ソフマップが買い取りアプリ「ラクウル」を提供する狙いとは? 渡辺社長に聞く(1/2 ページ)
ソフマップが、2018年7月からデジタル家電などを売却できる買い取りアプリ「ラクウル」を提供している。これまで店舗を中心にリユース事業を行ってきたソフマップが、なぜスマホ買い取りアプリに挑戦したのか? 渡辺武志社長に話を聞いた。
中古スマートフォンやPCなどの店頭買い取りや販売を行うソフマップが、2018年7月からデジタル家電などを売却できる買い取りアプリ「ラクウル」を提供している。
これまで店舗を中心にリユース事業を行ってきたソフマップが、なぜスマホ買い取りアプリに挑戦したのか? その狙いやスマートフォンとリユース市場などの関係性について、ソフマップの渡辺武志社長にインタビューした。
何でも買い取れるサービスを目指す
―― ラクウルについて教えてください。
渡辺氏 ラクウルは買い取り専門のサービスです。ソフマップはこれまで店頭での買い取りが中心でしたが、2017年ごろから「メルカリ」を筆頭にスマホアプリが急増しています。われわれとしては買い取りサービスをさらに強化したく、2018年7月26日からスマートフォン向けに「ラクウル」アプリを提供しています。
―― アカウントの登録は必要でしょうか?
渡辺氏 アプリの初期起動時はアカウントの登録が必要で、ラクフルのIDもしくはソフマップ・ドットコムのIDを登録します。登録時には免許証やパスポートなどの本人確認書類が必要です。古物営業法の問題で運転免許証と銀行口座の登録が必要です。
サービスの初回利用時は、本人確認も兼ねてヤマト運輸が利用者の登録住所に伺います。2回目以降は送られてくる宅配伝票を使います。
―― どのような物を買い取り、どこで販売されていますか?
渡辺氏 買い取った商品は基本的にソフマップのECサイトや店頭で販売しています。中古と新品の買い取りを行っていますが、新品の場合は購入証明書がないと買い取っていません。古物法に基づき、盗品を買い取らないように予防措置としてお客さまへの購入証明提示依頼をしています。
買い取った商品のうち、スマートフォンやPCなどはソフマップで中古商品として販売しています。
サービス開始当初はデジタル家電のみでしたが、幅を広げて洋服、ゴルフ、キャンプ用品、お酒などを買い取ります。例えば、アパレル用品はベクトル、ブランド品は銀蔵、アウトドア用品はスペースキー、・ゴルフ用品はゴルフ・ドゥ、酒類は蔵王と連携しています。
ラクウルは、なるべくいろいろな物を売却してもらうこと、何でも買い取れるようなアプリを目指しています。
店頭もアプリも男性ユーザーが多い
―― サービス開始後の手応えはいかがですか?
渡辺氏 ラクウルのテレビCMなどは放映していませんが、ソフマップ店頭で広告を出す形で宣伝しています。その割には、多くの方にご利用いただいています。
アプリのダウンロード数も9万を超えており、2019年8月末までに12万ダウンロードを目指しています。
―― どんな物がたくさん売却されていますか?
渡辺氏 最も売却されているのはスマートフォンで、その次がPCです。スマートフォンの買い取りに関しては、以前は大手キャリア3社も下取りを強化していた時期がありましたので、それをかなり意識した時期もありました。
―― ユーザーの属性はいかがでしょうか?
渡辺氏 アプリの利用率は男性が78%と多く、店頭での買い取りも男性が86%と、圧倒的に多い。ちなみに女性の場合は、アプリの利用率が22%、店頭は14%です。
(女性には)デジタル家電を売るという行為自体が認知されていないということが分かります。店頭買い取りも意外と50代の男性の利用が多い。
ただ、中には「スマホやPCなど個人情報が入った端末を売る行為」に不安を抱え、買い取りに対する抵抗も持つ方もいます。リテラシーの高い方は、自分でしっかり初期化までの作業をこなしています。それくらい詳しい人はメルカリやヤフオクを使うこともあります。
―― どんな人にラクウルを使ってほしいですか?
渡辺氏 われわれとしては、「まだ買い取りの体験をしたことがない」という人にこそ使ってほしいです。
時間に余裕のある方や、価格の交渉ができる方にとっては、メルカリやヤフオクなどが合うと思いますが、時間に余裕がない会社員などの方はラクウルが合うと思います。
ラクウルは買い取りに出したい商品を梱包(こんぽう)して配送作業さえしていただければ、アプリ内の買い取り商品リストから「売却する/しない」を選択するだけなので簡単です。
あまり買い取りの仕組みや精密機器に詳しくない人でも、買い取りで分からないことがあれば、ソフマップの実店舗で聞くこともできます。他社にはないサポート体制が整っているということです。
―― 実店舗の強みについてもう少し詳しく教えてください
渡辺氏 弊社はビックカメラに買い取りカウンターを設けていますが、買い取りの数は販売台数の10分の1に過ぎません。そのため、ビックカメラ販売員が商品を販売する際に、買い取りをおすすめすることがあります。買い取りアプリを提供したことで、販売員だけでなく、お客さまにも徐々に認知されています。
さらに店舗では、買い取り時に箱が手元にない方のために、らくらくかんたん買い取り「ラクウル」キットを無料でお配りしています。簡単に箱を組み立てることができ、サイズは3種類を用意しております。ノートPCなどに適したLサイズと、デジタルカメラなどに適したMサイズ、スマートフォンに適したSサイズがあります。
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