「分離」なのに「セット」が前提? ドコモの新プラン「データプラス」のマイナス面:5分で知るモバイルデータ通信活用術(1/2 ページ)
NTTドコモの新料金プランが始まりました。スマートフォンを使っている人は良いのですが、タブレットやルーターといったデータ通信専用端末を使っている人は、どんなプランを選べばいいのでしょうか。今回は、データ通信専用端末向けのプラン「データプラス」について考察してみます。
「ドコモはシンプル2択」をキャッチコピーとするNTTドコモの新料金プランが6月、始動しました。
現在の携帯電話において、メインストリーム(主流)は“スマートフォン”。それだけを考えると、確かに料金プランはシンプルになりました。しかし、タブレットやモバイルルーターを始めとするデータ通信端末(以下まとめて「データ専用機器」)の単独利用に適したプランが廃止されるなどのデメリットも……。
今回の5分で知るモバイルデータ通信活用術では、ドコモの新プランのうち、データ専用機器を想定した「データプラス」について考察しつつ、ドコモのモバイルWi-Fiルーターの“近況”を見ていきます。
(記事中の価格は全て税別です)
新プランの「データプラス」 盲点あり?
ドコモの新料金プランでは、従来の料金プランにおけるデータ専用機器向けの「データプラン」に相当するプランがありません。
「なら、データ専用機器ではどんなプランを契約できるの?」と疑問に思う所。新プランでは、以下の選択肢の2つがあります。
- 「データプラス」を契約する
- スマホと同じようにギガホまたはギガライトを契約する
データプラスは、ギガホまたはギガライトを契約する回線の子回線としてデータ専用機器を使うためのプラン(※1)。月額料金は1000円(2年契約あり)または2500円(2年契約なし)です。親回線1つに付き1回線を契約可能で、データ通信容量や容量超過時の制限内容は親回線と“共有”です。
※1 スマホやケータイ(フィーチャーフォン)でも利用できますが音声通話には対応しません
データプラスは従来プランにおける「2台目プラス(シェアオプション)」に相当するものですが、以下のような違いがあります。
- 親回線が必要ながら、あくまでも料金プランの1つである
- 「シェアオプション定額料」や「ISP(spモード)利用料」相当を内包している
従来プラン(いわゆる「カケホーダイ&パケあえる」)では、データ通信専用機器向けの単独プランとして「データプラン」(※2)が提供されていました。そのため、ドコモのスマホやケータイを契約していなくても、ある意味でデータ通信専用機器を契約しやすい環境にありました。
※2 データプランにはスマホとタブレット用の「スマホ/タブ」と、ルーター用の「ルーター」があり、月額料金が異なります
例えば、「通信量はそれほど多くないスマホはMVNOサービス(格安SIM)、通信量が多いルーターやタブレットはドコモのデータプランに比較的大容量のパケットパック(シェアパック)」、「ドコモのケータイとタブレットを組み合わせて、2台目プラスを使ってパケットシェア」といったように用途に合わせて端末やプランを使い分けやすかったのです。
しかしながら、新プランのデータプラスは、あくまでもギガホやギガライトの“子回線”に入ることが前提。例示したような「スマホはMVNOサービス、ルーターはドコモ」「ドコモのケータイとタブレット」といった組み合わせの場合、一見するとベストなプランが存在しません。
タブレットやルーターでも「ギガホ」「ギガライト」はOK でも……
ただし、先にも挙げた通り、ギガホやギガライトはデータ通信専用端末でも利用できます。また、ケータイもギガホやギガライトで契約可能です。要するに、ギガホやギガライトはデバイスを選ばない料金プランということになります。
最近、ドコモのモバイルルーター「Wi-Fi STATION HW-01L」向けのソフトウェア更新において、APN(パケット通信の接続先情報)にspモードが追加プリセットされました。また、2019年夏モデルとして発表された「Wi-Fi STATION SH-05L」(詳しくは後述)もAPNとしてspモードがプリセットされています。
spモードといえばスマホやタブレット、Androidベースのケータイ向けのISPサービスとして定着していますが、いよいよルーターまで守備範囲に加えた格好です。ある意味で「ギガホやギガライトをデータ通信専用端末で使う」ということを見越した動きともいえます。
新料金プランにおいて、メインストリームのスマホでは料金プランがシンプルとなり、かつ基本的には従来よりも低廉になりました。その反面で、データ通信専用端末をデータ専用契約で使いたいユーザーは「ギガホかギガライトを契約したスマホやケータイとセット」あるいは「音声端末向けの料金で単体利用」を迫られます。
「ギガホやギガライトで全部のデバイスをカバーできるなんて便利!」という見方もできます。しかし、音声通話が不要なデータ通信専用端末において、音声通話付きのプランを契約するということは不要な音声通話サービス分の料金まで払うことになってしまうのでは?という疑問も付いて回ります。
通信料金と本体代金の分離を意味する「分離プラン」とは意味が異なりますが、新料金プランにおいてデータ通信専用端末は実質上「音声通話を分離できない」状態となりました。
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