総務省・モバイル研究会が中古スマホの流速促進に本腰――新品のiPhone7がdocomo withで買える現実:石川温のスマホ業界新聞
総務省の「モバイル市場の競争環境に関する研究会」の第9回会合が開かれた。今回は中古スマートフォンの流通について討議が行われたようだが、総務省は市場のスピードについて来れず、対応が後手後手になっているように感じる。
2月22日、総務省でモバイル市場の競争環境に関する研究会の第9回が開催された(筆者はバルセロナ渡航のため、傍聴できず)。
記事などによれば、完全分離プランの導入を睨んで、中古スマホの流通促進をどうすべきかという意見が出された模様だ。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2019年2月23日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。
確かに端末の割引がなくなり、新製品が高く感じるようになると、中古スマホを購入する人が増えるのかもしれない。しかし、市場を見渡すと「そもそも、中古スマホを買う意味があるのか」という気にもなってくる。
今週、NTTドコモは、docomo withにiPhone7をラインナップに加えると発表した。iPhone7は2年半前の機種だが、FeliCa対応でSuicaやiD、QUICPayが使え、防水・防塵に対応する。日本のユーザーにとってみれば、とても使い勝手のいいiPhoneと言える。価格はドコモオンラインショップで一括4万2768円だ。
わざわざ、誰が使ったかわからない、バッテリーもヘタってしまっている中古iPhoneに手を出すよりも、docomo withで新品のiPhoneが買えるのであれば、多くのユーザーはこちらを選ぶのではないか。しかも、docomo withで毎月1500円も安くなる。
完全分離プランになり、端末の割引がなくなってくると高額なスマホは売れなくなる方向にある。NTTドコモ以外のキャリアも、iPhone7などの値段をさげ、「手軽に買えるiPhone」としてラインナップを強化してくることもあり得るだろう。
かつて、総務省の議論で、中古スマホに関してもSIMロックを解除できるようにすべきという結論になり、今週、NTTドコモが、それに応じる形で中古スマホでもSIMロックを解除できるように対応し始めた。
しかし、同じく、今週、LINEモバイルは、ソフトバンク傘下でありながら、新たにau回線のSIMカードを取り扱うと発表している。LINEモバイルはNTTドコモ回線からスタートしており、これで3キャリア展開となる。
MVNO関係者から、よく聞かれるのが「SIMロック解除が一般には浸透していない。それならば、3キャリア対応してしまい『SIMロック解除が不要で、所有しているスマホがそのまま使える』とアピールした方が手っ取り早い」という声だ。
総務省のやっていることは、どうもピントがずれているし、やはり市場のスピードにはついていけておらず、どうしても後手後手な印象が強い。
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