auの「アップグレードプログラム」終了へ 9月のiPhone商戦で新たな割引施策も?:石野純也のMobile Eye(1/2 ページ)
KDDIの2019年度第1四半期の業績は増収減益だったが、順調な進捗(しんちょく)だという。分離プランは1500万契約を超えたが、気になるのが端末購入補助だ。法改正に合わせて現行の「アップグレードプログラム」は終了するが、9月のiPhone商戦に向けて新たな施策を導入する可能性が高い。
KDDIは、8月1日に2019年度第1四半期の決算を発表した。業績はおおむね想定通りだといい、「通期目標達成に向けては、順調な進捗(しんちょく)」(高橋誠社長)。売上高は1兆2461億円と増収だったのに対し、営業利益は2558億円と減益になった。減益の要因は、一時的なものとのこと。一部端末の評価損や、3Gの巻き取りを積極化するための販売コスト増など、さまざまな要因が積み重なった結果だという。
増収減益ながら、通信、非通信ともに伸びた第1四半期のKDDI
実際、KDDIの核ともいえる通信、非通信は両分野とも堅調だ。今期から内訳が非開示になってしまったのは残念だが、1人あたりからの平均収入を示す総合ARPAは7450円で、前年から3.9%拡大。高橋氏も「auの通信ARPA、付加価値ARPAともに成長している」と力説した。auの契約者は純減が続いているものの、その数は3.8万まで減少。MVNOまで含めた「モバイルID数」は、2703万に増加した。
非通信分野のライフデザイン領域も、売上高は1970億円から2750億円へと大幅に伸長した。これはじぶん銀行などを連結対象に含めた結果で、一時的なものともいえるが、「新規連結効果を除いても、2桁増の増収増益」(高橋氏)で、営業利益も330億円から380億円に伸びている。
こうした経営基盤を軸に、2020年のサービスインに向け、5Gへの投資も加速させていく。KDDIは、まずドコモと同じ、2019年9月に5Gのプレサービスを開始。「花園ラグビー場やトヨタのスタジアムでトライアルをやり、5Gの世界観をお楽しみいただきたいと思っている」(高橋氏)とした。7月にはデータ通信が使い放題になる「auデータMAXプラン」の提供を開始したが、「これについては、いろいろな工夫をしながら、5Gにつなげるプランに育てていきたい」(同)とした。
5Gの商用サービスは、2020年春に開始する予定で、まずはコントロールプレーン(制御信号)を4Gで制御するNSA(ノン・スタンドアロン)方式で展開する。「ピカピカな4Gに、スペシャルな5Gを組み合わせたハイブリッドのネットワーク」(高橋氏)が、それだ。その後、2022年には5G単独で動作するSA(スタンドアロン)方式に移行。低遅延や多端末接続といった、5Gの本領はここで発揮されることになる。
料金改定には慎重姿勢を示す、楽天モバイル参入も当初は様子見か
一方で、10月からは改正・電気通信事業法に基づいた省令やガイドラインがスタートし、競争環境が大きく変わることも予想される。KDDIも、料金プランやサービスなどには、「アジャスト(調整)しなければいけない」(高橋氏)部分があるという認識だ。一方で、「それを前提にしても、通期の予想を変えるには至らないと思っている」(同)という。「違約金が下がり、流動性が上がるのと、インセンティブ(奨励金)が減って流動性が下がる両面がある」ためだ。
そのため、ドコモは、楽天モバイルや改正・電気通信業法に対応した料金を打ち出す方針を示唆していたのに対し、KDDIは「当面このままでいこうと思っている」(同)と慎重な姿勢を示す。高橋氏によると、「楽天が秋に参入し、新しい料金を発表してくる。そういったものを見ながら、下期の対応を進めていきたい」と語った。他社に先駆けて分離プランを導入していているため、楽天モバイル参入前後に、慌てて対抗する必要ないと考えていることがうかがえる。
分離プランは、現時点で「1500万加入を超え、全ハンドセットの3分の2に達している」(高橋氏)という。最終目標は公表していないが、2019年度中には、この割合は8割に達する見込みだという。KDDIは毎月割の付く旧料金プランも選択肢として残しているが、高橋氏によると、「第1四半期を見てみると、ユーザーの9割以上が分離プランを選んでいる」という。その結果、毎月割の適用者は461万まで低下。適用率は「6月末時点で15%まで減少しているが、年度末には9%程度まで下がる」(同)と予想する。
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