークスを採用したのではないか」と報じた。
専用設備ではなく、汎用サーバーを用いてネットワークを構築することで安価に抑え、設備投資を6000億円でまかなうつもりではないかという。
このタイミングでゼロからネットワークを構築するのだから、当然、NFVで作り上げてくるのは当然だろう。問題はネットワーク側ではなく、街中に基地局の敷地を確保し、工事する費用の方ではないか。ネットワーク側が仮想化されたとしても、基地局の土地や人件費は仮想化できない。特に土地や人件費が10年前よりも安くなったという話は聞かない。そうしたコストは、今まで変わらないかむしろ、値上げしているわけで、NFVを採用したからといって、コストが劇的に下がるわけではないだろう。
菅官房長官の発言により、楽天の料金プランは、3キャリアが提供する4割以下の料金設定でなければならない雰囲気ができつつある。
果たして、ゼロから全国にネットワークを構築しながらも、4割以下の料金設定を実現できるのか。楽天のハードルは上がりつつあると言えそうだ。
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