ソフマップが買い取りアプリ「ラクウル」を提供する狙いとは? 渡辺社長に聞く(2/2 ページ)
ソフマップが、2018年7月からデジタル家電などを売却できる買い取りアプリ「ラクウル」を提供している。これまで店舗を中心にリユース事業を行ってきたソフマップが、なぜスマホ買い取りアプリに挑戦したのか? 渡辺武志社長に話を聞いた。
査定はどのようにして行う?
―― 中古の商品にランクなどはあるのでしょうか?
渡辺氏 状態に応じてランクを設けています。1番状態が良い順に「A」「B」「C」「D」と続き、これに加えてジャンク扱いの「E」というランクもあります。リユースモバイル・ジャパンのガイドラインに沿ってランク付けしています。
傷がある商品については、中古として販売してもなかなか売れません。そういった理由もあり、商品の状態や付属品の有無によって買い取り価格が減額になる場合もあります。
―― 査定内容の他に、買い取り価格はどのように設定されているのでしょうか?
渡辺氏 買い取り価格の上限も販売在庫や市場に応じて変動しています。時期や在庫によっても、かなり差が出てしまう場合もあります。また、中古商品の販売価格が下がれば買い取り価格も下がります。
―― PayPayが2018年末に還元率が高いキャンペーンをやりました。中古市場にも影響はありましたでしょうか?
渡辺氏 ビックカメラの販売にはかなり影響が出ました。iPadやMac、Surfaceなど市場価格が崩れない高価な商品が売れました。
―― 携帯電話業界は分離プランの導入が進み、昔に比べて端末価格を割り引くことが困難になりつつありますが、中古市場への影響はありますか?
渡辺氏 現時点では何とも言えませんが、スマートフォンも年々高価になりつつありますので、中古市場にもチャンスはあると思います。
例えば、iPhone 5sや5cなどはまだ現役で使える端末かと思います。自宅に保管してある(使っていない)端末の買い取りも増えると思います。また、中古端末を使い続ける人が増えていくと、それはそれで市場の活性化につながります。
しかし、端末とSIMの両方をキャリアが握っているのが現状です。分離プランの導入が進んでいく中で、今後どのようにキャリア端末が販売されていくのかは予測できないですよね。仮にキャリアがSIMのみを契約させる方向で動けば、端末メーカーと量販店がタッグを組むなんてことも可能になると思います。
ただ、「中古が売れると新品が売れなくなるのか?」と言われると、そうでもないと思います。「端末価格は高い」と言われていますが、スマートフォンは今やわれわれの生活に欠かせない存在ですよね。その価値を考えると、必ずしも高すぎる価格ではないと思います。
取材を終えて:フリマアプリの強力なライバルに
近年メルカリやヤフオクなどを筆頭にインターネットを利用したフリーマーケットサービスが急速に広まり、個人間で簡単に物を売却できる時代となった。リユース市場も店舗からネットへと拡大し、若者を中心にリユースに対する意識が大きく変化している。
長きに渡り、実店舗を中心にリユース事業を展開してきた大手企業のソフマップが買い取りサービスに参入してきたことは、フリマサービスを提供する各社にとって大きな脅威になるだろう。
ソフマップの強みは、前述の通り実店舗やサポート体制などが挙げられる。商品を査定に出す際、箱が手元にない人のために、らくらくかんたん買い取り「ラクウル」キットを無料で配布していることも大きなポイントだ。商品に合う箱は意外と手元にないことが多いので、無料で配布されるのはうれしい。
一方、ユーザーが好きなタイミングで取引きしたり、販売価格を自由に設定したりできるのが、フリーマーケットサービスのメリットといえる。
この他、携帯電話業界においても、毎月支払う通信料金と端末代金とを切り分ける「分離プラン」の導入が進んでいる。2019年秋ごろからは端末購入を伴う通信料金の割引が禁止され、以前のように高機能な携帯端末を安く購入することが難しくなる。
ソフマップの渡辺社長が述べるように、仮に端末メーカーとリユース企業が手を組み、ユニークなサービスや端末を展開すると、面白い競争になるだろう。
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