「指で決済」東芝テックや日立、指静脈認証を使ったキャッシュレス決済の実証実験:リテールテックJAPAN2019
エブリイ、東芝テック、アララ、日立製作所は、指静脈認証を活用したキャッシュレス決済の実証実験を行う。広島県のスーパーで検証。指静脈は指紋よりも偽造しにくいというメリットがある。
エブリイ、東芝テック、アララ、日立製作所は、指静脈認証を活用したキャッシュレス決済の実証実験を、2019年5月7日から7月19日まで実施する。エブリイが運営する広島県福山市のスーパーマーケット「鮮 Do!エブリイ蔵王店」にて、エブリイ社員が検証する。スマートフォンやクレジットカードを使わず、指だけで決済ができることから、4社はこの指静脈を使った決済を「ユビペイ」と呼んでいる。
指を使った認証といえば「指紋認証」がおなじみだが、指静脈は指紋に比べて偽造しにくく、第三者のなりすましを防ぎやすいというメリットがある。認証精度も高く、肌表面の水分や乾燥などの影響を受けにくい。また静脈は手のひらにもあるが、2パターンに限られる。指だと最大10パターンがあるので、より安全ともいえる。静脈はどの指を登録してもよい。
利用するには、事前にサービスカウンターなどで自分の指静脈を登録する必要がある。決済はエブリイのプリペイドカード「エブリカ」をひも付ける。実証実験では、東芝テックのPOSと、それに標準搭載されているアララの電子マネーシステム、日立の指静脈認証システムを組み合わせて行う。
指静脈認証を活用した決済は、3月5日から8日までに東京ビッグサイトで開催されている「リテールテックJAPAN2019」の日立ブースでデモを行っている。実際に認証する様子を見たが、瞬時に決済が完了した。
カードやスマホ決済だと、カードを差し出して認証する、スマホを取り出してかざす、スマホを取り出して画面のQRコードを見せる……といった過程が必要だが、指静脈認証だと指をかざすだけで決済が完了する。事前に登録をする手間はあるが、よく通う店舗なら、一度指静脈やカードを登録すればよい。
エブリイはエブリカを用いたキャッシュレス決済に積極的に取り組んでおり、一般的なスーパーマーケットよりもキャッシュレス決済比率が高いという。この取り組みをベースにした指静脈の有効性や利便性を検証するとともに、エブリイの店舗にとどまらず、汎用(はんよう)的に導入するための課題も洗い出す。
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