開発陣に聞く「Xperia XZ3」 有機ELの画質や焼き付き対策、6型ノッチなしの理由(3/3 ページ)
ソニーモバイルの最新スマホ「Xperia XZ3」は、シリーズ初の有機EL搭載が大きな特徴。なぜこのタイミングで有機ELの搭載に踏み切ったのか。使い勝手やデザインにはどんな改良を施したのか。開発チームに話を聞いた。
デュアルカメラはなぜ非搭載?
スペックで気になるのは、Xperia XZ2 Premiumで念願のデュアルカメラを背面に搭載したものの、Xperia XZ3では再びシングルカメラに戻ってしまったこと。矢部氏はその理由について「カメラの数は手段でしかありません。多い方ができることは増えますが、サイズに与える影響もあります」と話す。「ボケの効果や(XZ2 Premiumの合成処理による)暗所撮影は、とがったユースケースだと思います。単眼カメラでも、ソフト処理を加えることで満足できる体験を提供できます」(同氏)
一方で画質はXperia XZ2から改良しているという。「曇り空や植物が多いシーンは、カメラの世界では露光が難しいといわれています。例えば曇り空を背景にした東京タワーを撮る場合、空が明るいか白いのかを判断できず、引きずられて暗くなり、東京タワーが真っ暗に写ってしまうことがあります。植物も緑色なのか暗いのかを判断できず、すごく明るく写ってしまうことがあります。XZ3ではそこをディープラーニングで改善しています」(矢部氏)
カラーは「内包する光」を表現
Xperia XZ3の本体カラーは、ブラック、ホワイトシルバー、フォレストグリーン、ボルドーレッドの4色。カラーのテーマは「Inclusion of light(内包する光)」。蒸着層、カラーリングの層、高輝度層など複数の層を重ねることで、深みや奥行き感を出せるようにした。
デザイナーの界若葉氏は、「部屋の中の照明で見る色と屋外で色の変化が見られます。強い光が差し込むと、奥から反射で発色が良くなり、暗いところだと深みのある色になります」と特徴を話す。「ハイエンド機種なのでそれなりの輝度感が必要ですが、あまりにピカピカすぎるとうるさくなってしまいます」と同氏。使うシーンに合わせて表情を変化させることに重きを置いた。
また、Xperia XZ3では黒色が引き締まって見える有機ELを採用したことで、コンテンツへの没入感が高まるよう、フロントの上下はどのカラーも黒くした。ボルドーレッドはXperiaでは珍しい色だが、海外でも好評だそうで、「刷新感を出せました」と界氏。
シリーズ初の有機ELを搭載したことで、新たなフェーズに投入したXperia。一方で有機EL、縦長の大画面、曲面ディスプレイは他社も導入しており、ソニーモバイルらしさを出すにはもう一歩必要とも感じる。複眼カメラの行方やPremiumとの差別化も気になるところ。今後の進化を注視したい。
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