分離プランで“端末割引”はどうなる?/接続料によらない仕組みとは?:モバイルフォーラム2019(2/2 ページ)
テレコムサービス協会のMVNO委員会が主催した「モバイルフォーラム2019」では、「激動のモバイル業界 MVNOの発展に必要な競争環境とは?」と題して関係者によるパネルディスカッションが行われた。前編では、ドコモの値下げや分離プラン、接続料の話題を紹介する。
接続料に代わる仕組みが必要
接続料については、石川氏が基調講演で「接続料に寄らない仕組み作りも検討すべきでは」と提案している。卸契約についても「MVNOに多様性が生まれると思う」(石川氏)と推す姿勢だ。サービスに柔軟性が出て「サブブランドに対抗できるMVNOが作れる可能性もある」という。
それに対して北氏は「僕も卸は賛成」と応えた。「接続義務があるのは日本だけ。これは日本通信さんの成果といっていいのだと思うが、ドコモの懐の中に入っていって、いろんなルールを作ってきて今日に至る。MVNOとMNOの関係性が、日本の場合は敵と味方という関係になりがち」(北氏)と、日本のMNOとMVNOの関係性が世界的に見て特殊だと説明した。
「日本のMNOは、何でも自分でやる。海外のMNOは一部に特化して抜けているところがあるので、そこをMVNOがフォローしてWin-Winの関係になっている。MNOがMVNOに出資したり、50%ずつのジョイントベンチャーになっていたりして友好的な関係でビジネスを展開している。うらやましいなと思う」(北氏)
現在、MNOがカバーしきれていない領域をMVNOが見つけてビジネスを展開するのは難しい状況だが、「われわれが想定していないような新しい領域は絶対出てくる」(北氏)。そこをMVNOが先回りして自分たちの領域を作り、「5G時代に向けて、MVNOとMNOの関係性を再構築していく議論ができればいい」と期待を語った。
→後編につづく
関連記事
- 「分離プラン」への期待と不安要素
MVNO委員会は、3月8日、「モバイルフォーラム2019 〜2030年を見据えた新たな競争ルールとMVNOの果たすべき役割〜」を開催。総務省の担当者や「モバイル研究会」の有識者、ジャーナリストが講演し、分離プラン導入についてそれぞれの意見を述べた。 - 分離プランは楽天に“不利”――米国シンクタンクから見た日本の通信行政
米国のシンクタンクがモバイル通信行政に関するシンポジウムを開催した。主催者の視点から見ると、日本のモバイル通信行政に関する政策の問題点は大きく4つあるようだ。それらを簡単に解説する。 - 端末割引はOK、docomo withはNG 「完全分離プラン」の中身を整理する
総務省は、3月5日に「電気通信事業法の一部を改正する法律案」の閣議決定を行った。この法改正が国会で可決されれば、分離プランは法律で義務化される。そもそも分離プランとは何か。義務化で何が変わるのか。 - シェアパック、docomo withの廃止を匂わす吉澤ドコモ社長――高橋KDDI社長「ドコモの分離プランで世の中が変わる」
5G一色だった「MWC19 Barcelona」。5Gといえばやはり気になるのは“通信料金”。すでに安価に使える選択肢があるのに5G普及期に「完全分離プランを導入せよ」という総務省は果たして「正しい」のだろうか? - 分離プランが主軸になっても「端末購入補助なしはあり得ない」 ドコモ吉澤社長
ドコモの決算説明会では、2019年4月以降に提供を予定している新料金プランに質問が集中。吉澤社長は、分離プランになっても「端末購入補助がなくなることはあり得ない」と発言。一方、今後はミッドレンジの端末を拡充していく方針も明らかにした。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.