「分離プランのトップランナー」「楽天と“協争”」「au PAY」――KDDI決算説明会で語られたこと(2/2 ページ)
KDDIが2018年度第2四半期の決算を公表した。報道関係者向けの説明会で、同社の高橋誠社長は何を語ったのだろうか。
auは「分離プランのトップランナー」で「宿題は済ませている」
質疑応答では、楽天の提携に関する質問の他、10月31日にドコモの吉澤和弘社長が「ドコモの料金を2割から4割値下げする」と発言したことに対する質問も相次いだ。
高橋社長は「正直、昨日のドコモさんの会見は驚いた。われわれは今日(11月1日)が決算発表なのに、株価が大きく動いてしまった」と苦笑い。ただ、料金については「去年の夏ごろにすでに分離モデルを導入した」とドコモに先行していることを強調した上で以下のように語った。
「われわれはドコモさんより一歩先に、(分離プラン導入という)宿題を済ませている。ドコモさんの料金値下げの話が出たから、そのままわれわれが同じ規模で追随することにはならない」(高橋氏)
2017年7月の分離プラン導入などにより、2018年度末までに約3000億円超の減収となる見込みであることについては、「これがドコモさんの言っている(減収見込みの)4000億円と同じかどうか分からないが、すでにそこまで下がっていった。ただ、われわれも民間企業なので、増益をしっかり狙っていかなくてはいけない。今期(2018年度)で見た場合、端末のコミッション(手数料)抑制、新規事業や海外・法人事業によって増益になっている。3000億円は打ち返しているという状況。2018年度は1兆200億円(の利益)を目指しているが、目標に対して順調に進捗している」と堅調な業績をアピールした。
また、ピタットプランやフラットプランが菅義偉官房長官の「要望」に応えた形になっているのかという質問に対して、高橋社長は以下のように語った。
「分離プランによって通信料金が下がったのは事実。これについての宿題はこなしている。端末価格は上がっているが、総務省のガイドラインによって高額なインセンティブは出していない。しかし、端末が買いやすくないと新しいサービスにつながっていかないので、48カ月や24カ月の分割払いのプログラムを用意しているが、ユーザーを拘束しているという指摘があり、公正取引委員会からもお叱りを受けたので、ここも改善した。KDDIとしては1つ1つ真摯(しんし)に対応し、政府のいう『宿題』をやってきているつもりである」
さらに高橋ユーザーへの利益還元についても言及。「5Gの投資で地方創生につなげ、株主還元、社会貢献もやっていく。ユーザーに対する還元が、単純に値下げという形にならないかもしれないが、5Gの時代なので多様な料金体系が出てくると思う。その中で1つ1つ対応していく」とした上で、最後に「いずれにしても、分離モデルについては、われわれは最初に走ったトップランナー」と改めて強調した。
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